2021年12月県議会 福祉環境委員会
 高田由一委員の質問概要記録

20211214
【福祉保健部】 【環境生活部

【福祉保健部】
《質問》高田由一 委員
 一般質問でも発言させていただいた、児童相談所の一時保護所に関する問題である。福祉に携わる職場、特に子どもさんに関わる職場での、職員の採用のあり方について問題提起をしたい。
 今、県立仙渓学園の児童夜間指導員の募集をしている。女子寮入所児童担当ということで女性1名の募集であり、資格は問われていないわけだが、労働条件が時間給643円である。和歌山の最低賃金が10月から859円になっている中で、なぜこれが可能なのかと思っていたところ、断続的労働者適用除外許可というのを労基との間で取っていて、こういう金額になっているとのことであった。
 ただ、夜間の指導員といっても、やはり仙渓学園に入っている子どもさんたちは専門的処遇が必要ではないかと思う。賃金の面でも大変低い雇い方をしている。しかも資格要件も問われないという中で、こうした子どもさんと最前線で携わる職員が、こういう採用の仕方で果たしていいのかと疑問を持ったわけだが、いかがお考えか。

《答弁》 子ども未来課長
 仙渓学園においては、時間給643円ということで最低賃金を下回っている。これは断続的勤務ということで設定されているところであるが、そのほかに、夜間に勤務する資格職として、児童福祉事業に2年以上従事した者を採用するという形態もあり、そちらのほうでは時間給1,315円ということで設定している。

《答弁》高田由一 委員
 問題になった一時保護所の宿直業務員でも時間給712円、特に資格はないということだが、こういう労働基準法の適用を外した方が何人くらい、こういう形態で採用されているのか。

《答弁》 子ども未来課長
 一時保護所においては、今現在、週2日の方が6名、週1日の方が2名というような形を組んでいるが、現状少し不足しているところがあり、週2日が4名、週1日が2名という格好になっている。現在、リクルート等で個別に大学等に当たって探している。

《質問》高田由一 委員
 リクルートで募集をかけているのはそうだが、労働条件として、資格の条件として本当に児童の最前線で接する方がこれで良いのかという疑問を持つ。
 ほかの自治体の事例も見たが、特別な労働基準法の適用で安くするということではなく、きちんと時給換算をしている事例、それに加えて、資格のない方に夜勤手当等を出している事例もある。
 私はやはり責任のある部署で働く職員については、たとえ会計年度任用職員であっても、きちんとした待遇、それと同時にきちんとした研修や子どもへの対応を課していくことが必要になってくると思うが、担当部局としてはどのような考えか。

《答弁》 子ども未来課長
 会計年度任用職員の報酬額の設定については、県全体に関わってくることであるため、ここでの回答は難しいが、一時保護所の宿直が資格を持った人の募集の形態を取ると、現状なかなか人が集まらない。
 実際、そこまでの資格を要するものではなく、夕方以降の子どもの個別の学習の補助や生活の支援や夜間の見回りなどである。夜間の見回りについては、正職員と一緒に今回複数体制で行うことにしたので、見回りの補助、あくまでも補助業務ということになるので、そこまでの資格は必要ないと考えている。
 研修体制については、今現在、事件もあったため、職員に「こういうことをしてはならない」という研修はしていたが、実際難しいのは子どもへの距離の取り方である。非行や虐待で一時保護される子どもは一般的に親との愛着形成がなされていないケースがかなり多く、大人に対し愛着を求めてきて距離が近くなってくるというところがある。
 一方、支援者は子どもとの関係を築けばよい支援ができるということで、接近し過ぎるというリスクがある。そこは何々してはならないという研修ではなく、距離の取り方のスキルの研修を12月から導入していく。

