2.万博会場の安全性について
(1)学校へのアンケートの取組と結果について
(2)博覧会協会による防災実施計画について
(3)万博会場の安全対策について
1.物価高騰による暮らしへの支援について
《質問》奥村規子
県議
議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。
厚労省の国民生活基礎調査で「生活が苦しい」が過去最悪の6割となり、街の中では物価を上回る賃上げの声が大きくなっています。この10年余、大企業と大資産家の利益は増え、実質賃金は低下、物価高騰に実質賃金が追い付いていません。7月25日中央最低賃金審議会の答申では、2024年度の最賃引き上げの目安で、全国加重平均50円増の1,054円としました。和歌山県の最低賃金は、10月より980円です。
「過去最大の上げ幅」と言われますが、私の周りでは「全国一律1,500円」を求める声が大きくなっています。食料支援に取り組んでいる現場からは、仕事があっても困窮と生活不安から食料を求める人が列をなしていることなどが報告されています。実質賃金は過去最悪の26か月連続マイナスです。非正規をはじめ最賃ギリギリで働く労働者、高学費のため長時間アルバイトをする学生、年金だけでは生活できずパートで働く高齢者、男女賃金格差の是正にとっても、すぐに最賃の大幅引き上げが必要です。ОEC(経済協力開発機構)諸国では最低水準です。世界各国は最賃を大幅に引き上げています。
岸田政権は、2030年代半ばまでに最賃1,500円を目指すとしましたが、遅すぎると思います。「骨太方針」で「あらゆる政策を動員して賃上げを後押し」「地域間格差の是正を図る」としながら、実際には何の手も打っていません。
日本企業の99.7%、労働者の7割が働く中小企業を支援することが不可欠であると申し上げ、県として少しでも県民の生活を底支えすることがないか、6月議会に引き続き、以下の点についてお尋ねします。
(1)国保料(税)の引き下げについて
物価高騰が家計を苦しめる中で、国保の負担が重くのしかかっています。
政府が2018年度に国保の「都道府県化」を強行し、市町村が単独で運営してきた国保財政を、都道府県と市町村との共同運営に変えられました。それまでは国保料・税の負担抑制のため、多くの市町村が独自に一般会計から国保財政への繰り入れなどの財政措置をしていました。
しかし、政府は都道府県を通じて、こうした独自措置を打ち切るように圧力をかけてきました。その結果、値上げをもたらしていると考えます。
そこで和歌山県は、高すぎる国保料・税引き下げのために「均等割」を廃止すべきと考えます。まず、緊急に子どもの「均等割」をなくすようにしてはどうでしょうか。福祉保健部長にお伺いします。
《答弁》
福祉保健部長
国民健康保険料(税)の算定方法には、世帯の人数に応じて賦課される「均等割」が、全国一律の制度として定められています。
このため、こどもの数が多い世帯では保険料(税)が増加し、経済的負担が大きくなることから、未就学児に係る均等割保険料(税)については、2022年度から、その5割を公費により軽減する措置が導入されています。
県といたしましては、こどもの均等割保険料(税)軽減措置について、対象年齢や軽減割合の更なる拡充を図るよう、引き続き、全国知事会等を通じ国に要望してまいります。
《要望》奥村規子
県議
国保は加入者の所得が厳しい中での皆保険制度ですが、運営が都道府県化されて保険料が上がったところが全国的にも少なくありません。法律がそうなっているので、均等割を廃止するのは難しいということですが、みなさんが病気にならないことが大切なので、医療機関にかかりやすい状況を広げっていっていただきたい。
生活を圧迫している保険料の滞納がある状況もお聞きしているので、実際に加入者の声を聞いていただきたいと思います。
(2)新型コロナの感染防止対策への支援について
《質問》奥村規子
県議
新型コロナウイルス感染症の重症化予防や医療ひっ迫防止には、早期の受診や検査診断が必要と思いますが、コロナ治療への公費助成については2024年3月末をもって終了しているため、自己負担が高額になることを理由に受診控えが起こっていると考えます。
このままでは、高齢者や基礎疾患のある人が重症化することにより、医療崩壊が起こるのではと心配しております。
また医療機関でも、新型コロナウイルス感染症患者の治療を行うために感染防止対策や個室隔離が必要なため、これらに要する費用が大きな負担となっております。
