2023年2月和歌山県議会 奥村規子 一般質問 概要記録
 
  録画中継
                              2023222
1.新型コロナ感染症対策について
(1)救急搬送の実態と県の対応について
(2)介護施設等への支援策について

2.コロナ禍と物価高騰対策について
(1)インボイス制度の導入中止と消費税の引き下げについて

3.和歌山市園部低圧発電所計画について
(1)手続きの状況と住民の不安への対応について

4.「旧統一教会」問題について


1.新型コロナ感染症対策について
(1)救急搬送の実態と県の対応について
《質問》奥村規子 県議
 議長のお許しを得たので、通告に従って4つの項目について質問いたします。
 大項目1は、新型コロナ感染症対策についてお尋ねします。
 1点目は救急搬送の実態と県の対応についいてお尋ねします。
 第8波の感染急拡大で医療・救急体制は逼迫しました。今年の初め、医労連と懇談をした際、ある医療機関の看護師は「圧倒的な人手不足で夜勤者がいなくなり、一人の夜勤回数が協定で決められた回数を守れなくなっている」と訴えていました。別の医療機関の方は「医師がコロナに感染し、救急外来を止め、院内の会議をすべて中止にした」、介護現場でも「夜勤協定が守れない。これからどうなるのか」「代休も消化できないくらい人手が足りない」「本来はよくないことですが、家族の許可を得て数人の入居者に身体拘束をおこなっている」「現場は疲弊している」「医療と介護の現場と行政の施策に乖離がある」という声が上がりました。
 第8波は、死者が過去最悪の深刻な事態を引き起こしました。介護施設や在宅で亡くなられた方がいらっしゃるとお聞きしています。まだまだ、警戒が必要な時に、岸田首相は5月8日より、5類への引き下げを決めています。行動制限や入院勧告などができる法的根拠がなくなり、5類への移行の際は医療の公費負担を段階的に見直す方針を明らかにしていますが、ワクチン接種や患者の入院・外来診療、検査などでの国民負担増が懸念されます。医療費の負担増によって受診控えが広がれば、患者の命と健康にかかわるだけでなく、感染拡大を抑制する上でも大きなマイナスです。
 政府は5類移行後、コロナ患者に対応する医療機関の制限をなくすので、受診できる医療機関が増えるという見通しを立てています。しかし、発熱外来の設置などをためらった医療機関の多くは、一般患者と動線が分けられない設備上の問題などがあったためです。
 また、この時期は年度替わりで入学や就職のシーズンで、多くの人が移動します。クラスターの発生や救急搬送も増え、救急搬送困難事案も大幅に増えているように思います。救急搬送困難事案とは、医療機関のへの受け入れ紹介回数が4回以上、かつ現場滞在が30分以上と定義がされています。
 県として、救急搬送の実態をどう把握していますか。また、どんな対応を行ったのかお聞きします。

《答弁》 福祉保健部長
 救急搬送の実態把握につきましては、消防庁が1週間ごとに発表する「新型コロナウイルス感染症に伴う救急搬送困難事案に係る状況調査」を確認しつつ、医療機関からも情報収集を行い、状況把握に努めているところです。
 調査対象となっている和歌山市消防局の現状を申し上げますと、第8波が始まった令和4年10月10日の週から先週までの19週間で救急件数は8,413件あり、そのうち、救急搬送困難事案は272件です。
 また、救急搬送困難事案のうち、新型コロナウイルス感染症疑いで救急搬送困難となった事案は91件であり、前年の同時期と比べて約2.8倍となっています。
 これは、感染の爆発により市中に感染者が増加し、症状を心配した比較的軽症の方が救急要請をするケースも増える中、新型コロナウイルス感染症疑い患者を受け入れる医療機関が限られていたため、搬送に時間がかかっているものと認識しております。
 こうしたことから、県では、継続して救急車の適正利用を県民に啓発していくとともに、年末年始及びその後の休日に、診療・検査医療機関に対し臨時の診療を依頼し、受診体制を強化したり、救急を受診した後で一時的に経過観察を行う観察・処置ステーションを開設し、新たな救急患者を受け入れるベッドを確保するなど、救急搬送困難事案が少なくなるよう取り組んでいるところです。