《要望》高田由一 委員
 それはそれでぜひお願いしたいが、やはり県行政全体の中での位置付けが大事だと思う。もちろん人事に関わるし、財政にも関わることだと思う。
 例えば、鳥取県では同じような夜間指導員の会計年度任用職員だが、やはり資格職を求めて、その上できちんとした賃金面での待遇も与えるということになっている。
 ぜひこの辺りも、これは部長にお願いしたいのだが、総務部やその他の部局と協議いただき、こういう問題提起があったということで、議論を深めていただきたいと思う。ぜひよろしくお願いしたい。

《質問》高田由一 委員
 これに関わって、今年国会で、教職員については、教員による児童生徒への性暴力防止を目的にして、わいせつ行為をした教員を現場に戻さないための新しい法律が全会一致で可決された。
 それで私が伺いたいのは、日本版DBSという聞き慣れない言葉ではあるが、問題提起をしたい。
 イギリスの政府機関にDBSという部局があり、これは何かと申し上げると、警察記録を検索して申請者に過去に性犯罪を行っていないことを証明する「無犯罪証明書」を発行する。特に、子どもさんへの性犯罪は繰り返し起こるというのが特徴だそうで、保育事業者や学校は、保育者や教師が少なくともこういう前科がないかチェックした上で雇用するとなっているようだ。
 わいせつな教員の問題を国会で議論したときに、まさにこれも全会一致で、イギリスのそうした制度を参考にした。保育士やベビーシッター等の子どもに関わる職業従事者の犯罪歴制度の検討もしてほしいと附則に盛り込まれている。
 これはもちろん国の制度への要望ということになるが、県としてこういった制度、今回の事件を受けて国へもしっかり声を上げていってほしいと思うが、これについてはどのようなお考えか。

《答弁》 子ども未来課長
 令和3年5月だったと思うが、教職員のわいせつ行為を行った職員に対しての防止に関する法律が公布されて、公布後1年以内に施行するとされた。
 その附帯決議の中に、教職員以外、児童に関わる職員についても検討を進めていくというところが出ている。そこはこちらも、そういう法律ができるとありがたいと思っており、注視している。

《要望》高田由一 委員
 ぜひ発言や、国への要望の機会があれば、推進を図っていただきたい。
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《質問》高田由一 委員
 災害時における新型コロナウイルス感染症の検査体制について伺いたい。
 災害時、大変心配しているのが道路の寸断や、あるいは停電、その他いろいろなことである。和歌山県で申し上げると、環衛研がPCR検査の検査主体になっており中軸を担っているが、例えばの話、停電したとき、環衛研にはバックアップの電源がない。そんな中で、災害時の新型コロナの検査体制をどんなふうに考えているか。

《答弁》 健康推進課長
 委員ご指摘のように、環衛研については、残念ながら非常用電源を持っていないのが現実である。災害時におけるPCR検査の対応だが、広域的な災害が起こり、インフラ等が被災し、電源が復旧するまでの間については、抗原定性検査などの対応しか検査方法はないと考えている。
 また、道路啓開がなされるまで検体搬送もままならないことが予想されるので、今申し上げた内容が現実的ではないかと考えている。
 なお、今夏の感染急増時には、民間検査機関と契約し、県外の民間検査機関での検査対応を行ったところであるが、幸い、局所的な災害にとどまった場合においては、県内の検査機関がひっ迫したときと同様、外部の検査機関への委託により対応することを考えている。

《質問》高田由一 委員
 課長の答弁のとおりだと思う。
 やはり、抗原定性検査いわゆる抗原検査キットを利用することになるが、その抗原検査キットは災害時にきちんと確保できるのか。

《答弁》 薬務課長
 抗原検査キットの確保だが、現在16の承認に基づいて製品が販売されている。数量もかなりあるため、災害時でも通常ルートでの確保が一定程度できると思う。
 なお、緊急時に備えて備蓄することも一つの手段であるが、現在販売されている製品の有効期間は大半が1年、長いものでも2年となっており備蓄には適さない製品と考えている。
 そういったことから、県では近畿臨床検査薬卸連合会と災害時の供給協定を既に締結しており、緊急時にはこの協定を活用して調達を進めていこうと考えている。