自己負担額や医療機関の感染防止対策に要する費用を軽減する県独自の新たな公費補助の創設が必要と考えますが、いかがでしょうか。福祉保健部長におたずねします。
《答弁》
福祉保健部長
新型コロナウイルス感染症の医療費については、2024年4月以降、自己負担割合に応じた額を負担していただいており、インフルエンザなど他の疾病との公平性を踏まえると、県独自の負担軽減策の実施は困難と考えています。
また、医療機関の感染防止対策に要する費用については、診療報酬制度において加算されています。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の薬剤費は高額であるため、薬価の引き下げに資する取組などの負担軽減策を講じるよう全国知事会を通じて国に要望しております。
《要望》奥村規子
県議
医療機関にとっても経営負担が大きいと思いますので、実態を調査・把握していただきたい。患者負担も必要な診療報酬で対応するのはいかがなものかと思います。
これからもウイルスはどんどん変化していくことで、いつどんなことがあるか分からないなか、公衆衛生の向上は自治体の大きな仕事です。全国知事会通じ、また知事自身も国へ伝えていただきたいと思います。
(3)米不足と安定供給について
《質問》奥村規子
県議
新米が出回り始めていますが、まだ十分ではありません。ご高齢の方が陽射しのきつい中、歩いて米屋さんやスーパーなどへ行っても、米棚には米はありません。「店頭から米が消え困っている」と怒りの声が上がっています。さらに、米価の高値にも驚いていますが、それでも新米が入荷してすぐに完売という状況です。子育て世代や年金生活者にとって、主食の米が手に入るかどうかは死活問題です。物価上昇に届かない賃上げにとどまる県民にとっても重大です。
この最大の原因は、米の需要減を理由に、毎年減産を農家に押し付けてきたことにあるのではないでしょうか。2024年6月末時点の民間流通在庫は、今年は1999年以降で最低の156万トンしかなく、少ない状況と聞いています。コロナ禍の影響もあり、この3年間で計60万トンも生産量を減らしてきました。昨年も前年に比べ10万トン減少させています。政府は減少する米の需要量に合わせて、生産量をぎりぎりに抑えてきたため、わずかな需要の増減で価格が乱高下し、今回のように店の棚から米が消える状況が起こったのではないでしょうか。
この原因として、県はどのようにお考えでしょうか。生産量や備蓄量に普段からゆとりを持つことが求められると考えますが、いかがですか。農林水産部長にお伺いします。
《答弁》
農林水産部長
米の品薄状況につきましては、知事が9月2日の記者会見で述べたとおり、南海トラフ地震の臨時情報の発表や、台風第10号の接近によりまして、買い込み需要が発生したことなどが原因であると考えております。
本県の今年の作柄については、8月15日現在、平年並みと見込まれております。現在、新米の収穫なり入荷が順次始まっておりまして、今後、徐々に品薄感の解消が進み、価格も落ち着いてくると考えております。
国がおこなっております米の備蓄につきましては、不作など米の供給が不足する事態に備える制度でございます。2024年6月末時点の在庫量は91万トンと例年並みの適正な量が確保されていると考えております。
今後も、秋に国から示されます主食用米等の生産量を参考に需要に応じた県産米の安定生産を推進するとともに、県内の大手の米卸業者に対して、米の安定供給を呼びかけてまいります。
《要望》奥村規子
県議
いろんな要因が重なって今回のような事態が起こったことの根底に、国民の主食に政府が責任を持った政策をしてきたかという問題があります。
米の輸入自由化以来「国民の主食に責任を持たない」政府の姿勢ではないかと思います。WTO(世界貿易機関)協定批准にあわせて1995年に食糧管理法が廃止され、主要食糧法のもとで、政府の役割は備蓄とミニマムアクセス米の輸入に限定されました。生産現場では2004年から「米改革」がスタートし、米の生産量の判断は農家や農業団体の自己責任となったのではないでしょうか。2018年から政府は生産調整から完全に手を引きました。日本で米の生産・供給全体に責任を持つ機関はどこにもなく、政府がやってきたのは減産です。そうして市場に任せる中で、今回の問題が起こりました。
