2025年度(令和7年度)和歌山県予算
◇ 議案第1号 令和7年度和歌山県一般会計予算
  予算額 6138億1290万9000円
  前年度 6280億0340万3000円
       (▲141億9049万4000円)
議案に対する反対討論 中継録画2710~)


前年比2.3%減 6138億円 過去3番目
 2月県議会では2025年度当初予算が提案されました。一般会計は前年度比2.3%減の6138億円で過去3番目の規模となりました。
 歳入では、県税収入の4.4%増などで地方交付税が0.7%減少しますが、国の地方財政対策の状況を踏まえ、地方交付税の不足分を補う臨時財政対策債は発行せず、次年度以降も発行しない方針です。国庫支出金は、物価高騰対策や人件費の増加などで2.9%増加します。
 歳出では、コスモパーク加太でできた県土地開発公社の借入金231億円を代位弁済した前年度の異例な事案があったため、25年度は補助費等が9.9%減。また投資的経費は、国直轄事業負担金や災害復旧費の減などで6.2%減少する一方、借金返済の公債費は7%増となっています。2023年2月に発出した「財政危機警報」により、事業の見直しや15%シーリングなどで予算を抑えてきましたが、今後の財政収支では10年間の県債発行を減少に見直しながら、金利の上昇で公債費はさらに増えていくと危機感を強調しています。

重点支援地方交付金の使い方は
 国の物価高騰対策である「重点支援地方交付金」が和歌山県には43億円が交付され、2024年度補正で12億円、当初予算で31億円が計上されました。国の支援対象外であるLPガスや特別高圧電力の料金、社会福祉施設の光熱費等の高騰対策支援に充てられます。
 一方、25年度以降も継続して実施される学校給食費無償化や、保育料等を無償化する「紀州っ子いっぱいサポート」など、すでに実施されている事業にも当交付金が充当されます。単年度だけでなく今後も続けていく事業の財源は臨時的な国の交付金でなく、一般財源から確実に確保する必要があります。重点支援地方交付金は、物価高騰に苦しんでいる県民や中小事業者への緊急対策として使われるべきです。
 商工関係では、企業誘致や成長する起業、宇宙関連事業、成長分野へのビジネス創出支援といった新たな事業が目立ちます。成長分野を引き伸ばすだけでなく、地域に根差してきた地元産業を支える施策こそ地域経済活性につながります。

病床削減進め、国保料・税引き上がる
 地域医療構想により、2014年度には12,540床あった病床が、24年度までに1,626床も減らされました。25年度予算でも病床再編に4億円以上が計上されています。新たな感染症や災害に備えた医療体制の充実に向け、地域医療構想は撤廃するべきです。
 国保料・税は16市町村で引き上げられます。2030年度の保険料完全統一に向け、27年度までに市町村からの納付金ベースの統一を目指すとしています。保険料や納付金の統一はさらなる引き上げにつながります。加入世帯の限界を超えている国保料・税引き下げのため、国庫負担の大幅増額と県としての努力が求められます。

こども支援 医療費助成進まず
 こども支援の新規事業としては、病児保育の広域化や、出産後1年以内の産後ケア、県立医大で児童精神科医の育成を図るこどものこころの診療ネットワークなどが実施されます。
 しかし、県制度のこども医療費助成はいまだに就学前までとなっています。県内全市町村が中学卒業まで、ほとんどの市町村が高校卒業まで無料です。市町村のこども支援策を充実させるためにも、県の対象年齢を引き上げることが求められます。

学力テストの完全廃止を
 2025年度から中学生の県学力テストを中止します。点数だけの競争教育に追い込む学力テストは、国での実施も含め完全廃止するべきです。
 また、教員定数7,000人のうち450人もの非正規である定数内講師を、正規教員に置き換えていくことが求められます。

