和歌山県知事
 「全国民に戦争責任」

  党県委・県議団が
   発言撤回求める
201191
 仁坂吉伸・和歌山県知事が戦争責任について「当時のすべての国民にその責任があったと思います」と発言した問題で、日本共産党和歌山県委員会と同県議団は9月1日、発言に対する声明を発表し、知事室長に提出しました。
 発言は「県民の友」8月号に掲載されたもので「戦争指導者と一般の国民の責任は同列同等には論じられない」としながらもすべての国民に戦争責任があったとするものです。「声明」では知事の発言が政府指導者の戦争責任をあいまいにするもので戦前の社会体制をまったく無視したものと批判。「他国への侵略と不可分な国民抑圧の政治体制が、国民を戦争にひきずっていった」と指摘し、発言の撤回を要求しています。

「県民の友」8月号 知事メッセージ「戦争責任」

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                県知事の「戦争責任」をめぐる発言について
                                             日本共産党和歌山県委員会
                                                  委員長 竹内 良平
                                              日本共産党和歌山県議団
                                                   団長 雑賀 光夫

 県知事が「県民の友」8月号の「知事メッセージ」で、「戦争責任」と題して、「当時のすべての国民にその責任があったと思います」と述べていることについて、戦争で家族や友人を失った方々など多くの県民から、憤りの声があがっています。
 知事は「戦争指導者達と一般の国民の責任は同列同等には論じられない」としつつも、「戦意を高揚させるような新聞が売れ、教育現場では軍国主義が鼓吹され、戦勝記念のパレードが行われ、兵士の出征の際には別離の涙のかわりに万歳が唱えられたことも事実です」とし、戦前の日本の国民が「ムードに流されて」戦争に突き進んだかのように述べています。
 こうした戦争責任論は、敗戦直後の内閣が主張した「一億総懺悔論」と共通する、政府指導者の戦争責任をあいまいにするものです。それは戦前の社会体制をまったく無視した議論だといえます。
 戦前の日本は、国を統治する全権限を天皇が握る専制政治体制であり、国民の権利はきわめて限定されていました。教育勅語の下で教育統制がおこなわれ、「国家総動員法」で国民を戦争協力や後方支援に駆り出し、拒否した者には懲役を含む刑罰を科しました。天皇制と戦争に反対することは、死刑を含む「治安維持法」で徹底弾圧しました。他国への侵略と不可分な国民抑圧の政治体制が、国民を戦争にひきずっていった事実を、明確に見なければなりません。
 また知事は「同じ多くの国民が敗戦の後はころりと変わったのです」と述べています。侵略戦争と戦争の惨禍への反省から、平和憲法を制定し、平和国家への道を歩もうと決意した国民を「ころりと変わった」とは、国民を愚弄し、戦争に反対した国民のたたかいや、憲法の精神を理解しない発言だといわなくてはなりません。
 県民を代表する知事の発言としてはきわめて不適切であり、撤回することを求めるものです。 


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知事室長に声明を提出する県議団(左側)=9月1日、和歌山県庁