2022年12月県議会 建設委員会 楠本文郎委員の質問概要記録
                                   12月12日
《質問》楠
本文郎 委員

 河川改良費の補正前が82億円と示されて、補正で79億円、この改良費をこれからどう使っていくのかといえば、工事箇所表の各工事に配分されていくということもあるが、一つは各振興局に配分されるということと、各工事箇所に配分されるということであるが、併せてお示し願いたい。

《答弁》 河川課長
 今回の補正予算約79億円のうち、直轄負担金5億円を除く約74億円については、工事箇所表で示している全8建設部33河川、それと例えば洪水浸水想定区域図作成など県下一円に関わるものについては、本庁河川課に配分することとしている。

《質問》楠本文郎 委員
 この補正予算説明書の42ページに示されている財源の内訳について、国土強靭化の施策を活用することになっている。補正予算79億円のうちの国庫支出が36億円弱、地方債43億円弱という形になっているが、諸収入を含めて説明願いたい。

《答弁》 河川課長
 補正予算説明書42ページの歳出、河川改良費の補正額79億7466万8000円の財源内訳であるが、国庫支出金35億9500万円は補助割合40%から50%の社会資本整備総合交付金等になる。県負担額の43億3102万3000円は、地方債42億8000万円、一般財源5102万3000円、その他が諸収入4864万5000円となっている。なお、当該事業の地方債は、国の補正予算によるもので起債充当率は100%となっている。

《質問》楠本文郎 委員
 国庫支出については社会資本整備総合交付金事業ということで、これが国土強靭化予算のなかで国庫支出されると。これ以外の財源については、県が一般財源の約5100万円と地方債とで借りるものとして認められているが、この地方債については補正債ということもあって、100%基礎額に含まれるという理解でよいか。また、諸収入とはどこからのお金であるのか。

《答弁》 河川課長
 地方債は国の補正予算によるものであるため、起債充当率が100%であるという理解でよい。諸収入については、ダムの事業の関係でアロケーションを組んでおり、関西電力、有田川町、印南町から収入を得る形となっている。

《質問》楠本文郎 委員
 道路の維持費についても負担割合も違うため、改めて同じ中身の質問を行う。出40ページ、道路維持費、補正前157億、補正で20億、河川よりも額は少ないが、国庫支出金の割合は高い。地方債の額も含めて説明をお願いする。

《答弁》 道路保全課長
 出40ページの道路維持費の補正額20億2221万1000円のうち、道路保全課分は、20億2000万円であり、その財源内訳として、国庫支出金が11億8119万6000円であり、補助率は0.55から0.6435の事業が混合しており、全体の比率として、0.5848となっている。国庫支出金を除く、県負担額の8億3880万4000円のうち、地方債が8億3850万円で、残り、30万4000円が一般財源となっている。なお、当該事業の地方債は、先ほどの質問に対する回答のとおり、国の補正予算によるもので起債充当率は100%となっている。

《質問》楠本文郎 委員
 一般会計補正予算について、出45ページ、街路事業についてはどのようになるか。

《答弁》 道路建設課長
 出45ページの街路事業費「公共街路」の補正額1億100万円の財源内訳について説明する。国庫支出金5500万円については、補助割合55%の都市局所管補助金である。分担金及び負担金1683万3000円については、県が施行する建設事業により利益を受ける市町村から負担金として徴収するものである。また、地方債の2910万円、一般財源の6万7000円の合計が県負担額となる。なお、当該事業の地方債は国の補正予算に伴うもので、起債充当率は100%である。

《質問》楠本文郎 委員
 12月補正予算総額のうち、約83%が「防災・減災、国土強靭化」予算ということで、私の計算では347億円となっている。その出していく所は、市町村が求めている所であり、県が事業として早く進めたい所であり、予算をいただけるのであるから、事業をしっかりと進めて行きたいと理解している。昨年度も多かったが、昨年と比べてどれくらいの増加か。併せて、これだけ高額の国土強靭化予算がつけられたことにより、どのような効果があると考えるか。

《答弁》 県土整備総務課長
 県土整備部は、防災・減災、国土強靭化5か年加速化対策として、今年度315.4億円に係る補正予算を計上している。令和3年度国補正の額は、279.2億円だったので、36.2億円、対前年比13.0%の増加を見込んでいる。効果については、この予算は、台風や局地的豪雨による被害が頻発し、また近い将来発生が懸念されている南海トラフ地震への対策が喫緊の課題である本県にとって、道路のり面対策、河川の河道掘削等による浸水対策、防災拠点や避難場所等を保全するための砂防事業、津波から逃げ切る対策に基づく海岸堤防や港湾施設等のかさ上げ・強化など非常に有益な対策に資すると考える。
 また、防災・減災対策のみならず、緊急輸送道路である紀伊半島一周高速道路の整備、既存インフラが災害時に十分な機能を発揮するための老朽化対策、河川等の監視カメラ増設などデジタル化といったものが今まで以上に進展し、県にとって大きく寄与することが期待され、本予算を活用することで、本県の国土強靭化を一気に進めることができ、安全・安心な社会基盤を確実に次の世代に継承するための力強い後押しになるものと考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 大きく捉えて、補正予算になると借金をするのに起債充当率は100%ある。当初予算では100%までいかない。補正で積んでもらうほうが、一般財源と起債は県の持ち出しだが、起債充当率100%だと県の持ち出しはあとから帰ってくる部分もあるのでよい。当初予算を少なくして、補正でしっかり稼ごうという考えも出てくると思う。ここらは、政治のバランス、社会経済情勢、国の意向総合的なものだと思うが、「補正は得や」、これについてどう思うか。

