2022年9月和歌山県議会 楠本文郎 一般質問 概要記録


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                                    2022920
1.統一協会による被害と、県民からの相談について
(1)統一協会関連の相談について
(2)和歌山県消費生活センターのさらなる充実について
(3)オレオレ詐欺等の対応について

2.和歌山南陵高校の学校運営の問題について
(1)私立高校として継続運営できる条件をどのように考えているか
(2)生徒たちの学習環境を守り整えるために今後、法人及び学校に求めることは何か

3.再生可能エネルギーの普及について
(1)再生可能エネルギー導入率の現状について
(2)小水力発電について
(3)バイオマス発電について

4.河川管理の現状と対策について
(1)河川管理の困難さが増大
(2)浚渫の必要性はどこの河川でもあるのではないか
(3)日高川水系河川整備計画の進捗について


1.統一協会による被害と、県民からの相談について
《質問》楠本文郎 県議
 議長の許しをいただきましたので、通告に基づき順次分割方式により一般質問させていただきます。
 大きな項目の1点目は、統一協会による被害の状況と、和歌山県消費生活センターの相談活動、及びオレオレ詐欺などの現状について質問を申し上げます。
 まず統一協会関連についてです。安倍元首相への銃撃事件がきっかけとなって、もとの「統一協会」、現在名称は「世界平和統一家庭連合」と言いますが、今この団体の活動が大きな社会問題になっています。いまも被害が続いているからです。
 この団体には関連団体も含めたくさんの名称がありますが、もともとの名称は「世界基督教統一神霊協会」です。この質問では「統一協会」、アソシエーションで通したいと思います。この統一協会には二つの側面があります。一つは、霊感商法、集団結婚など甚大な社会的被害を与えてきた「反社会的カルト集団」としての側面、二つは、宗教的な装いと表裏一体の組織として「国際勝共連合」をつくり反共と反動の最悪の尖兵の役割を果たし政治に関与してきたことです。
 かつては「勝共連合」という名前などで御坊周辺の家々を訪れ、かなり高いハンカチやハガキ、珍味などを「難民救済のため」といって売りつけるとか、「障害者支援のため」と偽って訪問販売していました。また集団結婚式も有名な話になりました。私の知り合いにもその被害者がいます。
 統一協会の霊感商法をめぐる「新生事件」は2009年、和歌山市黒田にある統一協会和歌山教会に家宅捜査が入った事件です。この裁判で裁かれた手口は、通行人に「姓名鑑定をしてあげる」などと声をかけて事務所に連れていき、客の悩みや心配事は「家系に悪い運がついている。運命を変えるには印鑑を作ること」と不安をあおり、印鑑3本を110万円で購入させていました。私も御坊で相談にのりましたが、当時は「開運」ではなく「因縁」「祖先の悪霊」を取り除くという売り込みでした。
 判決では、「新生」という印鑑販売会社は、「客を統一協会に入信させることも目的として印鑑販売をしていた」と認定。販売手法と信仰が「混然一体」だったと指摘しています。
 添付の資料は、霊感商法対策弁護士連絡会が新たに作成した統一協会の関連団体の一覧表です。統一協会が無数の顔と名前を使って、信者や日本国民から金を集めて韓国へ送金している実態が明らかになっています。
 和歌山県内には紀の川市打田、和歌山市黒田、田辺市新庄の3か所に教会があります。そのホームページには清掃活動、多様なボランティア活動、友好を深める活動など多彩な活動に信者が参加していることが紹介されています。建物への費用も維持費もかかるでしょうから、信者から多額の資金提供を受けていると推察されます。
 統一協会が行政や政治家を活用するのは、自分たちの団体がそうした社会的、公的なところや政治家にも認められている存在だとの宣伝に使うためだと指摘されています。
 また、統一協会は「家庭教育支援」をひとつのテーマにしています。「教育の基本は家庭にある」という主張です。それは子どもが主人公であるとか、学ぶ権利であるとかではなくて、家庭が子どもを教育する、行政が家庭を教育する方向をめざしています。
 統一協会が、「世界平和統一家庭連合」に名前を変えることが出来たことが国政をゆがめたのではないかと問題になっていますが、地方自治体に向けては「家庭教育支援条例」や法律制定を求める意見書提出運動を装ってきています。そもそも家庭を重視するというのは、統一協会の教義とつながっています。「われわれの真の父母は文鮮明夫妻」という「血分け」の根本教義に通じるところからきているのです。夫婦別姓に反対するとか、LGBTQ を敵視する考えと連なっています。
 この統一協会の「資金集め」のやり方は、1980年代から 2000年代に社会的に問題になった壺や印鑑を法外な値段で売りつけるやり方から、今は中心的には信者に多額の献金をさせる手法に変化しています。
 こうした状況を受けて政府は、この9月5日から30日の間、旧統一教会問題相談集中強化期間を設けました。7つの省庁の合同電話相談窓口の設置ですから、この統一協会問題の深刻さが浮き彫りになる事態であり、その対応も異例です。
(1)統一協会関連の相談について
 そこで第1の質問は、県消費生活センターとして受けた過去の相談のうち「開運商法」に関するものは何件あったでしょうか。このうち統一協会に関するのは何件でしょうか。

