2021年12月和歌山県議会
  令和2年度決算の認定に対する反対討論 高田由一
     録画中継
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                                    20211216
 私は日本共産党県議団を代表して、議案第134号「令和2年度和歌山県歳入歳出決算の認定について」および第135号[和歌山県公営企業決算の認定について]の反対討論をします。

 令和2年度、2020年度は、新型コロナウイルス感染症への対応が本格的に実施された年度でした。その影響で一般会計の決算額は対前年で966億円もの増加、それにともない国庫支出金も前年比で619億円増加となりました。
 和歌山県の新型コロナ対策はおおむね了解するものでありますが、県民の暮らしへの影響は、年度を超えて残るのはまちがいありません。
 県政にとっての指標では、県税の大きな柱である個人県民税は、前年比で若干、上回っていますが、法人県民税と法人事業税があわせて前年比で25億円も減少しています。今後の県民のくらしや県内業者の経営がひきつづき心配されます。
 生活保護世帯はほぼ横ばい状態ですが、新型コロナ対策の生活福祉資金の特例貸付等の制度で救われている世帯も多いため、今後が心配です。
 そういう状況のなかで、この苦境から県民生活をいかに守るかということが、今の県政に課せられた何よりの課題であると考えます。
 その観点から以下、個別の問題を指摘したいと思います。
 福祉の分野では、国保の県単位化がされた2018年度に策定された県国保運営方針で、これまで市町村がおこなってきた保険料値上がりを抑えるための一般会計からの法定外繰入をなくし、統一保険料にしていくことが示されました。この方針のため、現時点で法定外繰入をしている市町村は太地町だけになっています。昨年の保険料を見ると、国保が県単位化した時点より保険料が値上がりしているのは県内30市町村中11あり、うち7つは繰り入れをやめた市町村です。今年は国保運営方針が改定されました。そこでは、2027年度までに統一保険料を目指すと明記しており、市町村の独自性が否定され、値上げにつながるため反対です。
 次に、子ども医療費への県としての支援については、現時点で県内すべての市町村が最低でも中学校卒業までの子ども医療費を無料化しており、県でもこれまで以上の支援をしていくべきだと考えます。
 さらに、地域医療構想については、新型コロナウイルス感染症の拡大のなかでも5年前に建てた計画がそのまま残っています。この際、いったん凍結をして見直すべきだということを指摘しておきます。
 教育の問題では、公立学校において、定数内の非正規の教職員を5年間で半減するとした「第3期教育振興基本計画」があります。実際は、小中学校、高校ともほとんど改善されていません。半減という公約まであと1年です。このようなペースでの取り組みでは解決できるわけがありません。さらなる強化を求めます。
 学力テストの問題では、国のテストに加えて県独自のテストが続けられています。テスト漬けになるため、やめるべきだということを言い続けたいと思います。
 IRの問題では、新型コロナウイルス感染症が世界にまん延するなか、IR型のカジノがどこでも行き詰るなかで、推進すること自体に反対です。
 毎回指摘しているコスモパーク加太の問題では、カゴメ加太菜園の跡地への進出計画もなく、用地造成のための20億円の投資が無駄に無駄を重ねる事態にならないでしょうか。
 また、国直轄事業負担金は148億円もあり、県財政への大きな負担になっています。国に対して、その廃止や軽減を引き続き求めていただきたいと思います。
 中小企業振興資金特別会計の問題では、収入未済額のほとんどが、かつての同和行政のゆがみによる「中小企業高度化資金」によるものです。その収入未済額は依然として60億円以上にのぼっています。取り組みはしていただいていますが、この状態を認める訳にはいきません。
 今回、指定管理制度の不適切な運用について申し上げておきます。和歌山マリーナの指定管理者が、駐車場料金の徴収で過去3年間分、約3400万円を県に納入していないことが監査委員の指摘から明らかになりました。事後に歳入として計上されたものの、現金を扱う指定管理者への指導、監督が不十分だったことは大いに問題です。さらなる改善を求めます。
 最後に、一般会計では決算の議会提出資料に誤りがあり、訂正されました。それは紀の国森づくり基金についてです。令和2年度中の増減高の欄ですが、同基金は、県民税に一律500円の超過課税をして。それを毎年、基金に積み立てて事業を実施するものです。増加の欄がゼロの表示だったのですが、同基金の趣旨を理解するなら、増加がゼロなんてありえないと、すぐあやまりに気がつきます。県民に500円の超過課税という負担をしていただいているという意識が薄くなっているのではないでしょうか。厳しく指摘しておきたいと思います。
 次に、公営企業会計については、土地造成事業会計への一般会計からの繰り入れや工業用水事業会計からの貸付金15億円が続いており、売れない造成地を抱えてきた総括と反省が必要であり、認めるわけにはまいりません。
 以上で反対討論とします。


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