危険な万博へのこども動員中止を
 大阪・関西万博推進では、万博基金16.6億円の最終年度となり、残る9.8億円を和歌山ゾーン運営や会場での催事、空飛ぶクルマの実用化調査などで使い切ります。
 その中で、県内の小中学生を万博に動員する「教育旅行参加支援事業」が進められています。学校行事としての教育的効果が不明なうえ、事故防止や安全確保も保証されません。メタンガス爆発事故対策は一部の換気や検知器設置にとどまり、駐車場の下には猛毒PCBが大量に保管され、熱中症対策もまったく不十分です。また会場へのアクセスはトンネルと橋の2ルートしかなく、災害時には15万人が孤立し、地盤沈下や液状化の危険もあるなど、多くの問題を抱えています。教育意義もなく、命が危険にさらされる大阪・関西万博にこどもを連れていく教育旅行は中止するべきです。

白浜空港の滑走路延伸と、特定利用空港での軍事利用
 熊野白浜リゾート空港(南紀白浜空港)の観光産業活性化に1.7億円を計上。国内線利用促進や国際チャーター便誘致に取り組みます。
 その受け入れのためとして、現2,000mから2,500mへの滑走路延伸に向けた空港基本計画作成と経済波及効果算出に4400万円を計上しました。延伸には数百億円か、工法によってはそれ以上かかるとみられます。空港利用が増えても採算がとれる規模ではありません。県は公債費増加による財政危機を煽りながら、一方で巨額の財政支出をともなう事業に突き進むというのでは辻褄が合いません。
 今年1月、岸本知事が国の指定受け入れを表明した「特定利用空港」では、インフラ整備に滑走路延長やエプロン整備があげられ「自衛隊・海上保安庁のニーズにも考慮して整備について判断する」としています。国の補助金を期待しての指定受け入れであれば許されません。
 「特定利用空港」は国家安全保障戦略に基づき、平素から自衛隊等が軍事訓練できるようにするものです。県民の安全を脅かす指定受け入れは撤回するべきです。

競輪施設の再整備
 競輪場が老朽化しているとして、これまでの基金を施設整備と運営とに分け、効率的に資金管理し競輪施設の再整備を進めるとしています。公営ギャンブルの運営はもとより、ギャンブルで負けた人のお金を財源に施設を立て直すのは、県がやるべきことではありません。


◇ 議案第2号 令和7年度和歌山県農林水産振興資金特別会計予算
  予算額 2億6863万6000円
 (前年度 2億1041万3000円)

◇ 議案第3号 令和7年度和歌山県中小企業振興資金特別会計予算
  予算額 1億5095万9000円
 (前年度 1億9678万5000円)

◇ 議案第4号 令和7年度和歌山県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算
  予算額 1億2579万2000円
 (前年度 1億3598万8000円)

◇ 議案第5号 令和7年度和歌山県修学奨励金特別会計予算
  予算額 1億4444万円
 (前年度 1億9287万2000円)

◇ 議案第6号 令和7年度和歌山県職員住宅特別会計予算
  予算額 1億5834万7000円
 (前年度 1億6080万円)

◇ 議案第7号 令和7年度和歌山県国民健康保険特別会計予算
  予算額 944億5220万8000円
 (前年度 969億5854万7000円)

◇ 議案第8号 令和7年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
  予算額 254億7194万1000円
 (前年度 260億6764万7000円)

◇ 議案第9号 令和7年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
  予算額 6億9370万1000円
 (前年度 5億2830万9000円)

◇ 議案第10号 令和7年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
  予算額 8億2022万7000円
 (前年度 8億2022万7000円)

◇ 議案第11号 令和7年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
  予算額 11億4820万2000円
 (前年度 10億1882万2000円)

◇ 議案第12号 令和7年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
  予算額 15億8024万3000円
 (前年度 16億9914万1000円)

◇ 議案第13号 令和7年度和歌山県公債管理特別会計予算
  予算額 1251億0872万円
 (前年度 1145億7669万円)

◇ 議案第14号 令和7年度和歌山県立こころの医療センター事業会計予算
  予算額 27億5673万6000円
 (前年度 28億6185万2000円)

◇ 議案第15号 令和7年度和歌山県工業用水道事業会計予算
  予算額 47億6827万9000円
 (前年度 18億1767万7000円)

◇ 議案第16号 令和7年度和歌山県土地造成事業会計予算
  予算額 24億5886万4000円
 (前年度  4億5667万6000円)

◇ 議案第17号 令和7年度和歌山県流域下水道事業会計予算
  予算額 44億2336万8000円
 (前年度 42億0786万円)