《答弁》 環境生活部長
 県消費生活センターに寄せられた消費生活相談のうち、開運商法に関するものの相談件数は、令和3年度では14件で、過去10年間においては毎年20件以内で推移しております。
 なお、特定の団体・事業者に関する相談の有無やその内容については、一般に当該事業者等の正当な利益を害するおそれなどがあるものとして、和歌山県情報公開条例の趣旨に鑑み、公表しておりません。

(2)和歌山県消費生活センターのさらなる充実について
《質問》楠本文郎 県議
 次に、この統一協会問題に限らず、この機会に県消費生活センターの活動についてお尋ねします。訪問販売、還付金詐欺など今までの相談頻度の高いものから、18歳成年年齢引き下げを狙った「お試し購入」、火災保険・地震保険の請求を勧誘する業者トラブル、高齢者を狙った「過量販売」や老人ホーム入居権詐欺など実に多種多様な相談が増えているとお聞きしました。その実情についての概要説明をお願いします。
 センターとしての多岐、複雑化する相談活動だからこそ、相談員の研修が必要ではないでしょうか。さらに弁護士などとのネットワークを持ってのスキルアップが必要不可欠だと考えます。現状と今後の方向性についてお答えください。

《答弁》 環境生活部長
 県消費生活センターに寄せられた相談の概要と消費生活相談員のスキルアップについてお答えします。
 令和3年度の相談件数は、5,116件であり、その内容は、化粧品・健康食品の定期購入トラブル、簡単に高額収入を得られるという内職や副業などのもうけ話、出会い系サイトの高額請求など、多岐にわたっております。
 そのため、消費生活相談員に対しては、国民生活センターが実施する高度化・複雑化する相談に適切に対応するための研修を積極的に受講させるとともに、2か月に1回程度開催する和歌山弁護士会との共同事例検討会に参加させるなど、様々な事案に対応できるスキルや知識の習得を図っております。
 今後とも相談対応能力の充実に努めることで、消費者トラブルの未然防止や早期解決に取り組んでまいります。

(3)オレオレ詐欺等の対応について
《質問》楠本文郎 県議
 同時に、刑事犯罪に仕分けされる相談も減少するどころではないとお聞きします。「特殊詐欺」にあたる被害や相談について、認知件数、年齢構成、被害額のそれぞれの特徴的な状況を報告いただき、それに対しての和歌山県警察本部としての現在の取り組みの中心点をお示しいただきたいと思います。この3点目については県警本部長からお答えください。

