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高田由一議員の質問

【1】串本町有田地区の残土処理場問題

高田 建設予定地は有田地区の水道水源のすぐ上流。約一万一千の署名が集まり、知事に陳情も。おこなっている。町は林道管理条例を制定し水道水源保護条例の動きもある。
 森林法の許可に際して町長意見を尊重を
 森林法にもとづく申請がでてきた場合、県は町長が認められないとの意見があがってきた場合の県の態度は。
■島本農林水産部長
 林地開発許可の申請があった場合は、串本町長の意見を十分に尊重し、慎重に審査をおこないたい。一体性を有する計画と認める場合は、開発面積の合計が一ヘクタールを超えた時点で林地開発許可の対象になる。

普通河川の許可について
高田 普通河川に橋をかけるには知事の許可が必要。その際の承認基準はどうか。
■ 大山土木部長
 普通河川の機能管理者である町の意見を尊重し、通路橋の設置目的が林道管理条例等に抵触しないかどうか重視して対処する。

高田 県として残土処分の規制条例を制定してはどうか。
■ 大山土木部長
 県内四町村で条例を制定しているが、県条例の制定は今後の研究課題としてまいりたい。

【2】殿山ダムの操作規定について
高田 予備放流方式をとる殿山ダムは三十分の遅らせ放流をすることになっているが、一昨年七月末の台風九号のときは、最大で三時間二十分も遅らせている。(パネルを示す)。一気に増水すれば避難する時間もない。これは、オリフィスゲート六門のうち微調整がきくのが二門だけだということにも原因がある。
 遅らせ放流が操作規定で定める三十分以上になることについて、県としてどうとらえているのか。
■大山土木部長
 操作規定は適切であり、平成二年九月の洪水時にもダムは操作規定どおり操作されている。

高田 大雨などのさい、日置川町民がダム操作の状況と日置川の水位について把握できるようにしてほしい。たとえば、水位計のデータを日置川町にも分岐するとか、ゲートの操作状況をモニターカメラを設置してはどうか。
■大山土木部長
水防管理者である町など関係機関とともに検討してまいりたい。 

高田 日置川の河川改修についての進み具合はどうか。
■ 大山土木部長
 日置大橋から上流四・四キロメートルについて、堤防の築造や護岸の整備、及び川底の掘削を行っている。今後、日置川町田野井地区において堤防の築造等を実施すべく、現在地権者と用地交渉を行っている。十二年度から一部工事に着手する予定。

【3】梅生育不良の研究姿勢と大気汚染問題について
高田 一般的な大気環境と梅の問題は研究されてきたが、御坊火電と梅衰弱症との関連を正面から取り上げてこなかった。電力中央研究所の報告書では「今後の大気環境は、低濃度の大気汚染が慢性化していくものと予想されることからも、大気由来の硫黄の植物体への蓄積、被害発現の限界濃度に関する知見の集積が望まれる」としている。
 御坊火電の影響を正面に据えた研究が必要ではないか
 ばいじんに含まれるバナジウムには植物を守るタンニンという物質を作りにくくする作用がある。ばいじんの曝露実験を研究されたい。少なくとも梅にばいじんに含まれる成分が蓄積されていないかどうか調査をされたい
 樹体解析(木を年輪ごとにばらばらにして、年ごとに木に蓄積される成分を分析)を検討されたい。
■島本農林水産部長
 昨年より現地で暴露実証試験を実施し、本年はさらに多くのデータを得るため、濃度を変えて試験を実施している。
 ばいじんは葉の気孔からは吸収されず、根からの吸収では土そのものの成分はもとより肥料、農薬、潮風などから吸収されることもあり、科学的に評価できない。

高田 田辺市の上芳養では九五年、〇・〇六の環境基準を超える〇・一ppmを記録している。一ヶ月のうちに何日環境基準をオーバーした日数があるかを調べると、和歌山市内と上芳養ではオーバーする日は上芳養の方が多かった(九五年)。〇・一ppmは光化学スモッグ予報がでる高い数値。県の監視体制では和歌山市、海南市、下津町、有田市などでオキシダントを監視しているが、それより以南では常時監視されていない。
 大気汚染の常時測定局をふやし、人体への影響が心配されるときには注意を喚起する、その体制をとってどうか。
■大井生活文化部長
オキシダント濃度の今後の推移も勘案しながら、常時監視局の配置がどうあるべきかを検討してまいりたい。

【4】白浜町庄川県道整備工事問題
高田 九六年末から九七年にかけて庄川の県道白浜久木線の整備工事がおこなわれたが、九七年四月になって県が現地を見ると指定した工事箇所以外の法面が掘削されていた。それ以来、大部分の法面が掘削されたままの状態で二年数ヶ月が経過、通行止めになったまま。この背景には、同地区では、事業予定地を任意団体である「促進委員会」が先行取得するやり方をしているやり方がある。
 今後このような事例が起きないよう、工事監督の面でも、公共事業の推進の面でも注意し、早急に県道の危険個所の整備に取り組むことを求める
■ 大山土木部長
 平成八年十月に、白浜、日置川の両町で構成される県道白浜久木線改修促進委員会より要望があり、平成九年一月に機械の借り上げ契約をおこない、突角部の除去工事に着手。県の意図するところと相違が生じ、工事を中止。四月に通行止めをおこなっている。地元との話し合いの場を設けることにより、交通の確保につとめる。

【5】県道白浜温泉線の拡幅について
高田 白浜町浜通りの県道白浜温泉線のエネルギーランドから湯崎トンネルにかけての拡幅について。白良浜から牟婁の湯にいたる部分だけが狭い。バスの通過が困難であり、子ども連れのお客さんが危険で歩けない、白良浜の違法駐車を増加させる一因ともなっている。
 早急な改良、拡幅をお願いしたい。
■大山土木部長
 地元関係者の協力を得ながら、公図訂正や代替地対策等、事業化の条件整備をすすめてまいりたい。

再質問
【殿山ダムの操作について】
高田 操作規定が正しいか正しくないかではなく、規定で三十分と定められているのに、最長三時間二十分ものおくらせ放流になっているという事実が操作規定の許容範囲かどうか、明快な答弁を。
■大山土木部長答弁■
 ダム機能に問題はないものと考えている。

【梅衰弱症問題について】
高田 (ばいじん調査について)多数のデータ、資料をとれば、有意の差があるかないか、判断できるのでは。前向きに取り組んでいただきたい。ばいじんの成分が梅に蓄積されていないかどうか、調べることは技術的にも十分できる。
■島本農林水産部長
 より総合的な幅広い視野で今後の取り組みを広げてまいりたい。

再々質問
【殿山ダムについて】
高田 土木部長ははきちがえておられるようだ。遅らせ放流の時間は特定の河川、ダムを考えれば定数になる。日置川の殿山ダムでは三十分だ。河川で一番危ないのは一気に水が増えること。これが、三時間二十分という遅らせ放流のなかで現実化している。このことをどう認識されるのか。
■大山土木部長答弁■
まさに係争中の論点であり、答弁は差し控える。

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