« 2001年6月号 ワクワク我らの来々軒~忘れちゃいけない古里の味~ | Main | 2001年8月号 御坊にあった幻のお好み、せち焼き »
2004年12月01日 | 【 3.月刊『お前だえよ!』 】 |
2001年7月号 久々みつけた看板娘-アロチの花いち、僕のいち押し
梅雨前の夜、僕はとある仕事の打ち合わせで、自宅からタクシーでアロチへと向かった。
久々である宵の口のアロチは、雨が降っているせいもあってか閑散としていた。指定された所は、僕にとって初めての所であったが、「昔の“アジア”の前」という先方さんの説明に、迷うことなく行けた。
目的とする店は“花いち”という居酒屋さん。のれんをくぐり中を見渡すと、カウンターにテーブル席が2、3あり、奥には個室もある様だ。「いらっしゃ~い」と年期の入ったおばちゃんの声に吸い込まれるが如く、カウンターへと腰をおろす。しばらくして、フッとおしぼりを差し出してくれる人。顔を見ると、ナ・ナント、これぞ看板娘というのにふさわしいスラーっとしたかわいい笑顔の女の子。初めてのトコにも関わらず、一気にテンションアップ。差し出された生中もグイグイとハイピッチな僕に、引くことなく優しく相手をしてくれる。
それに何より嬉しかったのが、このコラムやテレ和歌の番組などをよく観てくれているということ。話が進むにつれ、この店の娘さんということがわかり、勤めが終わってから手伝いに来るという。なんと親孝行な娘なんだろう! 若干遅れ気味に打ち合わせ先の人が来た頃には、すっかりええ調子になっていた。「もう飲んでんのかいな?」と先方さんの問いに、ちょっと気まづく思いながら看板娘の魅力を説明すると、その人たちもなぜかココが初めてらしく、僕同様に感激し手短に目的の打ち合わせをあげてしまい、トコトン飲むことに話はまとまった。
形ばかりの打ち合わせが済み、「さあ飲もう!」と気合を入れたその時、「みっちゃん!」と何やら親しげに僕の本名を呼ぶ声。誰やろ?と振り向くと、実に中学校以来の再会である、同級生の“くんち”こと原くんである。1人飲みに来ている彼に「ココよう来んの?」って聞くと、ほぼ毎日来ているという。数あるアロチの店の中、なぜ故“花いち”なのか? ちなみに彼は独身である。…サルでもわかるこの行動。懐かしい幼なじみと、ここに来て争わなければならないのかと悲しくも、これも運命やと割り切るしかないと思えば思うほど、僕の目は血走っていく。
「毎日ってすごいな~」と彼の気持ちを探ったつもりが、「こいつ…」と看板娘である孝美ちゃんを指す。なんぼ馴染みとはいえ、出すぎた言動である。こいつてど~よ~と思うや否や、「彼女やいしょ!」とテポドン落下。僕の目の前が一瞬真っ白になり、辺りは焼け野原の様。乱れた気持ちを落ち着けて、「あ~そうかぇもうだいぶと付き合うちゃうんかえ?」と聞くと、来年結婚の約束をしてるというアツアツぶりである。アラ・ラララ~1回の裏でいきなりコールド負けのぼくはもう飲むしかない。
二人のアツアツぶりを肴に、僕は和気あいあいとしたトークを展開。まるで、新婚さんいらっしゃ~いの三枝さんのよう。芸人というのは辛いものである。ちょっと影を落としながらジョッキを飲み干す僕に、すべてを察したかの様におかあちゃんが、「もう一杯いれよか?」。
Posted by sisomaru at 2004年12月01日 17:47