《答弁》警察本部長
 特殊詐欺被害の現況についてご説明いたします。
 令和4年8月末の被害認知件数は58件で、前年同期比で+19件被害総額は約8340万円で、前年同期比+2030万円と、認知件数・被害金額とも増加傾向にあります。
 主な手口は、未払料金があるなどの架空の事実を口実として金銭等をだまし取る架空料金請求詐欺が22件で最も多く、次いで、医師を装い「息子さんの喉の手術をした」等と電話が掛かってきた後に、息子を名乗る者から金銭を要求する等のオレオレ詐欺が13件となっております。
 被害者の傾向としましては、65歳以上の高齢者が43人と全被害者の約74%を占めています。
 また、被害にあった高齢者のうち、女性が約84%を占めており、高齢女性の被害割合が高くなっています。
 県警察では、高齢者宅への巡回連絡等による直接的なアプローチ、防犯メール、防災無線や回覧板を利用したお知らせなど、基本的な対応のほか、高齢者のご家族や周囲の地域住民の皆様に対して幅広く広報啓発を推進しております。
 その一部を申し上げますと、犯人からの電話に出ないよう常時留守番電話設定の呼びかけ、 特殊詐欺被害防止に特化した24時間フリーダイヤル「ちょっと確認電話」の利用促進、金融機関やコンビニエンスストア等の関係機関・団体と連携した、被害にあう前に声かけしてもらうなどの水際対策、発信力の高い著名人やご当地アイドル等にご協力をいただいた積極的な広報啓発活動などの被害防止対策を強力に推進しているところであります。
 なお、「ちょっと確認電話」は、運用を開始した令和3年3月から本年8月末までの間に、約5,500件の着信があり、380件の特殊詐欺被害を未然に阻止しています。
 県警察では、今後も、「検挙」と「抑止」の両面での対策を推進してまいります。

《要望》楠本文郎 県議
 この間の全国霊感商法対策弁護士連絡会の活動と過去の判例により、統一協会の目的、手段、結果に照らして、協会の伝道教化(教え導く意味)の過程は「社会的相当性を逸脱したもの」であるというとても重い結論です。
 つまり協会による正体を隠した勧誘、マインドコントロールを使った教化などにより、財産を収奪し、加害者を再生産し、被害者は家族と断絶させられる。このような事実が報告されているところです。
 また、統一協会の韓国版の「原理講論」には「アダムとエバの時代、エバの不倫により人類は原罪を負い、サタンの血族となった」「選ばれた女性が教祖の文鮮明によって清められることで原罪のない子を産み、人類が救済される」という特異な教義であることもジャーナリストによって紹介されています。
 行政は真実を見極めなければなりません。私は、被害の根絶にむけて宗教法人としての解散命令を出すべき団体だと考えます。法人として守るべきことを守っていないから、解散せよと言っているわけです。
 公正であるべき行政は統一協会、もしくは関係団体のいかなる催しなどにも加担しない。お墨付きをあたえ、広告塔の役割を担わされることになり、被害者を増やすことになります。したがって、寄付も受けない。名称を隠すことが良くありますから、関わっていることが判明した時点できっちり清算する。この原則も庁内で確認していただきたいと要望します。
 「政治家」と言われる議員は、「統一協会」とはいかなる団体で、その関連団体も含め「自らも広告塔の役割を担わせられることが在りうる」という識見を持っているかどうかが問われます。襟を正して自己調査を徹底し、「自己清算」を呼びかけるものです。
 今回私は統一協会に対する質問を準備してきました。今明らかになってきているのは、信者に依拠した寄付行為に切り替えていること。ますます被害が陰にこもる。これ以上被害を出させないためには、統一協会に対する敏感さを持ってほしいという思いと、被害がこもらないようにするためには疑問や不安を持ったら、とにかく公的な機関の気軽に相談できる体制が必要だという結論で、県の消費生活センターと県警本部に対して尋ねることにしました。
 10年間の保存期間、しかも商法としての被害が少なくなってきた時期、「開運」商法としては10年で119件だが、消費生活センターへの相談は令和3年度は全体で5,116件と爆発的。県警への「ちょっと確認電話」の利用は1年半で5,500件の着信で380件の特殊詐欺被害の未然防止と答弁されました。
 かつてはクーリングオフの問題、その前はクレジット・サラ金関係、やみ金融、保険金請求の増加、「過量販売のご注意を」のチラシ、入居権詐欺というほど新手がどんどん出てくる。今ではなくてはならない相談所。さらに県警では刑事事件なのかどうかも判別できないような内容も含まれています。
 消費生活センターでは、和歌山市の本所職員5名、相談員4名、田辺市の紀南支所は職員2名、相談員2名、別枠で御坊市と周辺日高郡内の6町で共同の相談窓口が設置されております。それぐらいニーズが高くなっているということです。
 公表ができないということは了解します。何故なら「商法」にかかわるか契約は成立するか、「寄付行為」かどうか、「相続」関係も調べる必要が出てくるなど。刑事・民事の判別、商法と詐欺の判別、などとても難しい。だからこそ、こうした相談員のスキルアップは欠かせない。複雑多岐にわたる相談内容を、どこにどのように仕分けして紹介するか日々悩むと考えます。県民の不安に応え、安心・安全の県民生活が営まれるようその活動の充実を要望します。


