2023年9月県議会 福祉環境委員会 奥村規子委員長の質問概要記録

                    2023
925
【環境生活部】【福祉保健部

【環境生活部】
《質問》奥村規子 委員長
 パートナーシップ宣誓制度の導入については、私としては大変歓迎している。県民の関心がどのような状況なのか知りたいので、現在実施しているパブリックコメントの状況を教えてほしい。

《答弁》 青少年・男女共同参画課長
 パートナーシップ宣誓制度のパブリックコメントは、9月1日から9月30日までの間で実施している。パブリックコメントの終了後、類似する意見を取りまとめ、県の考え方とともに県ホームページで公表する予定であり、単に賛否を示した意見や趣旨が不明瞭なもの、本制度案に関係のない意見等を除き、県の考え方を示す。
 9月24日現在、いただいた意見は、10者26件である。制度導入に対して賛成の意見が多い。そのほか、市町村の理解が進むように働きかけをしてほしい、ファミリーシップ制度の創設も検討してほしいといった意見がある。
 いただいた意見を踏まえ、制度に反映すべきところは反映し、性的少数者の方にとって、よりよい制度となるように検討していきたい。

《質問》奥村規子 委員長
 これは全ての県民に関わってくることだ。アナウンスをしっかりとして、もっとたくさんの意見をいただけるとよいと思う。アナウンスはどうしているか。

《答弁》 青少年・男女共同参画課長
 本制度のパブリックコメントについては、障害者差別と部落差別の問題と合わせてセットにし、知事定例記者会見や資料提供のほか、ホームページに掲載した。新聞にも多く取り上げていただいている。周知という点では、制度の要綱を制定後、市町村や民間にサービスを一つでも多く提供いただけるよう、十分な説明をしていきたい。

《要望》奥村規子 委員長
 残りの期日は少ないが、よろしくお願いする。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員長
 日本弁護士連合会から「メガソーラー及び大規模風力発電所の建設に伴う、災害の発生、自然環境と景観破壊及び生活環境への被害を防止するために、法改正等と条例による対応を求める意見書」が出されている。
 和歌山県では、大規模な風力発電の計画については、厳しい審査の上で環境影響評価法の知事意見書が出され、太陽光発電の計画については、和泉山脈の5か所のうち4か所が、認定されない状況になっている。
 大型の発電所をつくることは、再生可能エネルギーの振興と同時に、住民の意見をしっかり聞いていく必要があるが、日本弁護士連合会の意見書が出されていることも踏まえ、住民の意見をどのように考えているのか。

《答弁》 環境生活総務課長
 再生可能エネルギーとして、県内でも太陽光発電の計画、あるいは大規模な風力発電の計画がある。環境生活部としては、再生可能エネルギーの導入促進を進めているが、自然環境や生活環境の保全という見地からも、しっかりと見ていかなくてはいけないと考えている。
 地域の環境をよく知る立場の住民の方々の声は、環境影響評価において重要な役割を果たしており、様々な立場から多様な幅広い意見がある。それぞれの意見に配意しながら、その中から有用な環境情報等を環境影響評価の知事意見等に反映していきたい。

《質問》奥村規子 委員長
 日本弁護士連合会から意見書が出されているのは、日本全国で、太陽光発電や風力発電の計画に対して住民から心配や不安の声が起こっていることの表れだと思う。
 一方、計画を進めるところは、ゾーニングという考え方を導入することも考えられるが、それも含めて、今後どのように進めていくのか。

《答弁》 環境生活総務課長
 現行の法令の取組の中で、環境保全に向けて政策を進めているところだが、今後、環境影響評価を円滑に進めていくことができる手続があれば研究していきたい。

《要望》奥村規子 委員長
 エネルギーを原子力発電や化石燃料に頼るのではなく、再生可能エネルギーへの転換をしっかりと進めていくことが課題だが、それを進める際には、住民の声も反映して政策を進めていただきたい。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員長
 農林の議員連盟の鳥獣部会では、シカが非常に増えて、捕獲をしてもシカの減数が難しいという話も出ていた。自然環境室として、こういった状況をどのように考え、生態系への影響はどのようになっているのか教えてほしい。