またその対応も問題です。和歌山県は高齢者が多く、一人暮らしの高齢者も多いことはみなさんもご存知だと思います。暑い中でスーパーに行っても、2kgのお米を買うことができなく、次のところを探しても米がないといった、本当に困っている人たちへの行き届いた対応が大事ですが、今回のように「また米が出てくるからもう少し待ってください」のような対応というのは本当に冷たいと感じています。今回あったことは次に起こらないとは限らないので、全ての人にすみずみまで行き渡るような施策を要望します。
2.万博会場の安全性について
《質問》奥村規子
県議
大阪・関西万博への現在のパビリオン参加国数は、161か国・9国際機関と聞いています。海外パビリオンの参加状況は、参加国が自前で建設するタイプAと呼ばれる国の数は47か国、博覧会協会が建設を代行するタイプXと呼ばれる国の数は5か国、博覧会協会が建設した建物を単独で借りるタイプBと呼ばれる国の数は17か国、複数の国で借りるタイプCと呼ばれる国の数は92の国と地域がそれぞれ参加する予定となっています。
当初は、60か国がタイプAでパビリオンを建設する予定でしたが、資材の高騰や人手不足などを背景に建設準備が遅れ、当初の計画から減少している状況です。このような背景や万博会場の安全対策などの懸念から、万博全体が低調な報道となっている状況です。
その中で和歌山県は、県内の子どもたちを万博に招待する事業を進めています。そこでお聞きします。
(1)学校へのアンケートの取組と結果について
県は各学校に対し、万博参加への意向調査を実施しました。どのように取り組み、結果はどうだったか、知事室長に尋ねします。
《答弁》
知事室長
県では、県内の小中学生が、大阪・関西万博において最先端技術や海外のパビリオンを体験し、グローバルな視野を広げることを目的として、入場チケットやバス代の一部を支援する事業を実施しているところです。
そのため、県内にある約370校を対象に説明会を開催し、万博の概要や入退場のルール、また、災害時の対策などについての説明を行いました。
その後も、相談窓口を設け各学校へのサポート体制を整え、参加希望の有無を確認したところ、9月19日時点て302校から回答があり、159校の参加希望がありました。
引き続き、各学校へのサポートや情報提供を行い、こども達が安全・安心に万博を体験できるよう取り組んでまいります。
(2)博覧会協会による防災実施計画について
《質問》奥村規子
県議
博覧会協会は9月2日、「開幕期間中に発生する災害から、来場者や博覧会に関わる全ての参加者及び勤務者の安全を確保するとともに、外国人、高齢者、子ども、身体等に障がいを有する方などをはじめ、全ての来場者が安心して訪れることができる博覧会を実現するため、『防災実施計画』を策定しました」と発表しました。その内容について知事室長にお尋ねします。
《答弁》
知事室長
2024年9月2日に博覧会協会から公表されました防災実施計画につきましては、大規模災害時の災害対策本部の設置基準や、台風、落雷、猛暑に係る気象情報に応じた閉場等の判断基準などが示されております。
また、地震・津波への対応として、大規模地震発生時の来場者の安全確保から帰宅支援までを5段階のフェーズに区分し、とるべき対応・手順を明確にするとともに、15万人程度の来場者が最大3日間滞在できる備蓄品を確保することとなっております。なお、備蓄品の調達にあたりましては、アレルギー対策及び宗教的要素を考慮することなどが盛り込まれております。
加えまして、万博会場での孤立が長期化する場合、船舶による代替輸送や、傷病者搬送の必要時には、ヘリコプター等による搬送を関係機関に要請することなどが示されております。
《要望》奥村規子 県議
やっと9月2日に防災実施計画が発表されましたが、火災やメタンガスの爆発についての対応がないわけです。それについては別途、「会期中の安全対策について」という報告があり、メタンガスや炭酸ガスについて安全な土地利用が行えるとか、測定して濃度を把握する、喚起対策を実施する、安全に会場を利用いただけると考えているという考察が書かれています。これを見て実際に安全だと思えるかどうか、県民の方や学校関係の方々に十分周知し知っていただくこと、意向調査への回答がきていないところやどうしようか考えているところへの説明を県でするという考えなのか、次に知事にお伺います。
(3)万博会場の安全対策について
《質問》奥村規子
県議