《コメント》奥村規子 県議
 和歌山市の場合、救急件数は8,413件で、そのうちコロナ感染症疑いで救急搬送困難事案は91件、前年の同時期と比べて約2.8倍ということでした。
 救急搬送困難事案が少なくなるように取り組んでいるところということでしたが、必要な医療を適切に確実に提供するために、特に高齢者など重症化リスクの高い発熱患者が、早期に確実に受診できる体制をつくること、高齢者の有症状患者の入院などを積極的に進めることによって、クラスターが多く発生している高齢者施設の感染予防対策の強化につながると考えます。
 医師・看護師の体制強化と処遇改善こそが求められます。大軍拡を直ちにやめて、感染症対応に医療機関が全力を注げるようにすべきです。

(2)介護施設等への支援策について
《質問》奥村規子 県議
 介護現場では、施設で入所者が発熱しても、入院できない事態が起こりました。介護施設等で留まり、その施設で療養せざる得ない状況も生じました。このような中で5類に変更することよりも、必要な医療体制の拡充こそ優先させるべきだと思います。
 介護現場でのクラスター発生が多発しました。現場は感染防止に神経をとがらせています。職員が感染することにより、長時間労働になっています。介護サービスの提供体制が、非常に困難に陥ることにもなっています。
 第8波において、コロナに感染し、療養中に緊急入院した事例や、施設や在宅で亡くなった高齢者が増加しており、介護施設内で療養が強いられています。クラスターが発生した施設等への支援、また、クラスターを発生させないための取り組みについてお聞きします。

《答弁》 福祉保健部長
 高齢者は重症化するリスクが高いため、原則として優先的に入院することとしているところでございますが、感染拡大により病床がひっ迫した状況においては、症状、基礎疾患、独居等の社会的環境等を考慮し、入院の必要性を総合的に判断した上で、やむをえず在宅や施設内での療養をお願いしているところでございます。
 感染者の療養を行う施設からは、施設に感染管理に精通した人材がいないこと、感染拡大への不安、感染者への対応に伴う人員不足等の声を聞いており、介護現場では大変な苦労をされていることは十分承知しております。
 県では、高齢者施設を往診して治療を行う医師や訪問看護を行う看護師等に対して協力金を支払い、早期治療を行う体制を整備するとともに、施設内療養に要する費用や、感染者への対応に伴う職員の割増賃金や手当、衛生用品の購入費用等につきまして支援を行っております。
 また、高齢者施設等に対しては、各保健所において施設職員に対する感染管理の研修を実施するとともに、抗原検査キットを配布し、職員等が頻回に検査することで、施設へのウイルスの持ち込みによるクラスターの発生防止を図っています。
 加えて、施設で一人でも感染者が発生した場合は保健所へ報告することで、クラスターの発生を防止するとともに、クラスターが発生した施設に対しましては、必要に応じ、保健所が医師や看護師等の感染管理の専門家を派遣し、施設内のゾーニングや感染対策の指導を行い、さらなる感染の防止を図っているところでございます。
 県では高齢者施設におけるクラスター対策は最重要課題であると考えており、5類への移行に際しましては、現場の声も十分に聴きながら、引き続き様々な施策により高齢者施設への支援を図ってまいります。

《要望》奥村規子 県議
 高齢者は重症化するリスクが高いため、原則として優先的に入院ということですが、病床逼迫時はやむをえず施設内での療養をお願いしているとのことでした。
 往診や訪問看護を受けても、24時間介護職の方が見守りながら、健康状態を絶えず気にかけなければなりません。責任と負担を感じ離職してしまう人もあると聞きます。高齢者に特化した療養施設、臨時の医療機関の開設などを積極的に進め、稼働病床の拡大も含めた積極的な受け入れができるように、体制の強化を進めるべきです。