2.和歌山南陵高校の学校運営の問題について
(1)私立高校として継続運営できる条件をどのように考えているか
《質問》楠本文郎 県議
 二学期に向けて、学校法人南陵学園から保護者に対し、8月26日付で「理事長就任のご挨拶」が送られました。新理事長とともに学校長のお名前もあり「事業承継が完了」とされていました。
 また文中には、9月中に保護者会を開催し今後の学校運営の方針等について説明する旨の記載がありました。
 しかしその説明会が開かれる気配がないので、9月13日保護者有志から学校に対し、昨年度の保護者会の収支報告書の開示、来年度の保護者会の役員を決める選考委員会の設置などを求めて申し入れされています。
 一方、高校所在地である日高川町議会では9月定例会一般質問が12日、13日に行われました。「新理事長から町への説明は得られていない。ただ町としては水道料金や施設使用料の納付遅延には粘り強く徴収に努めながら、給水の停止や施設の使用を制限していない」などが答弁されています。
 生徒たちにとって自分ではどうしようもない期間が続いています。気が気でない期間を早期に改善しなければなりません。県担当課は、私立高校として継続的に運営できる条件をどう考えておられるでしょうか。

《答弁》 企画部長
 私立学校法において、私立学校を設置する学校法人は、自主的にその運営基盤の強化を図るとともに、その設置する私立学校の教育の質の向上及びその運営の透明性の確保を図るように努めなければならないとされております。
 また、その設置する私立学校に必要な施設及び設備又はこれらに要する資金並びにその設置する私立学校の経営に必要な財産を有することが求められています。
 しかし、学校法人南陵学園は、公租公課等の滞納や保護者からの預り金の返還遅延、教職員への給料の未払い事案の発生など、その経営が著しく混乱しており、これらの要件を満たしていない現状にあると判断されたため、当該法人の所轄庁である静岡県から、本年7月8日付けで、改善を求める措置命令が発出されたところです。
 私立学校法では、運営の改善その他必要な措置命令などの方法により監督の目的を達することができない場合には、最終的に、所轄庁が学校法人に対して解散を命ずることができるとも規定されておりますので、学校法人南陵学園が解散に至らず、和歌山南陵高等学校の運営を継続していくためには、現在静岡県から発出されている措置命令に適正に対応し、経営の混乱を速やかに解消することが必要であると考えます。

(2)生徒たちの学習環境を守り整えるために今後、法人及び学校に求めることは何か
《質問》楠本文郎 県議
 2点目として、私立高校も国公立の学校とかわりなく、教育基本法の規定「公の性質」を有するものとされ、さらに「公共性」を高めるため、その組織・運営等についても様々な規定がおかれています。和歌山南陵高校は少なからず正常な組織運営ではなかった訳ですから、これらの規定どおりの運営になっていくことが「最低の条件」です。運営面での改善がはかられつつあるのかどうかが問われます。
 そして経営の安定の元で、学習環境を整えることが学校法人に求められることですが、現状はまだほど遠いと言わざるを得ない情報が私にも多々寄せられています。
 和歌山県としてまだ改善されていないと考え、法人及び学校に求めていることをお示しください。