《答弁》 自然環境室長
 増え過ぎたニホンジカにより、農産物の被害はもとより、ササなどの下層植物が食害により減少し、他の生物の生息場所が失われるなど、生物多様性にも悪影響が発生している。今後、随時、生息調査などを行い、その結果を踏まえて、適正な保護と管理に努めたいと考えている。

《質問》奥村規子 委員長
 シカの適正な保護というのは、具体的にはどういったことになるのか。

《答弁》 自然環境室長
 増え過ぎたニホンジカについては、適正な数まで減らす管理捕獲を実施したいと考えている。

《要望》奥村規子 委員長
 増え過ぎている状況を改善していくことが非常に大事ではないかと考える。
 農業被害が3億円近くになると毎年度言われる中で、本当に深刻な問題になっている。一方で、保護の仕方とか、根本的にバランスを取った、増えないようなやり方の研究などもしっかりしていただきたい。

議案に対する採決
議案第105号 旅館業法施行条例の一部を改正する条例
は全会一致で原案可決


【福祉保健部】
《質問》奥村規子 委員長
 令和5年梅雨前線による大雨及び台風2号の被災者への支援について、災害救助法や被災者生活再建支援法の適用があれば、一定の支援を受けることができる。
 一方で、居住地域が法適用外の場合には、個人として被災していても支援が受けられない状況が生じている。県として何らかの形で支援を考えてもらいたい。

《答弁》 福祉保健総務課長
 まず、災害救助法については、市町村単位で適用するものであるが、いわゆる1号基準という住家被害に応じた基準については、制度的に人口規模の小さい市町村に厳しい基準となっている。
 これについては、議会から国に対して要望していただいているが、県も知事会や県単独での要望に取り組んでいる。
 また、同一災害同一支援については、検討していきたいと考えている。

《要望》奥村規子 委員長
 被害を受けた人が等しく支援を受けられることを基本にしてほしいと考えているので、国の制度改正が進まない場合には、県独自での対応ということもお願いしたい。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員長
 知り合いの一人暮らしで高齢の方が、平家建ての家が浸水して大変怖い思いをした。そういう方は、災害を受けた際の健康状態なども含め、福祉避難所に行くことができればよいと思ったが中々うまくいかず、一般の避難所に留まった。その後、何とか高齢者施設へ行ったが、福祉避難所にすぐに行ければよかったと思う。
 福祉避難所の設置基準は、市町が決めることになっていると思うが、県としてはどのように関わっているのか。

《答弁》 障害福祉課長
 福祉避難所については、二次避難所となっており、まず一般避難所に行っていただき、そこでの生活が困難となった方が行くところが福祉避難所という形で国のガイドラインでも記載されている。
 県においても、命が大切なので、まず近くの一般避難所に避難していただくことになっている。ただ、二次被害を防ぐために、市町村において一般避難所での福祉スペースを確保するようにお願いしているところである。また、一般避難所での生活が困難な方が行くところである福祉避難所についても、高齢の方や重い障害のある方の人数を把握し、それを充足できるだけの福祉避難所をつくってくださいということは、常に市町村に言っているところである。

《質問》奥村規子 委員長
 今回の災害において、早期避難の重要性を痛感した。
 そこで、高齢者や障害者等の避難先や支援者等を定めた個別避難計画をつくっていくことが大事だと考えている。
 なかなか難しいとも聞いているが、個別避難計画の現在の取組状況はどうか。

《答弁》 福祉保健総務課長
 個別避難計画の作成については、法律上、努力義務となっており、市町村で順次取り組んでいるところである。
 30市町村全てで着手しているが、本人の同意や支援者の同意の取得等、いろいろと難しい面があり、進捗にばらつきがある状況である。
 昨年度からは、ハザードマップで危険な箇所とされている地域に居住している方等について、優先度の設定をしておおむね5年程度で計画を作成するよう、市町村に強く働きかけているところである。
 例えば、海南市では、現在、避難行動要支援者名簿に約2,800名が登録されており、そのうち約3割にあたる約800名の個別避難計画が作成されている。
 海南市は、県内でも比較的作成が進んでいる自治体ではあるが、それでも3割なので、引き続き、市町村の実態も把握しながら、市町村とともに取り組んでいきたいと考えている。

