市町村合併問題の「見解」文書の発表にあたって2001年10月17日
                    日本共産党和歌山県委員会
日本共産党和歌山県委員会は「市町村合併の押しつけをやめさせ、住民の暮らしやすい自治体づくりへ」との見解をまとめました。すでに県内では、行政による講演会や「シンポ」、わが党が主催する「シンポ」などが各地で開催され、県民のなかで合併問題についての関心が高まっています。そして、国や県による市町村合併の誘導・強制政策は「地方自治」をふみにじるものであると同時に、「平成の大合併」といわれる今回の大型合併がすすめば、地方自治・住民自治が機能しなくなるおそれがあることから、この「見解」をまとめたものです。
一 文書のなかでも明らかにしていますが、今回の「平成の大合併」政策は「基礎的自治体」とは呼べないような広大な「自治体」を無理やりにつくり、「自治」の実体を失わせるものです。
○ 特に、現在の町村が広大な「市」の一部に組み込まれると、そこに住む住民は、元の自治体の時にはもっていた「財政自主権」を失うことになります。合併後に「地域審議会」が設置されても、財政権はありません。このことは、地域の産業振興計画を実行するにも、その財政的裏付けを失うことを意味します。新しい議会に一〜二の議員を送るだけの人口しかもたない地域=山間部や過疎地域にとって、このことは致命的な弱点となります。
○自治体の役場はその地方の中心的な位置をしめるのが通例です。和歌山県のような山間地に多くの自治体をもつ地域にとって、合併によって役場が支所になり、さらには出張所や連絡所になることは、その自治体の中心部の衰退を招くのは必至です。すでに、合併がすすんだ農協では、過疎地にある支所を廃止する動きが強まっています。
一、放漫財政を誘導する「合併バブル」策と、その後の急激な財政緊縮策が、財政の破たんを招くのは必至です。建設事業の投資のための合併特例債や各種補助金、地方交付税の特例と合わせて、合併後10年間は財政の膨張政策がとられることになります。その後、合併特例債の発行は終わり、地方交付税の額は本来の額に大幅縮小されます。その上に合併特例債の返済があります。国は、合併特例債の返済にはその七〇%を地方交付税の基準財政需要額に算入することを認めるとしていますが、その約束が守られるという保証はありません。
一、合併問題は、地域の自治権そのものであり、国や県がごり押しする性格のものではありません。しかし、県知事が「合併支援重点地域」を指定するよう国が指導するといった上からの合併押しつけ、強制は憲法の掲げる「地方自治」の理念にも反するものと考えるものです。
 「見解」は、様々な角度から合併推進の宣伝や効果について検証をおこなっています。これを住民のみなさんや議員、首長にとどけ、冷静な論議がおこなわれるきっかけになればと考えています。
                                                               2001年10月17日