《要望》高田由一 委員
 緊急時の対応ということで、抜かりなくお願いしたい。
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《質問》高田由一 委員
 以前本会議の一般質問でも取り上げたが、被災者生活再建支援制度の充実について伺う。
 知事や部長とも議論したが、和歌山県では常設の支援制度がなく、災害時5,000円の見舞金があるのみとなっている。
 国の被災者生活再建支援制度は、大規模半壊まで支援金が出る制度であったが、今回制度が拡充され、中規模半壊まで支援金が出ることになった。
 ぜひ、併せて県のほうでも、それに至らない基準であっても活用できる支援制度を考えていただきたく、前も議論したが、今の検討状況等を教えていただきたい。

《答弁》 福祉保健総務課長
 委員ご指摘のとおり、被災者生活再建支援制度については、これまで和歌山県も全国知事会等を通じて、対象を半壊まで広げるように要望をしてきた結果、中規模半壊まで広がったところであり、引き続き半壊まで対象を拡大するよう要望している状況である。
 その上で、県として独自にやるべきではないかということに関しては、そもそも被害が大きくなったときに単独の自治体だけではなかなか対応するのは困難であり、全国の都道府県が拠出した基金を活用している状況なので、そちらのほうで全国的に対応をしていくのがよいかと考える。
 あとは、紀伊半島大水害のときのように、災害の状況に応じて、その都度必要があれば判断をして、当時の上乗せをしたような対応を行っていく。
 近年、想定を超える災害が頻発している状況なので、あらかじめ、どこまでということではなく、起こったときに、その都度、状況を見て判断するということでやらせていただきたい。

《要望》高田由一 委員
 紀伊半島大水害のときの対応ということで、当時、臨時的に必要な制度をつくっていただいたので、課長がおっしゃったことは信頼できる対応である。
 ただ、規模が小さな災害、例えば河川が増水したとき、よく浸かる家があり何年かに1回浸かる。全体が大規模な災害であれば、災害見舞金も含め様々な制度が使えるが、周辺の家しか浸からないというときには5,000円の見舞金だけである。繰り返し起こることがあるということを考え、再度検討をお願いしたい。
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《質問》高田由一 委員
 新宮市立医療センターの問題である。
 副委員長も取り上げでいただいたが、新宮市立医療センターでの出産が継続できるように、県下の医療機関の相互協力というのが大事だと考えている。3月以降の分娩を予定している方々の受入体制というのはどのようになっているか。
 また、緊急時には県立医大や田辺のほうで中核になっている紀南病院などで対応していただけるのか、答弁願いたい。

《答弁》 医務課長
 新宮市立医療センターの産婦人科の問題については、突然の責任部長の不在という事態で、緊急的な対応が必要であると考えている。
 ただ、対象となる医師については、十分な分娩の経験と知識がなければ困難であるということから、現在は医師を探しており、日本産婦人科学会を通じた公募依頼であるとか、県外の医科大学関係病院に対し、産婦人科の医師の派遣要請などをしている。
 委員ご心配の3月以降に分娩を予定している方々の受入れであったり、緊急時のところは、新宮市立医療センターと県、地元の保健所で、十分協力しつつ、分娩予定の方々の安心できる体制を維持できるよう努力していきたい。
 緊急時の対応については、現在もドクターヘリなどを使い、それぞれの病院でご協力いただいている。引き続き分娩を予定している方々の安心のために努力していく。

《要望》高田由一 委員
 よろしくお願いする。
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議案に対する採決
議案第141号 令和3年度和歌山県一般会計補正予算
議案第159号 和歌山県障害児(者)・高齢者歯科口腔保健センターの指定管理者の指定に
        ついて

