2002年9月28日(土)14時・19時 29日(日)19時

劇団いこら50人劇場

原作/アンデルセン
脚色/栗原 省&いこらこども劇場
演出/吉井亜弥

キャスト スタッフ

ペテン師1・・・・栗生千永実
ペテン師2・・・・森口佳弥乃
王様・・・・・・・嶋田堅二
母親・・・・・・・有田和美
子供・・・・・・・森口優海
語り・・・・・・・有田和美
         伊藤ゆかり
人形使い・・・・・鶴田和也
         近藤由佳子
         栗生香林
         栗原省

演出・・・・・・吉井亜弥
舞台監督・・・・吉井孝記
作曲・・・・・・山崎 悟
音響効果・・・・山崎 悟
照明プラン・・・吉井孝記
照明オペ・・・・山口真毅
メイク・・・・・有田和美
美術・・・・・・栗生香林
衣装・・・・・・吉井亜弥
制作   栗原 省


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「はだかの王様」初演のころ    栗原 省(劇団いこら主宰)

(公演パンフレットより)
 「いこら」がまだ湯浅町に稽古場を持っていた頃、劇団員の子弟やいつも稽古場に遊びに来ている子供達を中心に「いこら友達劇場」が生まれました。15,6人の子供達が集まって、ゲームや劇ごっこをやっているうちに、芝居をやろうということになりました。当時劇団事務局を担当していた岩本明児さん(現在修理川小学校校長)が世話役になり、はじめは私が作品を選んで村山友義「きつね物語」とか鈴木哲郎「ふなとらいぎょと目ざまし時計」とかいくつかの芝居を作りましたが、だんだん物足りなくなり、「自分達で作品を書いてそれを上演しよう」ということになりました。
 1976年の夏休みに入るとすぐ作品作りに取り組みました。峰さんはななかなかのアイデアガール。山下さんは文学少女。増谷さんと吉田さんは衣装やや歌が得意・・・・。まず私が全体の筋立て(プロット)とプロローグを書いて示し、四人がそれぞれ一幕ずつ分担して書き、それを皆で「アアデモナイコウデモナイ」とわいわい言いながら直し、それを更に私が統一して出来上がったのが今回ご覧いただく「はだかの王様」です。
 ですから、これは小学校5年生、6年生の四人の女の子と私の合作です。
舞台はペテン師に私の長男ゲンとその親友キーチャン。王様は「いこら友達劇場のリーダーで6年生のノブちゃんなど、大変な熱演でした。
 この舞台は京都から九州までの劇団の仲間が観に来て大喝采、大好評を博しました。
 「友達劇場」の小学生達も、今は30歳後半になり、立派な母親や父親になりました。彼等と西広海岸へ海水浴に行った日のことなど、昨日のようになつかしく想い出します。

「はだかの王様」の音楽の謎

(私が劇団の「はだかの王様の公演記録」に投稿した文章です)

「はだかの王様」は、語りと平面人形と人間の共演という、他の劇団でももやったことがないと思われる実験的構成であったこと、演出が今回初めて本格的演出を担当する吉井亜弥であったことなど、初めて経験することが多かった。
 私も、ソングや小さな効果音楽の作曲・音楽作りと音響効果を担当することになり、今まで以上に役割が増えて、それだけに責任も増加することになったが、台本の面白さと、ミュージカル「KATSU」を契機に新しく劇団に関わることになった皆さんを加えた大勢のメンバーとの、厳しいけれど楽しい劇作りの中で始終楽しくやらせてもらった。
 ソングの作曲に当たってはいくつか困ったことがあった。第一番に、演出の亜弥ちゃんが使いたいと言っていた音楽をまだ聴いていないが、亜弥ちゃんはアメリカ旅行に行っていてそれを聞くことが出来ないこと。その音楽と統一がとれるのだろうか心配だった。それで栗原主宰に相談したところ、それを考えずに作曲を初めてみろと言われたので、とにかく作ることにした。
 二つ目は、台本を読むと「むかしむかし王様は、、、、」と日本の古来からの歌の原型である七五調でまとめられており、劇の途中で詩が少しずつ変化していくが、詩の型は同じである。
 しかし、舞台はヨーロッパのどこかのお城であり、登場するのは二人のペテン師と王様、家来や町の人。無邪気で明るく楽しいが、痛烈な風刺を含んだこの物語なのだが、七五調の詩を口に出して読んでいると、どうしても「むかし昔浦島は、、」や「むかし昔その昔、、」のような日本童謡のようになってしまう。
 このようなことで、どうするか決まるまでかなり時間がかかったが、私の最終的な結論は、ユダヤ人のフォークロア・ミュージックをルートにしたダンス音楽のスタイルであるクレズマーをベースに曲を作ることであった。そして、少しずつ状況が変化していくのを詩が現し、この劇全体のカラーを同じメロディーの繰り返しで表現したいと思った。
 決まるまでは、劇の稽古は進んでいるのに曲ができず、本当にどうしようか、いっそのこと誰かに作ってもらうことにした方がよいのではないか、とずいぶん悩んでいた。しかし、これはやっぱり私がやりたい、自分の作った曲をこの劇で使ってもらいたいと思い直し、他のことを放って曲作りに頑張ることにした。始めに「むかしむかし王様は」の出だしのところができたことで、ようやくメドが付き、後は結構早かった。詩を口に出して何度も自分なりに歌っていると次のフレーズが自然に出てくる。
 亜弥ちゃんが旅行中、出来たものを栗原主宰に聞いてもらったところオーケーが出たので、細かいツメに入ったが、それにしても気になるのは亜弥ちゃんの言っていた音楽がどのようなものなのかだ。  何日かして、亜弥ちゃんが帰ってきてMDをもらった。その音楽はヤン・バン=デル=ローストという人の作った吹奏楽で曲名は「リクディム〜4つのイスラエル舞曲」というものだった。本当にこの劇によく合う曲である。演出の亜弥ちゃんは、それを王室の情景やペテン師の何とも言えない奇妙な雰囲気を現したり、妃や大臣達の自己欺瞞の場面などで使った。
 こうして「はだかの王様」の音楽ができたのだが、不思議なことに、私と亜弥ちゃんはお互いに知らないうちに、この「はだかの王様」のためにユダヤ・イスラエル音楽を選んでいた。そのため、劇の音楽としては自然と統一がとれるものになったが、何故二人ともユダヤ・イスラエル音楽を選んだのか、今でもまだわからない。気になって、あの物語にはユダヤに通じる何かが隠れているのかも知れない、などと考えてみたりしているのだが依然として謎のままである。

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