2.コロナ禍と物価高騰対策について
(1)インボイス制度の導入中止と消費税の引き下げについて
《質問》奥村規子 県議
 コロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵略に伴う物価高、原油・原材料の高騰と急激な円安が、小規模者の経営にさらなる困難を与えています。ここで小規模事業者に十分な支援を行わなければ「ギブアップ」廃業、倒産をもたらしかねません。これでは雇用の維持ができないばかりか、地域経済の底が抜けてしまいます。
 これまで共産党県議団として、コロナの影響を受けている小規模事業者のみなさんへの直接支援・固定費補助などを求めてきました。今、物価高騰で経費そのものが上がる中、あらゆる事業者が影響を受けています。和歌山財務事務所の報告によると、県内の経済情勢は全体として「緩やかに持ち直している」との判断であり、先行きについてもリスク要因はあるものの、ウイズコロナの下で持ち直してゆくことが期待されるとしています。しかしながら、この判断は私の周り理から聞こえる声とかけ離れています。
 そのような中で、今年の10月から導入予定のインボイス制度は、消費税の納税を免除されている事業者が新たに課税事業者にならざるを得ないことにもつながりかねず、小規模事業者にとって深刻な負担増となってしまいます。加えて、小規模事業者を含めた低所得者にとって物価高のなか、消費税10%の負担も重くのしかかっています。
 経済情勢の持ち直しが実感できない現状において、インボイス制度の導入中止と消費税の引き下げを国に求めるべきと思いますが、いかがですか。

《答弁》 岸本知事
 奥村議員のご質問にお答えしたいと思いますけれども、今、この議場で奥村議員と質疑をさせていただくときにですね、よく私が国会議員の頃、南海電鉄和歌山市駅の前で街頭演説をさせていただきましたときに、奥村議員の少し離れたところで、一緒に演説をさせていただきました。何度かありました。演説の内容は真逆のことも多かったと思いますけれども、私としてはですね、奥村議員の真摯な政治活動に対して本当に一目も二目もおかせていただいておりましたので、この場で今日、質疑をさせていただくことは感慨無量でございます。
 その上でお答えをしたいと存じますけれども、インボイス制度といいますのはですね、消費税が複数税率になってしまっておりますので、どうしても適正な課税を確保するために必要なものだというふうに承知しております。
 政府におきましては、免税事業者からの仕入れにつきまして、取引に与える影響、今、奥村議員がご指摘されたような影響があることは明らかでありますので、一定の仕入税額控除を制度導入後6年間、6年間経過措置的なものを認め、補助金による支援ということも考えておられるようであります。
 加えて、令和5年度税制改正におきましては、免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の激変緩和措置として、3年間、納税額を売上税額の2割に軽減するなどの対策も講じられると聞いております。
 政府は、消費税を「全世代型社会保障改革を進めていく上においては、どうしても必要な税」だと位置付けております。コロナ禍や物価高の状況でも、現状の税率はですね、維持しつつ、その一方で、その副作用を減らすための様々な経済対策を講じていると承知しております。
 一方で、私自身も国会議員のときに財務金融委員会等で質疑をさせていただいたときに、奥村議員と同じ問題意識を持たせていただいておりました。と申しますのは、これは議場におられる議員の各位もそれぞれ草の根で、支援者の皆さんの声を聞いておられるので、十二分にご理解をいただいていると思いますけれども、例えば、一人親方というような形で働く方がおられます。内装業者さんとか。そういう方々は、だいたい売上1000万円以下の方が多くてですね、そうしますとその方々は、これまでインボイス発行できない立場でした。1人でご商売なさっている方、フリーランスの方もそうです。この方々が新たにインボイスを発行するということは大変なことでありますので、ご年齢が高くなっているような方におかれてはですね、配慮をということもお考えになることがあるというふうに聞いております。もう本当に、制度上の立て付けとして、私も税の専門家として、やむを得ないことと今申し上げたとおり理解はしているんですけれども、そういうことの結果、これまで仕事をされてきた一人親方、フリーランスの方々が不利になるようなこともあり得ることも事実であります。
 従いまして、県としてはですね、消費税は、我が国の経済、さらには国民生活に大きな影響を及ぼす重要な税目ですので、これは、税率等の決定、制度の決定においては、国政の場で様々な議論が行われ、判断・対応されるべきであり、そのようになっていると考えております。引き続き、国での議論は注視していきますけれども、先ほど申し上げましたように、現場を知る人間の一人として、県内の中小企業・零細企業の皆様に対してですね、制度の円滑な導入に向けて、もちろん周知広報などに取り組むことに加えて、さらに県として零細な中小・零細な事業者の皆様に応援をするというようなことで、何ができるのかしっかりとですね、考えてまいりたいと思っております。