《答弁》 県土整備部長
 我々もそういう意味では分かっている話ではある。補正時の国の裏負担の起債充当率が当初よりも高い。これは、国の政策として、補正予算の円滑な執行を勘案しての措置と認識している。だから、当初予算を少なくして補正予算を多く取ったらよいのかというのはあるが、一方で、補正は、今でこそ5か年加速化対策があるので少しは先が見えるところもあるが、和歌山県にどれだけ配分されるかは不確定で分からない。計画的な県土の整備を資するために、当初は当初でしっかりと予算を確保したいというのが我々の思いである。

《質問》楠本文郎 委員
 2つの懸念が出てくる。1つは、県の執行するほうの配分、設計、振興局での設計、欲しいと言ったが消化するのにマンパワーがかなり要る。夜を徹して仕事しなければならない。その点で大変な業務量になる、その点はいかがか。
 2つ目は、俗世間では16か月予算と言われている。明許繰越が確実で、これを3月末で完了するのは不可能である。明許繰越が確実なものを多くもらうと、当初予算との執行バランスはどうなっていくのか。当初予算を控えないと事業を消化できないのではないか。

《答弁》 県土整備総務課長
 公共事業の施行状況だが、令和4年度当初予算と昨年度の繰越予算を合わせた予算額は1069億円と過大な金額で、10月末の契約率は83.6%となっている。昨年度よりも今年度のほうが補正予算が10%増えており、今回の予算についても今議会で明許繰越をお願いしているところである。今年度の補正予算も今年度ペースで執行し、来年度10月末83.6%以上に契約率を上げていくよう頑張っていく。

《意見》楠本文郎 委員
 「ありがとうございます。ご苦労様でございます」の言葉を同時に言わなければならないほどの補正の大きさ、ということでこの質問は終わる。
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《質問》楠本文郎 委員
 議案第142号「水上オートバイ航行の適正化に関する条例」について、水上オートバイの愛好者はどのくらいか。県外まで分かればよいが、資料もあればよいのだが、県下でどのくらい要ると推定しているか。

《答弁》 港湾空港振興課長
 愛好者数のデータは把握していないが、日本小型船舶検査機構が公表している令和3年度末における県内の水上オートバイの登録数は770隻であり、おおむね同程度の愛好者がいると思われる。

《質問》楠本文郎 委員
 いわゆる啓発も事業者に大分お願いしないといけないということで、そこがおおむね把握していると考えて、770という数字はそんなに多くはないと思う。
 ただ、その770の総数の部分について、今までにトラブルや事故が発生した事例はどのぐらいあるか。また、その事故やトラブルについて、相手方が遊泳者であったり、サーフィン等の愛好者、漁業者の方々の意見はどうか。

《答弁》 港湾空港振興課長
 水上オートバイの事故については和歌山県水上安全協会が公表しているが、令和元年は4件、令和2年は3件、令和3年は1件である。直近の令和3年の事故の内容は、水上オートバイによる遊戯中、ゴムポートを牽引するロープが足に絡まり、20代と30代の男性2名が負傷したもの。遊泳者等の意見だが、水上オートバイが往来することで、人身事故の発生が懸念されるとの声があると関係市町から聞いている。漁業関係者からは漁業活動の妨げとなることから、水上オートバイの乗り入れの制限を求める声を聞いている。パブリックコメントにおいても、定置網や生けすの周辺を水上オートバイが航行することで、定置網の漁獲の減少や生けすの魚の生育に影響が出るなどの意見があった。

《意見》楠本文郎 委員
 事故やトラブルが起こっているので、何らかの対応をしないといけないというところで、行為の規制ではなく、水域のすみ分けをしようというのが今回の提案だとよく分かったので、その点では賛成するべき条例だと思う。
 特に私の身近には漁業者がいるので、オートバイの音もそうだが、漁業者の生業をしている場所を彼らは知らない。自分が岩にぶつけてというのは自己責任だが、漁業者に対しての過失ということもありうるような状態なので、そのために条例にも示されているように、市町の意見を聞きながら、市町が問題提起することができるという条文も正しいと思う。