万博協会は「安全は開催の前提。信じて、来て、楽しんでください」などと言っていますが、万博期間中のIR工事の状況や、水道や下水道などのインフラについても懸念されることはあると思います。
そこで、県として安全な万博の開催に向けどう考えているのか、知事にお尋ねします。
《答弁》
岸本知事
奥村議員のご質問にお答えしたいと思います。万博会場の安全性につきましては、私も奥村議員と全く同じように、大変重要な問題であると認識をしております。従いまして、これまでもですね、災害時の対策などについて、随時、博覧会協会には申し入れを行ってきたところであります。
それから、今ご指摘の、万博期間中のIR工事に係る騒音等の懸念につきましては、大阪府知事の方からですね、くい打ち工事の延期、それから防音シートの設置、あるいは、工事のお休みの日を増やすなどの対策が発表されました。ただこれについては、私も同じ問題意識を持ってますので、引き続き状況を見守っていきたいと思っております。
また、災害時における断水等の懸念についても、これも全く議員と同じ思いでありまして、ぜひ十分な対策を講じていただきたいということを博覧会協会に申し入れているところであります。
いずれにしても、安全対策についてはですね、引き続き、博覧会協会に申し入れを行いたいと思ってますし、県からもそうですけど、関西広域連合を通じましてですね、これからも県民の皆様が安全・安心に、快適に、万博を体験いただけるように、協力してですね、取り組んでまいりたいと思います。
《再質問》奥村規子
県議
安全性を考えると、こどもや大勢のみなさんが集まるイベント会場としては無理があると、これまでも申し上げてきました。「安全宣言」ができるのか、どうするのかと県民からよく聞かれます。私は、メタンガスの安全対策を見ても、相応しくない土地で行われること自体の問題が払しょくできません。「安全宣言」をどうされるのか、知事にお伺いします。
《再答弁》
岸本知事
今、奥村議員の再質問をいただきましたけれども、これは、ここに議場におられる同僚議員の皆さんも全員そうだと思うんです。安全・安心とはとても大事なことだと思ってます。そこは全く同じ問題意識を持っていると思います。
例えば、メタンガスについてはですね、換気の仕方について、十全な対応をとると、あるいは、濃度を毎日測定して、それについては公表されると、現時点ですね、科学的に取りうる最大の措置は取られているんだろうなというふうに考えております。
それから災害の時の対応、それについても今回一応の具体的な提案がなされてますので、それについても、現時点ではですね、博覧会協会として責任をもってですね、発表されることについては、私どもは是としたいと思っております。ただ心配すればきりがない、それは一つ一つ潰していかなければいけませんので、今後いろんな方のご意見も聴きながら、ご要請があればですね、我々としても問題意識を持ってますので、担当部局と相談しながら、ここはちょっともう一回聞いてみようかと。ここはもうちょっと足りないんじゃないかというふうなことについては、先ほど申し上げました関西広域連合の皆さまと共々にですね、最後の最後まで安全な体制ができるように、博覧会協会には申し入れをしていきたいと考えております。
3.介護職の人手不足問題について
《質問》奥村規子
県議
介護関係の事業者訪問をすると、必ず人出不足で困っている話になります。「募集をしても全く応募がない」ということです。介護サービスを受けたくても、それに応えられない状況があるということは大変問題です。
介護保険法では「保険給付は医療との連携に十分配慮して行わなければならない。保険給付は被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保険医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者または施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない」とされ、「都道府県は介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない」となっています。