《要望》奥村規子 委員長
 努力義務だとは思うが、高齢者や障害者、在宅で療養されている方が地域で安心して住めるよう頑張って取り組んでほしい。
 個別避難計画の作成が早急に実施されるよう、市町村で何が課題になっていて、それに対してどう対応していくのかということを県も一緒になって考えていってもらいたい。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員長
 新型コロナウイルス感染症の第9波ということで、救急が逼迫している状況はないのか。

《答弁》 健康推進課長
 現状のところ、それほど逼迫した状況とは聞いていない。

《質問》奥村規子 委員長
 全国的に、物価高でガソリン代、電気代、食料費も上がっていて、家計のやりくりが非常に大変である。
 そういった状況の一方で、この10月から新型コロナウイルス感染症に対する公費負担がなくなっていく状況も聞いているが、経済的なことも含めて、窓口に行きにくくなったり、受診抑制につながったりするのではないか。結局は、客観的にこの感染症をきちっと抑止する社会的条件が整っていないのではないかと心配するが、どのように考えているのか。

《答弁》 健康推進課長
 10月からの新型コロナウイルス感染症の治療薬や入院医療費の自己負担分に係る公費支援の見直しについて、患者の急激な負担増が生じないように配慮しつつ、ただ、5類ということで、他の疾病の公平性の観点という部分もあるので、国としても激変緩和として、段階的に見直しを図っているところである。
 結果としては、これまでよりも自己負担が増えることになるが、平時に向け適切な負担をということでもある。公費支援について、縮小するとはいえ、来年3月末まで継続することを決定したものであるということについては、理解願う。

《答弁》奥村規子 委員長
 感染症というのは、社会的な影響が非常に大きい。県として感染を防止することについて、先ほども言った経済的な負担が増えるなど色々ある中で、例えば心配だったら検査ができるということを県として取り組んでもらうなどできないのか。

《答弁》 健康推進課長
 県単独での検査は特に予定はしていないが、ただ、例えば高齢者施設等でクラスターが起こったときについては、行政検査としての支援は引き続き残るので、そういった部分で対処したいと考えている。

《質問》奥村規子 委員長
 高齢者のところは、今まで配布した検査キットがあるのでということだが、他の一般の方は子どもたち含めてそれぞれ検査は自己負担ということか。

《答弁》 健康推進課長
 そのとおりである。

《要望》奥村規子 委員長
 早く発見することは、これまでの2類でも5類になっても同じだと思うので、心配だったら検査ができるという取組を、県としてぜひお願いしたい。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員長
 子どもの生活実態調査ということで以前、子どもの貧困に関して調査をされた。これは内閣府から各都道府県に対して調査をということだったと思うが、再び調査をすると聞いている。調査は、支援学校や施設へ入所されている子どもも含めて行うのか。

《答弁》 子ども未来課長
 子どもの生活実態調査については、県内市町村に在籍している小学校5年生、中学校2年生及びその保護者全員に対する全数調査ということになり、施設に入っている方も対象となる。内容については、貧困世帯の家計や保護者の就業状況、子どもの生活習慣や学習の状況等を聞くアンケートになっている。

《質問》奥村規子 委員長
 それは、来年度の予算に反映させるということでよいか。

《答弁》 子ども未来課長
 今年度調査をした結果を、来年度こども計画をつくるときに反映させたいと考えている。もちろんその中で緊急に予算をお願いしなければならないことがあれば、それは別にお願いすることで考えている。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
《質問》奥村規子 委員長
 最後の質問である。
 今、国で問題になっているマイナンバーカードと健康保険証の一体化について、保険証をなくすことがないようにしてほしいという請願に、私は紹介議員になっており、保険証の存続が難しいことではないと思うが、なぜ健康保険証をマイナンバーカードに紐づけすることになったのか。県民の声をしっかりもう一度聞いていただきたいと思うが、その点について聞きたい。