議案第178号 令和3年度和歌山県一般会計補正予算
は全会一致で原案可決


【環境生活部】
《質問》高田由一 委員
 地域猫対策について、117地域でさらに実施ということだが、私どもの地域でも大変助けてもらっている。これまでの実績はどのくらいで、何匹ぐらい手術をして対応してきたのか。

《答弁》 食品・生活衛生課長
 地域猫対策については、令和3年10月末現在で、県内29市町、719地域で1,796名の方が取り組まれている。認定地域猫数は5,784匹、不妊去勢手術済の猫数は4,771匹である。このうち、令和3年度については、新たに117地域で294名が地域猫対策に取り組まれており、地域猫数は1,005匹、手術済の猫は786匹となっている。
 地域猫対策を開始した平成28年度は、認定が72地域、実施者232名、地域猫数468匹、手術済猫数287匹であったが、現在は認定地域が10倍、実施者が8倍、地域猫数が12倍、手術済猫数が17倍と、この5年間で県内の地域猫対策が着実に広がっている状況である。引き続き取組を進めていく。

《質問》高由由一 委員
 ぜひよろしくお願いしたいと思う。
 若干困っていることがあるので申し上げる。地域猫の世話をするということで認定をされた方が、地域猫の世話はもちろん行うが、餌を与えていると、ほかから猫が寄って来て食べて、地域猫以外のところでまた増えるため、近所の人が苦情を言ってくる。

 認定された方へのその後の指導や働きかけ、助言等はどうなっているのか。

《答弁》 食品・生活衛生課長
 認定され地域猫対策を行っている方に対しては、保健所、市町村、ボランティアの方が、定期的に状況を確認し、聞き取りを行っている。猫の数が増えたりすることがあれば、変更の申請等を出していただくようお願いしている。

《要望》高田由一 委員
 地域猫はよい制度で、我々も間合せがあれば使ってくださいと言っているが、そのことによって、今申し上げたようにさらに周りに猫が増えていくことがあってはならないので、できるだけそうならないようお願いしたいのと、予算の確保についても、ぜひしっかりとお願いをしたい。時期を逃すと、それだけで4匹、5匹と増えるのでよろしくお願いする。
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《質問》高田由一 委員
 本会議の一般質問でも触れた「ユニバーザルツーリズム」に関係することだが、本委員会の県内調査でジオパークセンターを訪問した際、ジオパークガイドの方からオンラインツアーについて説明を受け、非常によい取組であると感じた。
 そのときにも質問したが、こうした取組は一般の方はもちろん、障害のある方やコロナ禍で外出しにくい方にも喜ばれると思う。こうした方々向けに、リアルタイムのオンラインツアーを実施できないか。

《答弁》 自然環境室長
 オンラインツアーは、ジオパークガイドの皆さんがコロナ禍でのガイド需要の減少などを受けて、今後の誘客と地域の魅力発信のために、試行的に始めた取組で、昨年度は上富田町、那智勝浦町及び北山村で実施された。
 委員お話のように、オンラインであれば、障害のある方など自由に外出できない方にも、ジオパークの魅力をリアルタイムで感じていただくことが可能であり、また、南紀熊野のファンを拡大するためにも有効であると考えられるので、ガイドの皆さんや関係者の方々などと相談しながら対応したい。

《要望》高田由一 委員
 本会議の一般質問で配付した資料は、高知県での取組で、特別支援学校の教室と現地をオンラインでつないで行ったものだったが、生徒の皆さんが本当によかったと感想を述べられていた。こういう使い方があるんだなと思ったので、ぜひ推進してほしい。
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議案に対する採決
議案第141号 令和3年度和歌山県一般会計補正予算
議案第149号 和歌山県青少年健全育成条例の一部を改正する条例
議案第150号 和歌山県未成年者喫煙防止条例の一部を改正する条例
議案第158号 和歌山交通公園の指定管理者の指定について
は全会一致で原案可決



 
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