介護保険法の目的である「要介護状態の方の尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため介護保険制度を設けている」ということから、介護人材の不足は公的介護制度の存廃を脅かす重大問題です。介護の基盤を強化する必要があります。介護労働の専門性を確保し、介護職の社会的地位の向上、それを正当に評価する処遇改善が図られてこそ介護分野への入職意欲も高まり、人材確保も前進すると思っています。県としても、介護職員の更なる処遇改善が図られるよう、全国知事会等を通じて、国に対して強く働きかけていただいていることは承知しております。
一方、今後も少子高齢化の進展により人手不足の深刻な状況が続くと見込まれており、これから10年先、20年先、さらに未来を見据えたとき、特に若い世代の人たちに介護に対して興味を持ってもらうことが必要だと思います。若い人たちの職業選択を高めるためには、介護の仕事についてのイメージアップや理解促進を図っていくことも重要であると思います。県としてどのように取り組んでいるのか、福祉保健部長にお尋ねします。
《答弁》
福祉保健部長
県では、介護の仕事に対する理解を深めてもらうため、県内の中学校2年生及び高校2年生を対象にパンフレットを配布しており、現場で働く若手職員のインタビューを通じて、介護職員を目指すきっかけや、仕事のやりがいを分かりやすく紹介しています。
また、介護現場で働いた経験かある講師が学校に出向いて、介護の仕事の魅力を直接伝えるとともに、福祉施設で実際に介護を体験する機会を提供しているところです。
さらに、介護に興味を持った高校生に対して、介護職員初任者研修を無料で実施するとともに、就職してからも、国家資格取得に繋がる研修会等を行い、若い世代の人たちの参入や定着を促進しています。
こうした取組を通じて、必要とされる介護人材の確保を図ってまいります。
《要望》奥村規子 県議
4月に強行された訪問介護の診療報酬引き下げは、介護現場の方々に失望を与えています。日本医療労働組合連合会で訪問介護の基本報酬引き上げをすべきだとして実態調査を行った結果、訪問介護事業所が閉鎖になったといった状況があります。
例えば他の県では、ヘルパーの平均年齢が65歳を超えていることや、熊本県では半導体工場を誘致した中で他の産業の時給が上がり、低賃金の介護事業所に新しい人が来ない、北海道では事業所が減っている、訪問介護の空白地域が広がっている、ということがあげられています。
訪問介護は在宅で過ごすなかで命綱になります。県だけでは進まないことなので、知事が全国知事会通すとか直接国に働きかけて、訪問介護の基本報酬の引き上げや処遇改善があって、介護職の素晴らしさ、魅力発信をしていただきたいと要望します。
4.マイナ保険証について
《質問》奥村規子
県議
マイナ保険証の利用が増えないなか、厚労省は5月から7月を「利用促進集中月間」とし、12月の保険証廃止に向け、利用拡大キャンペーンに「総力を挙げて取り組む」としています。
厚労省が、医療機関や薬局の窓口で「マイナ保険証をお持ちですか」「次回はマイナ保険証をお持ちください」と声をかけるように促し、マイナ保険証の利用者が増えたところには見返りとしてお金を支給しています。コロナ禍での感染防止補助金など、通常は申請が必要ですが、マイナの場合は申請不要で自動的に医療機関に振り込まれる破格の扱いです。
今年の診療報酬改定では、マイナ保険証の一定の利用実績などの要件を満たす医療機関には、初診料に加算されることになりました。そこを受診する患者は、マイナ保険証か現行の保険証にかかわらず、負担増となりました。
県民の方からは、マイナ保険証がないと「医者にかかれないの?」「窓口での支払いはどうなるの?」「薬局でマイナ保険証持ってきて、と言われた」など不安の声が聞こえてくるとともに、いろいろな誤解が生じています。ポイント付与で約1兆3800億円の税金を使っていても利用は伸びません。利用率は全国11.13%、和歌山県は7.72%と聞いています。
そもそもマイナ保険証の取得は、任意であるはずです。県としては、どのようにお考えでしょうか。福祉保健部長にお尋ねします。
《答弁》
福祉保健部長
現行の健康保険証は、2024年12月2日から新規発行されなくなり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することとなっております。
なお、12月2日時点で有効な健康保険証は、最長1年間有効とする経過措置が設けられているところです。
一方、マイナ保険証を取得していない場合は、本人の被保険者資格の情報などを記載した「資格確認書」が交付されることとなっており、「資格確認書」を医療機関等の窓口で提示することにより、今までと同様に受診することができます。
