2022年4月臨時議会 奥村規子 質疑  概要記録
1.特定複合観光施設区域の整備に関する計画の認定申請について
(1)県民合意が得られていないことについて
(2)区域整備計画の内容について
  ・大阪カジノの影響について
  ・過大な来場者数と収入予想について

 録画中継
2022418

1.特定複合観光施設区域の整備に関する計画の認定申請について
(1)県民合意が得られていないことについて
《質疑》奥村規子 県議
 議長のお許しを得ましたので議案75号について、質疑をいたします。
 1つ目は県民合意についてです。
 議案第75号「特定複合観光施設区域の整備に関する計画の認定申請について」は、国土交通大臣の認定を申請するにあたり、特定複合観光施設区域整備法第9条第8項の規定により議会の議決を要することから提案されているものです。
 国への提出期限は4月28日となっています。県としては昨年11月のIR特別委員会を経て、公聴会、説明会、パブリックコメントを開始する予定でしたが、特別委員会の全員一致の反対で、延期され、予定より2か月以上遅れました。そのため、コロナ禍も重なって、開催数が減り、県民の意見を聞く場が少なくなりました。それでも、公聴会や意見募集1,356件が提出され、その中身は「カジノについてそもそも反対」などを含め反対の意見も多かった理事も述べられています。
 このような状況で、整備法に定められている県民合意が得られたとは思いません。ギャンブル依存症やマイナスの経済的影響、環境問題など、県民の不安や疑問に十分こたえられていないと思います。4月28日の提出期限が迫ってきているからと、県民合意の得られていないものは、国への申請を行うべきではないと考えますが、いかがですか。知事にお尋ねします。

《答弁》 仁坂知事
 区域整備計画の内容について、説明動画の配信や14か所での住民説明会、2か所での公聴会の開催、また、パブリックコメントの実施など、可能な限りの説明と情報提供等を行って参りました。
 そもそも、制度的には住民説明会や公聴会、パブリックコメントも賛否を問うものではありませんので、区域整備計画に対するご意見をいただくものでありまして、いただいた意見を踏まえて必要な修正を行ったつもりでございます。
 国土交通大臣に区域整備計画の認定申請を行うに当たっては、まさに賛否でございますが、立地市町村の同意を得た後、県民の代表である皆様方県議会の議決を得るという非常に民主的な制度になっていると思います。
 県民の中に一部反対の方がおられるので、国への申請を見合わせるべきだとおっしゃるのは筋が通らないと思います。
 立地市である和歌山市では、区域認定申請を行うにあたっての同意を議会の議決すべき事件に定めており、去る3月30日「和歌山県特定複合観光施設区域整備計画に係る同意について」を賛成多数で可決いただいたところであります。
 本臨時議会において、議決をいただいた上で、初めて区域認定申請を行えるわけでございます。ご審議の上、どうかご賛同賜りますようよろしくお願い申し上げたいと思います。
 先ほど山家議員からお話がございましたが、誠にその通りでございまして、議会で議決を得て初めて区域認定申請を行えます。それをできないと、ここまで育ててきた和歌山県が途中で止めるのかということで、投資家に対するマインドに大変な影響を与えると思いましたので、説明が足りなくて大変申し訳ございませんでした。心は、皆さんよろしくお願い申し上げます、ということです。

(2)区域整備計画の内容について
・大阪カジノの影響について
《質疑》奥村規子 県議
 2つ目は、区域整備計画の内容についてお尋ねします。
 1点目は、大阪カジノの影響についてどう考えているかお聞きします。
  関西圏で、2つのIR計画が進められています。大阪のIR計画は、和歌山IRができてから2年ほど後に開業すると聞いていますが、2030年には大阪IRと和歌山IRが同時に営業されている可能性があります。大阪IRは、年間2000万人の来訪者を見込んでいますし、和歌山IRは、年間650万人の来訪者を見込んでいます。
 そこでお聞きしますが、和歌山IR計画の来訪者数は、大阪IRが開業した場合と、開業しなかった場合には、来場予測が大きく影響を受けるのは間違いありません。現在の和歌山IR計画は、大阪IRがある場合を想定しているのですか。それとも、大阪IRがない場合を想定しているのですか。理事の答弁を求めます。

《答弁》 田嶋理事
 大阪IRの影響ですが、和歌山IRの計画では、大阪をはじめ日本に3か所のIRが存在することを想定したうえで、来訪者数を試算しています。
 そのうえで、和歌山IRは、大阪とコンセプトが異なる本県の観光資源を生かしたリゾート型のIRであることから、2つのIRは共存可能だと事業者も考えており、県としても同じ認識です。

・過大な来場者数と収入予想について
《質疑》奥村規子 県議
 2点目は、来場者数や収入の予想が過大に見込んでいるという問題です。
 知事は、シンガポールのIRを例示されることがありますが、シンガポールのIRには、マリーナベイ・サンズと、リゾート・ワールド・セントーサという2つのIRがあります。その2つのIRの年間来訪者合計は6500万人です。そして、その2つのIRの中にあるカジノ売り上げは、合わせて3700億円です。この数字は、大阪市の自民党市議団が最近発表したものです。そして、和歌山IRの年間来訪者数の予測は650万人で、シンガポールの2つのIRのちょうど10分の1を見込んでいます。
 ところが、和歌山県IRのカジノ売り上げは、1900億円とクレアベストは見込んでいます。IRへの来訪者はシンガポールの10分の1なのに、カジノの利益は約50%を見込むというのは、あり得ないと言わざるを得ません。シンガポールと同じ水準なら、カジノ利益は370億円になります。それを1900億円と膨らませたのは、県に入る入場料納入金や県や和歌山市に入る納付金を、過大に期待させるものではありませんか。
 コロナ禍の中、本当に和歌山IRに650万人もの入場者が来ると考えているのでしょうか。県として、どのような根拠に基づいて試算したのかお教えください。
 和歌山IRのカジノ売り上げは1900億円となっていますが、県として、どのような根拠でそのような金額を出したのか、教えてください。業者が出した数字を信頼したものというような答えは、県として無責任ですから、県が根拠としたものを教えてください。理事、ご答弁願います。

《答弁》 田嶋理事
 IR区域への来訪者数とカジノ売上についてです。新型コロナウイルス感染症の影響により、業界全体が大きなダメ-ジを受けたのは事実ですが、IR開業を予定する2027年には、状況は回復していると考えており、そのような前提で算出しています。
 IR区域への来訪者数については、和歌山IRの施設の構成を踏まえて、国内外の類似施設の実績データをもとに、施設ごとに来訪者の積み上げ計算を行った後、施設間の重複数を考慮し、650万人と算出しています。
 最後に、収入予想についてですが、議員ご指摘のシンガポールの2つの年間来訪者合計6500万人という数字は、センサーで通行人の数を機械的にカウントするなど同一人物の重複を考慮しない数字でございまして、正確な来訪者ではありません。そのため、この数値を引用し、区域整備計画のカジノ売上が過大に見積もられているとのご指摘はあたらないと考えております。
 和歌山IRでは、カジノ売上については、海外IRの実績データやシーザーズの知見をもとに、マス、プレミアム・マス、VIPなどの客層ごとの来場者数に、客単価を掛け合わせることで算出しています。
 これらの算出は、事業者がその知見をもとに行ったものであり、その詳細については、県としても確認しており、内容については妥当なものであると考えています。
 また、和歌山県がIR基本構想を策定する際、大手監査法人に委託し、来場者数やカジノ売上の試算を行っています。今回、その数字をもとに検証を行いましたが、区域整備計画における数値は、投資規模から考えて過大なものでないと認識しています。



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