2023年2月和歌山県議会
 議案と請願の不採択に対する反対討論 杉山俊雄
   録画中継2900~)
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 日本共産党県議団を代表して、議案第1号、第3号、第7号、第8号及び第16号、並びに議請第8号、第9号及び第10号の不採択に対する反対討論を行います。
 議案第1号「令和5年度和歌山県一般会計予算」は、前年度よりも94億円増の6138億円で、過去最大です。
 歳入では、県税収入で25億円、地方消費税清算金で44億円、基金繰入金で75億円、貸付金などの諸収入で70億円が主な増額です。減額では、国庫支出金68億円のうち新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金で64億円、その他は臨時財政対策債で50億円、県債で10億円などが減っています。

 歳出では、コロナ感染症対策で病院などを支援する補助費で33億円の減額、PCR等検査で12億円の減額となっています。第8波では感染者数が急増するなか、自主的に登録する方式がとられたため、感染状況の全体像が把握できていたとは思われません。高齢者施設などでは感染者が入院できず施設で療養を余儀なくされる事態が起きました。また、救急搬送困難の事例もふえました。検査体制、外来・入院体制を削減するのではなく、強化することこそ必要です。

 再編の名で病床を削減する地域医療構想を進めるための予算が2022年度の6億6千万円から23年度は7億7400万円に増額されています。コロナ禍でこれだけ入院医療体制がひっ迫したにもかかわらず、病床削減をさらに推し進めようとしています。1万2540床あった病床がすでに約千床減らされました。即刻中止するよう求めます。
 中小企業支援では、コロナ禍における「飲食・宿泊・サービス業等支援金」が昨年に打ち切られたままです。私どもの周辺では中小・零細事業者の経営が回復したとはとてもいえない状況が続いています。支援金を再開することを求めます。
 子育て支援では、岸本知事が選挙公約に掲げた医療費無料化の拡大と、学校給食費の無償化が見送られました。恒久的財源の確保が必要ということですが、段階的にでも進めていくよう求めます。
 農業分野では、県内食糧自給率をあげるための取組が求められますが、そのための予算が必要です。
 関西国際空港建設の土取り跡地であるコスモパーク加太では、莫大な借金を抱えました。県土地開発公社の借金返済のための財源を、2023年度も4億7700万円計上しています。近い将来には231億円の債務保証が待っています。見通しの甘い大型開発失敗の後処理を県民に背負わせることは許されません。
 下津港湾和歌山北港区において、関西電力LNG発電所計画が行き詰まるなか、南防波堤建設だけが進められています。すでに県は39億円を負担し、2023年度も850万円が計上されています。かなりの減額ではありますが、進められていることに変わりありません。ムダな大型工事であるとともに、発電所ができたとしてもLNGは化石燃料であり、気候危機の打開に逆行するものと指摘しておきます。
 教育では、全国学力テストをやめるべきという声が、保護者や教員からたくさんよせられてきた中で、県独自のテストを継続し、2022年度から中学校においては2回実施されるようになりました。日本の教育は、国連子どもの権利委員会から、過度に競争的でストレスが多いと指摘されています。2007年に全国学力テストが導入され、第2次安倍政権の2012年以降、いじめや不登校、自殺が急増しています。子どもを苦しめ、学校からゆとりを奪う学力テストはもう止めませんか。平均点競争で真の学力は身につきません。
 定数内講師を5年間で半減し、正規教員におきかえる計画は投げ出されました。教員の長時間労働を是正するためにも、少人数学級を進めていくためにも、正規教員を増やしていくよう求めます。
 以上が、一般会計予算に対する反対理由です。

 次に、その他の議案について申し上げます。
 議案第3号は、中小企業振興資金特別会計です。ゆがんだ同和行政のもとで行われた中小企業高度化資金貸付では、ずさんな融資審査と債権管理により、57億8000万円が償還されていません。粘り強い努力で回収の成果が出ていることは十分承知していますが、これまで10件45億円もの債権を放棄してきたことを合わせると、県民の理解は得られません。

 議案第7号は、国民健康保険特別会計です。高すぎる国保料・税は限界をこえています。統一保険料にしてくことが示されてから、一般会計からの繰り入れをやめざるを得なくなった市町村では、保険料の値上げが相次いでいます。新年度でも半数近い市町村で値上げが予定されています。

 保険料・税を無理に統一するのではなく、減らされてきた国庫負担の増額で住民負担軽減を求める立場から、国保特別会計には反対します。

 議案第8号は、県営競輪事業特別会計です。2023年度は大阪・関西万博協賛競輪が開催されることなどから、93億円以上もの増額となっています。県が公営ギャンブルを運営することには反対です。

 議案第16号は、土地造成事業会計です。呼び込み型開発失敗の反省なしに、県民の税金から毎年、損失補てんすることには賛成できません。

 次に、議請第8号は「物価高騰に見合う年金額引き上げを求める請願書」、議請第9号は「加齢性難聴者の補聴器購入に対する医療保険適用を求める請願書」、第10号は「和歌山県として、加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度創設を求める請願書」です。
 いずれも必要な内容ですので、採択を求めるものです。

 以上で、反対討論を終わります。


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