しかしながら、マイナ保険証を利用することにより、過去に処方された薬剤や特定健診などの情報が、医師・薬剤師にスムーズに共有され、より良い医療が受けられることや、高額な医療費が発生する場合でも、手続きなしで限度額以上の支払が免除されるなど、様々なメリットがあります。
県としましては、医療DXの基盤となるマイナ保険証について、これらのメリットを丁寧に周知することにより、利用促進を図ってまいりたいと考えております。
《意見》奥村規子 県議
保険医師の団体からも現行の保険証を残してほしいという要望が厚労省など国に届けられています。県として、医療現場で大変なことになっている実態を掴んでいただきたいと思います。
マイナ保険証の問題は、便利というだけのことではなく、国や保健所の保険証交付義務がなくなり、申請しなければ手元に届かなくなってしまう問題があります。障害者や高齢者、認知症の方など自力での申請・更新が困難な方がどうなっていくのか、このさき非常に危惧する問題です。国保も含む国民皆保険制度の崩壊につながっていくのが、マイナ保険証制度であると申し上げておきます。
5.米軍ヘリコプターの緊急着陸問題について
《質問》奥村規子
県議
7月28日に、橋本市の紀の川河川敷に在韓米軍のヘリコプターが緊急着陸したことをテレビ報道で知りました。その後、危機管理部に日本共産党橋本市議団とともに申し入れを行いました。
日米共同訓練後、撤収のため三重県明野駐屯地を離陸したものの、警告灯点灯により「予防着陸」したということがわかりました。住民の方は「住宅の上を何回か旋回していた、窓ガラスの振動や爆音で大変な恐怖感・不安感を持った」といわれていました。県からもすぐに近畿中部防衛局に申し入れされたということですが、県への連絡が1時間以上経過していたことや、飛行ルートが知らされないなど、大変疑問を感じました。
平成30年9月の本県定例会において可決された「米軍基地負担の軽減を求める意見書」によると、米軍機による低空飛行訓練等については、訓練ルートや訓練が行われる時期について速やかな事前情報提供を必ず行い、関係自治体や地域住民の不安を払しょくした上で実施されるよう、十分な配慮を行うよう求めています。
本議会のみならず、多くの議会がこのような意見書を提出しているにも関わらず、全国でも米軍ヘリによる同じような事案が発生しております。そこで、米軍ヘリが県の上空を飛行することなどについての、知事の所見をお伺いします。
《答弁》
岸本知事
米軍ヘリコプターの緊急着陸問題についてのお尋ねがございました。お答え申し上げたいと思います。
今般の米軍ヘリの予防着陸につきましては、緊急なこととはいえ、住民生活に近い場所に着陸したことがありましたので、米軍に対しまして、速やかな情報提供と、航空機等の安全管理に万全を期すように申し入れをするよう、県から国に対し即座に要請をいたしました。
一方で、日本政府と米国政府との間で米軍機の飛行ルートにつきましては、米軍の軍事上の運用に関わることなので事前の通知はされないという取り決めが行われております。
しかしながら、私どもとしては米軍機による事故を防止する必要がありますので、全国知事会として国に対して、住宅地域や工場地帯上空における飛行制限、航空機の整備点検など、徹底した安全対策を講じるよう継続して求めて参っております。
特に低空飛行は、県民の方々に危険が及ぶ可能性がありますので、和歌山県といたしましても、これまで目撃情報が寄せられる度に国に対してそれが米軍機である場合には、その停止などについて申し入れを行ってきております。
県として、県民の安全安心の確保が最重要であります。米軍機の飛行について全国知事会と連携しつつ、国を通じまして、米軍に対しては、安全管理など徹底するように適切な対応を求めて参る所存でございます。
《要望》奥村規子 県議
知事から力強い、熱量のある答弁をいただき安心しましたが、アメリカ側からの通報体制が機能しなかったのが問題です。連絡の時間経過や、警告灯がなぜ点灯したのか、様々な疑問に対し真摯に対応する姿勢が求められます。
2018年に和歌山県議会で可決した「米軍基地負担の軽減を求める意見書」でも、世界に例のない米軍特権を定めた「日米地位協定を抜本的に見直し」と書かれています。今後いっそう知事からも、ご意見をあげてほしいとお願いいたします。