《質問》楠本文郎 委員
 最後の質問だが、一定の予算化が必要かと思うが、マンパワーで指定をしていくという規制の問題だけでなく、例えば啓発の看板だったり、そういうものが施行されたらすぐに必要になる部分かと思うが、当初予算での予算化は考えているか。

《答弁》 港湾空港振興課長

 予算に関しては看板やチラシ等で、それほど大きい金額にはならないので、とりあえずは自分のところの予算で啓発活動等をしていく。

《意見》楠本文郎 委員
 了解した。とにかく販売店の方々のしっかりした協力というところから啓発が始まるということでおさえておきたいと思う。
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《質問》楠本文郎 委員
 続けて、議案第160号について、権利の放棄の問題である。他の委員が指摘された部分を踏まえて、答弁いただいた部分を押さえてだが、結局これについては、平成12年に1億円を貸し付けて、3年後には未償還が始まって、5年後には債務超過による特定調停をするということである。3年後の未償還、ここが一番のポイントだと思う。その後、しっかりと法的な措置を取らないといけないと慌てているのが見える感じがする。だから、やっぱり計画そのものに無理があった、地価の下落という不確定の要素があったとしても、これはずさんな計画であったのではないかという思いは拭えない。
 それと同時にそのことを認めた県の責任はどうなのかということが問われてくるのではないかと。当時の担当課でも同じように担当していると思うが、やっぱり貸付審査会というものの存在、第三者の評価というのがいるのではないか。それはあったのか、なかったのか。
 計画そのものの問題と、それから県が見抜けなかったということをどう総括するか。

《答弁》 都市政策課長
 計画に関して、当時、組合が提出した申請書を審査したところ、先ほども申し上げたが、当時の近傍公示価格は平方メートル当たり8万8000円から9万6000円であり、組合の販売予定価格として見込んだ価格は区画整理事業としての資産価値向上を考慮しだ9万6800円で計画しており、適正であったと判断している。
 また、貸付申請書を当時の建設省に提出し、国においても承認されている。また、貸付審査会に関して、都市開発資金の貸付けに関する審査会はなかった。県としては、当時の判断は妥当であったとの考えである。

《質問》楠本文郎 委員
 そういう答弁になるのは分かる。当然ながらそうなるのだが、一生懸命やっている姿は見えるが、せめて元金の部分は取りたい、事前に聞くと、担保物件を競売に掛けたところ手続費用のほうが大きくなったというところまで説明があったが、今の時点の追い方としては理解できる。だから、出発のボタンの掛け違い、評価の仕方が問題であったと言わざるを得ない。それをそのまま、仕方ないと言って認めてもいいのかというのは、他の委員も言われた流れだと思う。
 本当に納得しがたい部分は、貸付け時点が勝負だったというのが率直なところくではないかと思うし、タイミングを逃していないか見直しをしないといけない。金額も非常に大きく、中途半端な金額ではない。この教訓ということで言うと、どう考えているのか。

《答弁》 都市政策課長
 今後、貸付け等を行うことがあれば、今回の事案を教訓として、確実な担保の提供を求めるとともに慎重に審査を行っていきたいと考えている。
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《質問》楠本文郎 委員
 浚渫債について、この県議会でも湯浅の議員の方が質問された。前の議会では私も質問を行った。全県的に浚渫債を取らなければならないような河川の状態があるのではないか。これだけ大きな金額の補正予算であるが、この浚渫にかかる河川修繕の事業費が含まれていないのではないか。だとすれば、来年度当初に浚渫債を活用した予算化が求められているのではないか。これは全県的にそのような状態があるのではないかと捉えていただければありがたい。

《答弁》 河川課長
 指摘のあった浚渫債の事業についてであるが、やはり県内の河川は河道掘削をやっていくことで治水安全度が上がる河川が非常に多くあり、現状この令和2年度から始まった浚渫債の制度を活用して、もしこの制度がなければ本来もっと時間がかかっていたところを、かなり短縮してやっていくことができているということで、まさに認識のとおりだと考えている。当初予算については、この浚渫債を組み込んだ形で計画していると理解いただければと思う。
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議案に対する採決
議案第160号 権利の放棄について
は賛成多数により原案可決
日本共産党・楠本文郎委員は反対
→ 奥村規子の議案に対する反対討論 録画中継2000~)

議案第136号 令和4年度和歌山県一般会計補正予算
議案第142号 和歌山県水上オートバイ航行の適正化に関する条例
議案第147号 令和4年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
議案第155号 由良港小型船舶係留施設の指定管理者の指定について
議案第156号 日高港緑地の指定管理者の指定について
議案第161号 工事請負契約の締結について
議案第162号 工事委託契約の締結について
議案第163号 工事請負変更契約の締結について
は全会一致により原案可決


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