《答弁》 企画部長
 和歌山県として法人及び学校に求めていることについてですが、学校法人南陵学園及び和歌山南陵高等学校に対しましては、これまでも、生徒の学びに支障が生じることのないよう、その運営に係る問題点について複数回に渡り改善を求めてきました。
 新たな校長の就任と校務の執行、通信制課程の教頭の選任など、これまでに是正されてきたものもありますが、日本私立学校振興・共済事業団への掛金及び公租公課の滞納並びに図書室の未設置など現在も改善に至っていない点が残っているため、引き続き指導しているところです。
 また、学校の施設及び設備の経年劣化等により衛生面や安全面で問題が発生している箇所についても、生徒の学習環境を守る観点から、引き続き、早急な対応を求める必要があると考えています。
 さらに、生徒の皆さんが安心して学校生活を送ることができるよう、学校の現状や今後の運営方針について生徒及び保護者の方々並びに教職員に対して速やかに、かつ正確に説明を行うことが極めて重要であると考えております。
 以上のように、多くの問題が残されておりますので、学校法人南陵学園に対して、生徒たちの学びの場を守るための改善を早急に行うよう、引き続き強く求めてまいります。

《要望》楠本文郎 県議
 日々変化があります。情報も視点が変われば良しあしが変わります。
 最も、重視されるべきことは、この学校の主人公は誰なのか見失わないこと、それは生徒です。
 まだ、未成年ですから保護者の意見も重要です。だから、全保護者への説明会は、早期に開くべきことです。
 分業の進んだ高校であっても、教育である以上教職員の集団で行われるべきです。経営は、理事者会であって理事長の独断はあり得ません。有名な私立大学のおおきな教訓でもあります。
 大人が、知恵を絞ってこの子らを育てるという思いを共有するところから教育が生み出され、生徒に素晴らしいものを伝えられるのだという中心点をはずさず、県当局の奮闘を切望します。


3.再生可能エネルギーの普及について
 大きな項目の3点目として気候危機に対応する脱炭素化、再生可能エネルギーの普及についてお尋ねします。
 先の6月議会における杉山議員への答弁で、環境生活部長は「本県の脱炭素化を進めるためには、地域と密着した行政を担う市町村の積極的な取組が重要です。(中略)そうした取組をさらに拡大していくことが必要」とし、国の支援強化にも触れられていました。
(1)再生可能エネルギー導入率の現状について
 今回は、その脱炭素化の点に絞ってお尋ねします。まず、第5次環境基本計画では「2030年度における、県内消費電力に対する再生可能エネルギー発電量の割合が33%になることを目指します」とあります。現時点でのこの比率は何%になっているでしょうか。
 私は、「地域と密着した脱炭素化」を進める柱は3つあると思っています。その一つは太陽光発電です。地域と密着しないいわゆるメガソーラーに対する和歌山県独自の条例制定は、地域住民の安心と安全を図るうえで評価申し上げるところです。一方で私は日照時間の豊かな和歌山県でこその思いで太陽光発電施設を自宅屋根に設置して22年になります。何回かの台風にもちゃんと耐えてくれました。そうした経験からも自宅屋根のパネルが最も合理的で現実的だと考えています。その上に、公共施設、とくに学校は広い南向きの屋根があって最適な設置場所だと考えます。倉庫などの長い大きな屋根を見るたびに「ここに太陽光パネルを設置したらよく発電するやろうなあ」とさえ思います。
 また、最近は農地におけるソーラーシェアリングが全国で広がっています。これは技術的な到達点としては可能な発電になってきたのではないかと考えます。以上の点は、太陽光発電のより一層の普及が進むだろうし、進ませたいという私の思い入れです。

《答弁》 商工観光労働部長
 県内消費電力に対する再生可能エネルギー発電量の割合は、県の推計値では、2021年度末時点で、約27%となっております。

(2)小水力発電について
《質問》楠本文郎 県議
 思うほど導入の進んでいないのが小水力発電です。有田川小水力発電は全国的に有名になりました。この成功事例や、島之瀬ダムでの小水力発電も稼働しています。田辺市上秋津では民間での水力発電所が進められています。水量豊かな和歌山で河川や中小ダムを活用した小水力発電がまだ見えてこないのが残念です。今後どのような普及啓発を行っていかれますか。お示しください。

