劇団いこら公演   友 達  の記録

 安部公房 作    栗原 省 演出 

会の夜。 闇の中に浮かぶ白い顔たち それは現代の寓話だろうか?


日  時: 9月15日(祝日) 午後3時開幕(50席)  午後7時開幕(50席)

        9月16日(日曜) 午後1時開幕(50席)  午後5時開幕(50席) 

場  所: 劇団いこら稽古場(夢工房あうむ)有田郡吉備町庄12号線沿い 花太刀食品KK東隣  

入場料 :  大         人 1500円  高校生以下 1000円  


キャスト スタッフ

男 ---------  広瀬崇之(客演)           

作 ------------ 安部公房

父 ---------  嶋田堅二               

台本/演出 ----- 栗原 省  

母 ---------  別院丁子             

舞台監督 ------- 吉井亜弥 

祖母 -------  有田和美               

効果/音楽 ----- 山崎 悟

長男 -------  吉井孝記              

照明 ----------- 大谷 健

長女 -------  九鬼千恵子

演出助手 ------- 吉井亜弥 

次女 -------  栗生香林

         栗生千永実  

警官 -------  別院清(友情出演) 

            浜口督子   

管理人の女--  芝田紀寿美(友情出演)

            耐久高校放送演劇部

知らない女 --  西浦晴美(特別出演)

            夢工房スタッフ

                               

制作 ----------- 栗原 省  

 

いこら あれこれ

いこら主宰で今回の台本、演出、制作の栗原省は1968年の劇団青年座の「友達」公演のパンフレットを持っていた。その時のキャストは、大塚国夫、山本与志恵、森塚敏、溝井哲夫、東恵美子、中台祥浩、加藤恒喜、中曽根公子、今井和子、青樹和子、山岡久乃、久保幸一、児玉謙次、佐藤文紀。 また、演出は成瀬昌彦、音楽は猪俣猛です。
 今回のいこら公演では特別出演の西浦晴美さんが猪俣猛作曲の「友達のブルース」をジャズアレンジのピアノ弾き語りで唄ってくれました。
 安部公房が「友達」を発表したのは1967年、当時の「現代」が舞台ですが、今回の栗原演出では男はケイタイを持つ、今そのものの現代。
 裏方で大奮闘した小学6年生の栗生千永実(ちなみ)が研究生から正式団員になる。

「友達」公演の音楽のことなど

( 劇団が「友達」公演のまとめ誌を作成するにあたり、私が投稿した文です。)

 劇団いこらのブラックコメディー第2弾「友達」も第1弾と同様、オープニング曲は「死刑台のエレベーター」でした。「死刑台のエレベーター」は1957年の犯罪サスペンス映画で、ジャズトランペット奏者マイルス・デイビスの即興演奏が映画音楽として使われました。あの曲の何とも言えない雰囲気が今回の「友達」の色作りに大きく作用したと私は思います。

 「友達のブルース」は、日本ジャズ界の名ドラマー、猪俣猛さんが作曲、1968年の劇団青年座の「友達」公演などは、猪俣猛さん自身の演奏が使われたようです。猪俣猛さんは現在もドラマー、音楽プロデューサーとして幅広く活躍を続けておられます。1968年頃と言えばジャズが熱かった時代、当時の「友達のブルース」の演奏はどんなだったのでしょうか。

 今回の劇団いこらの公演では、特別出演の「知らない女」西浦晴美さんがピアノ演奏とアカペラでミステリアスな感じをたっぷりに、じっくりと聞かせてくれました。また、長女九鬼千恵子、次女栗生香林のソロや家族全員での合唱もあり、いろいろな「友達のブルース」を楽しめました。また、劇のあちこちで私が打ち込みで作ったインストルメンタルが使われたため、劇全体に「友達のブルース」があふれることとなりました。

 私が今回考えたのは、劇の中で何回も何回も使われる「友達のブルース」を単純な繰り返しにしてはいけない、さまざまに変化させながら全体を通じて一つの変奏曲のようにまとめたい、しかもそれぞれの場面に応じた効果のある演奏を配したい。また、全体として名曲「死刑台のエレベーター」や、足音が近づく場面で使われた「ゲッティンタイター」をも含んでの統一感を出し、さらには2001年という現代の時代性のようなものも感じられるものにしたい、ということでした。

 その方法として、ジャズやロックの根源であるブルースを土台に置くことにしました。リズムはシャッフルスタイルを基本にし、キーやリズム、テンポなどを変化させ、メロディーラインもミュートトランペットの他、ブラス、バスフルートなどそれぞれのバージョンによって使い分けて、曲のイメージを変化させながら、全体的にギターのインプロビゼーションを多用して「乗り」を表現する、ということをしましたが、果たして私の意図がうまく表現できたでしょうか。

 劇中で長男吉井孝記と長女九鬼千恵子が歌う「友達はどこに」は、オリジナル曲の楽譜がないため、私が作ったメロディーで歌ってもらうことになりました。演出の栗原省からはシャンソンのような語るように歌う歌を、という注文があったわけですが、私が台本の歌詞や途中のセリフを読む中で、何かここでは本当に本心で何かを追い求め、夢見るロマンチックな雰囲気で、ミュージカルの主人公になったような気分で歌ってもらいたいという気持ちを持つに至り、その結果があのメロディーになりました。二人の歌も、お父さん、お母さん、おばあちゃん、次女のセリフも、私がイメージしていた以上に良い雰囲気を作ってくれ、嬉しくなってしまいました。

 あの手前勝手で押しつけがましく、勝手な理由で人をも殺してしまう「世界ネックレス教」の集団も、自分たちなりに何かを追い求め、人を愛し、和を保つための努力もする、そして夢を見る、まるで私たちがそうであるように、というところがとてもぞっとするようなブラックなのだ、と私は思うのですが、みなさんどうでしょう。

 今年の夏は大変暑かったですが、猛暑の中、長期間の稽古や準備を全力で続け、公演に凝集していくという私たちの大変なエネルギーを、観客の皆さんも感じてくれたことと思います。客演、友情出演の方々をはじめ全てのスタッフ、キャストのみなさん本当にお疲れさまでした。そして、私に音楽制作を任せてくれた、演出・制作の栗原省主宰に感謝いたします。


 

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