《答弁》 国民健康保険課長
 健康保険証の廃止等を含んだ法改正についでは、国民健康保験だけではなくて、後期高齢医療制度や他の被用者保険全ての健康保険の改正を含んだ形で、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部改正が本年6月2日に成立し、6月9日に公布されたところである。
 マイナンバーカードと健康保険証の一体化、いわゆるマイナ保険証については、現行の健康保険証を公布の日から起算をして1年6月以内に政令で定める日に廃止することとなっている。またマイナ保険証を利用されない方については、資格確認書が発行される。
 県民の声ということであるが、このマイナンバーカードと健康保険証の一体化でのメリットはたくさんあり、患者の立場、医療機関の立場や保険者の立場の視点がある。まず一番大きいと考えられるのが、患者は、薬の履歴、特定健診及び診療情報の閲覧に同意すれば、医師等からより多くの情報に基づいた総合的な診断や重複する投薬を回避した適切な処方を受けることができることが挙げられる。医療機関についても同様のことが言える。かかりつけの医療機関以外でも、例えば災害時や旅先等において、普段とは違う別の医療機関でも患者の情報を確認することができて、より適切で迅速な検査・診断・治療等の実施が可能になることが挙げられる。様々なメリットについて、国をはじめとした保険者である市町村等からも周知啓発に努めているところである。

《意見》奥村規子 委員長
 8月の保険医団体連合会の調査結果によると、マイナ保険証のトラブルが5,493件あった。この団体は、医師の団体で、マイナ保険証に反対している。また、県民の大多数が合意していないことは明らかだと思う。
 マイナ保険証のトラブルはいちいち言わないが、いろいろある。窓口で医療費を10割負担することになった事態が1,291件もあった。課長が答弁した医療の効率がよくなるとか、患者の情報が一元化して把握できるとかといったメリットについては、薬剤師が調剤薬局で薬の管理をしており、調剤薬局がどんどん拡大して役割を果たしてきたところである。
 それだけでなく、課長に聞く話ではないが、国は2015年の前からマイナンバーの計画を言ってきたと思うが、2015年当時の日本経済団体連合会の副会長が、国民一人ひとりを正確に特定できるマイナンバーは非常に強力なツール、様々な活用が想像できるとのことで、個人情報をビジネスに利用して利益を拡大することを露骨に求めた。国民一人ひとりを正確に特定されてはたまらない。保険証の廃止を執拗に求めたのも日本経済団体連合会や経済同友会などの財界である。
 日本経済団体連合会が2020年に発表した新成長戦略で、健康保険証・運転免許証・在留カード等の公的証明書、診察券や学生証等のデジタル化とマイナンバーカードヘの一元化を求めたことが現にあるわけであり、国民の健康保険証をそのまま使うことに何ら問題がないのに、いろいろと納得できない状況に進んでいることが非常に問題だと思っている。


議案に対する採決
議案第104号 令和5年度和歌山県一般会計補正予算
議案第106号 和歌山県本人確認情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
議案第107号 和歌山県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例
議案第117号 権利の放棄について
議案第118号 権利の放棄について
は全会一致で原案可決
奥村規子委員長は委員会採決に加わらないが、本会議で議案第106号、議案第107号に反対 奥村規子の議案と請願の委員会不採択に対する反対討論 録画中継0000~)

請願に対する採決
議請第1号 現行の健康保険証を残すことを求める請願
は賛成なしで不採択とすべきものと決定
奥村規子委員長は委員会採決に加わらないが、本会議で請願の委員会不採択に反対 奥村規子の議案と請願の委員会不採択に対する反対討論 録画中継0000~)


 2023年9月議会   奥村規子プロフィール、質問一覧   奥村のり子facebook
 
県議室HOME