《答弁》 商工観光労働部長
 小水力発電については、発電効率のすぐれた電源として、発電により得られた収入を農業水利施設の維持管理費に充てるなど、エネルギーの地産地消として地域で有効に活用されています。
 県内では、議員からご質問いただいた二川小水力発電所をはじめ、発電出力1000kw以下の発電所が、9箇所稼働しているところです。
 一方、小水力発電所の適地の選定にあたっては、地盤や流量などの自然条件による制約があります。また、工事・メンテナンスのためのアクセス確保等の立地条件に伴う課題の他、河川の占用許可や水利権の調整なども必要になると認識しています。
 県としては、現在、許認可についての担当窓口や関係法令、制度内容等を紹介するなど、調整の円滑化に取り組んでいます。
 引き続き、こうした取組に加え、市町村や事業者に対する意識啓発を行いながら、小水力発電の導入を推進してまいります。

(3)バイオマス発電について
《質問》楠本文郎
 次に、バイオマス発電についてです。すでに新宮市、上富田町で国産材での実用化が図られてきています。また、日高港での輸入燃料による計画も発表されました。ただ、この輸入燃料をめぐっては、ウクライナ侵略問題などから不安視する意見もあります。
 本来的に外国産の燃料輸入頼みではなく、国内の未利用材を活用したチップやペレットの生産技術の向上のもとでの国産燃料づくりが求められているところだと考えます。この点では、県内における木質ボイラー設置でも、チップ・パウダーに加え、木屑炊きや間伐材による薪燃料の活用も取り組まれてきていますが、今後木質バイオマス発電を円滑に進めるためどのような取り組みが必要と考えられますか。

《答弁》 商工観光労働部長
 木質バイオマス発電につきましては、再生可能エネルギーの一つと位置づけられるとともに、出力を調整可能な電源として注目されているところです。
 このような中、県内においても、ここ数年間で、紀南地方を中心に木質バイオマス発電所の立地が進んできましたが、先般、日高港において大型発電所の建設が決定したところです。
 このことは、再生可能エネルギーの普及にとどまらず、雇用の創出や地域経済の活性化への貢献も大いに見込まれ、大変喜ばしいことだと考えております。
 一方で、木質バイオマス発電は、大量の燃料を必要とすることが特徴であり、円滑な運営のためには、燃料を長期にわたり安定的に確保していくことが肝要であると考えております。
 今後、県内の発電所において、間伐材等の未利用材の利用が増えていくことが予想される中、全国でも有数の森林県である本県では、燃料用原木の生産やチップ加工施設の整備など燃料供給体制の強化を図り、事業者の安定操業を支援してまいりたいと考えています。

《要望》楠本文郎 県議
 台風14号は、和歌山にきても不思議はありませんでした。被害を受けた方々が今後明らかになってきます。たまたま今回、被害は殆どなくても、いつまたの思いです。
 気候危機からどうやって次の世代に地球をゆずるのか。今や今生きているすべての世代の共通の思いです。それぞれの立場で、それぞれの出来ることをてこ一杯やりましょう。


4.河川管理の現状と対策について
(1)河川管理の困難さが増大
《質問》楠本文郎 県議
 日高川の本流における河川内堤防のり面の低木や草の除去は振興局建設部において予算を取って実施されています。一方、本流に流入する支川においてはその堤防は殆ど天端舗装もなく、草刈りは地域の農家を中心に町内会・区会総出で行われてきました。「道普請」と同様に「川そうじ」「下草刈り」などと地域で表現されて、管理は地域でやるという自負を持ったいわばボランティアに支えられてきました。
 時代の変化の中で、近年の農家人口の減少と高齢化、地域全体の人口減少とも相まってこの活動が出来なくなってきています。特に、小さな河川はどこでも河床に草が繁茂し、増水すると途端に堤防は流量に制限がかかり付近に越水や、はては破堤もありうる状況となっています。こうした状況は県内どこでも言われていることではないでしょうか。
 近い将来、放置される堤防や土手がたくさんになる。その前に対策が必要だと考えますが、先進事例も含め、どう対策されるのでしょうか。お示しください。

