和歌山IR区域整備計画の県議会での否決にあたっての声明

 このたび4月臨時県議会において、和歌山IR区域整備計画についての議案が反対多数で否決されました。これまで住民投票を求める運動やカジノ反対の声をあげ続けた県民のみなさんの声が、県政や県議会を動かした結果です。この計画の当初から反対を表明してきた日本共産党県議団はこの採決結果を歓迎するものです。
 また、本来はIRに賛成の立場だったにもかかわらず、「今回の計画はあまりにもずさん」と、私たちとともに反対の態度をとった議員にも敬意を表したいと思います。

 この顛末の最大の問題点は、何よりもカジノを含むIRというたった一つの施設に和歌山県の将来を託すという知事の政治姿勢です。これこそまさに「賭け」です。そうした「賭け」よりも、従来にも増して観光産業や地場産業、農林水産業など県内産業の底上げに力をいれてこそ和歌山県の未来は開けると私たちは考えます。IR計画の否決を受けて、その方向に舵を切りなおすときです。

 今回、否決された区域整備計画は、コロナ禍や世界情勢の変化を考慮にいれていないあまりにも過大な来場者予測、収益予測に基づく空想的とも言える内容になっていました。とても現実味があるとは考えられませんでした。

 また、ギャンブル依存症でもきちんと対策をやれば逆に減らせるとしていました。よく例としてあげるシンガポールでは、確かに国民のギャンブル依存症率は減らせたようですが、自国民の多数を自主的にあるいは強制的にカジノから排除して達成した結果です。外国人客がほとんどを占めるシンガポールのIRではそれができても、和歌山IRでは8割が日本人客を想定していました。そうした想定の下で、依存症疑いの客を徹底排除すれば、カジノ収益は減少し、ビジネスモデルとして成り立たなくなります。その結果、ギャンブル依存症対策を緩めることにつながっていく心配がありました。

 さらに地域経済に与える影響です。年間650万人を集め、そのうち8割が日本人客という和歌山IRができれば、建設需要などで一部業界は一時的に潤うかもしれません。しかし、お客の囲い込みによる周辺地域の経済的な疲弊に加え、県内観光地への影響も心配されました。

 以上のような問題点をかかえ、多くの県民が納得していないのが今回の和歌山IR計画でした。最後に、これまで和歌山IR計画反対のため、協力いただいたすべての方々に感謝を申し上げ私たちの声明とします。

  2022年4月25日
                                                日本共産党和歌山県議団



2022年4月議会

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