《要望》奥村規子 県議
 2022年12月の消費者物価指数は、生活必需品ほど値上げ幅が大きく、暮らしを直撃しています。41年ぶりの上昇率です。特に、都市ガスで33.3%、電気代で21.3%、食用油で33.6%の上昇です。知り合いの鰹節屋さんは、カツオの不漁もあって元気がありません。中小業者への直接支援をすべきです。
 中小企業が元気になってこそ、地域が元気になります。大企業がよくなれば地域経済がよくなるという、大企業中心の経済政策を根本的に改めて、中小企業を地域経済の主役に位置づけ、それにふさわしい支援策を抜本的に強めることが必要と考えます。


3.和歌山市園部低圧発電所計画について
(1)手続きの状況と住民の不安への対応について
《質問》奥村規子 県議
 大項目3の「和歌山市園部低圧発電所計画」について質問します。
 この計画地には、中央構造線活断層帯が和泉山脈の南麓を通っています。日本列島において、最も活動的な活断層帯の一つです。近い将来、巨大な直下型地震を起こす確率が高いとされています。
 中央構造線活断層帯の活動によって巨大地震が繰り返し発生し、中央構造線北側の隆起が続き、和泉山脈が形成されてきました。このため、和歌山側には急斜面が発達し、地震動による地盤の緩みが進行している山地と聞きます。また、鳴滝川は土砂災害が多発する山地流域を持ちます。樹林の伐採や造成など、開発を極力避けることが防災上必要と、専門家の意見をお聞きしました。大雨による影響などなど不安は尽きません。
 そこで、手続きの状況や不安への対応について、県としてのお考えをお聞きします。
 皆様のお手元に事業計画地の航空写真と、鳴滝川付近の地形解析図鳴滝川で想定される土砂災害図を示させていだたいています。参考までによろしくお願いします。この事業者は低圧発電施設ということで50kW未満を40区画つくる太陽光発電になっているので、県も一つずつでなく全体で太陽光条例に基づいて審査するといってくれていますので、その点は安心していますが、こういう計画に住民の方が心配しています。

《答弁》 環境生活部長
 和歌山市園部低圧発電所につきましては、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例に基づき、令和4年6月14日に事前協議の申出があり、同年12月6日にその手続が終了したところです。
 今後、本申請がなされた場合には、県が申請書の縦覧及び住民意見の募集を行い、寄せられました住民意見を踏まえ、災害防止及び環境保全の観点から厳正に審査してまいります。

《要望》奥村規子 県議
 厳選に審査するとおしゃっていただいたので、よろしくお願いします。
 砂防地を開発するには県への許可申請が必要ですが、この業者は勝手に伐採しているということで、県に指導を受けていると思います。また先だっては、住民の皆さんへの説明会を開いたのですが、参加した方のご意見では、活断層があることを知らなったようで、余計に不安を感じたということです。
 ぜひともしっかりと、太陽光条例に則してやっていただけるようお願いします。


4.「旧統一教会」問題について
《質問》奥村規子 県議
 安倍元首相の銃撃事件をきっかけに、「旧統一教会」の関連団体が開催するイベントになどに、国会議員や地方議員が参加したり、地方自治体が後援名義を与えることが問題となりました。今なお高額献金などの被害に苦しんでいる方々がいらっしゃるとお聞きします。和歌山でも6000万円もの献金をされて、大変な状況になっているというお話もお聞きします。
 そのような「旧統一教会」は、単なる宗教団体ではなく、霊感商法や高額献金強要を繰り返してきた、反社会的カルト集団ではないかと考えます。そのような関連団体の活動に地方自治体が参加、関与することは、同会の活動のお墨付きを与え、被害を拡大することにつながるのではないでしょうか。
 和歌山県では、過去10年間の後援名義の調査を実施し「旧統一教会やその関連団体に対して承認した実績がない」と答弁していただいておりますが、今後どのように対応されるかお尋ねします。

《答弁》 岸本知事
 奥村議員からご指摘いただきましたとおり、和歌山県では、過去10年間の後援名義使用の調査を実施しました。その結果として、旧統一教会及びその関連団体に対して承認した実績がないということが明らかになっておりますので、その旨を公表したところでございます。
 今後どうかというご質問ですけれども、当然のことながら、当該ご指摘の団体はもちろんのこと、社会的に問題が指摘されております団体とは、県政の信頼が損なわれることのないように、引き続き関係をもたないということは、はっきりと申し上げさせていただきたいと存じます。


 
                              岸本知事の答弁を聞く、奥村規子県議(右)

 2023年2月議会   奥村規子プロフィール、質問一覧
 奥村のり子facebook   県議団HOME