《答弁》 県土整備部長
 県では、河川の除草等の活動に対して、河川愛護会として届けている自治会等には奨励金による支援、きのくにリバーアドプト事業に参加している企業やNPOなどの団体には活動に必要な物資の貸与や提供による支援を行っているところです。
 また、日高振興局建設部では、これらの活動に際して車輪が付いた自走式の草刈機を貸し出し、除草の負担軽減を図っております。
 県としましては、地域における河川の除草や清掃などの活動に対し、引き続き支援を行うとともに、河川管理者として河川管理上必要な箇所については除草を実施してまいります。

(2)浚渫の必要性はどこの河川でもあるのではないか
《質問》楠本文郎 県議
 次に、河川内の土砂や堆積物、また砂利の撤去を望む声はどこの河川でも多いのではないかと感じています。今後、地球温暖化による洪水や線状降水帯による集中豪雨、大雨は必ず増加する訳で、「これで安心」という河川は少ないのではないでしょうか。
 そうだとしたら、川の掘削や浚渫を計画的に実施していくことが必要になります。県下全域での浚渫予算は災害がなくても増額していかなければならないと考えます。河川の浚渫に関する予算は確保されてきているのでしょうか。今後の方向性もあわせてお答えいただきたいと思います。

《答弁》 県土整備部長
 議員ご指摘のとおり、県内の河川においては、河川内の堆積土砂の撤去の重要性が増しております。
 土砂の堆積状況や人家への危険度の観点から優先度の高い箇所においては、本来の流下能力を確保することを目的として、緊急的に堆積土砂の撤去を実施しています。
 近年では、令和2年度に創設された緊急浚渫推進事業債を活用するなど、堆積土砂の撤去にかかる予算の確保に努めております。
 今後とも、堆積土砂の撤去など河川内の適切な維持管理を行ってまいります。

(3)日高川水系河川整備計画の進捗について
《質問》楠本文郎 県議
 最後に、日高川水系河川整備計画についてお尋ねしておきます。
 ひとつは、西川支川の下川の放水路の設計についてです。ボーリング調査などの結果、御坊市湯川町小松原の県道御坊美山線と御坊停車場線の交差点を起点として、御坊停車場線を南進して、日高川堤防道路を終点とするという当初計画に変更はありませんか。
 市民が呼ぶ通称18メートル道路の下に放水路を埋設設置することも見通しは立ったのでしょうか。問題はこの道路の起点から終点までの傾斜がどうか、放水される流量からみて最終はポンプアップをしなければならないのではないかという地域の意見があります。沿道の方々の心配事でもあります。現時点の進捗状況をお答えいただきたいと思います。
 さらに堂閉川は、測量が順調よく進み、地域説明会も行われました。地域では期待の声が寄せられています。引きつづきの来年度予算の確保をいただき早期の完成を目指していただきたいと思います。この方向性をお伺いします。

《答弁》 県土整備部長
 まず、下川につきましては、日高川へ接続する放水路を県道御坊停車場線の下に整備することで浸水被害の低減を図る計画としており、現在は、放水路の設計や地質調査を行っているところです。
 次に、堂閉川につきましては、河道を一部付け替えて斉川の下流に接続することで流下能力を高める計画としており、令和4年5月と7月には地元説明会を実施するなど、地域の皆様の意見も聞きながら、設計を進めているところです。
 今後も引き続き、必要な予算の確保を図り、計画に基づいた河川整備を進めてまいります。

《発言》楠本文郎 県議
 しっかり進捗していることに感謝します。
 「水系整備計画」は具体化が急がれる計画であり、同時に避難体制、訓練などと同時に取り組むべき課題です。


 
                        環境生活部長の答弁を聞く、楠本文郎県議(右)
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