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2004年12月01日 | 【 3.月刊『お前だえよ!』 】 |
2001年12月号 開講!枝曾丸のおもしろ落語教室~in近鉄カルチャーセンター~
秋も深まり、もうすぐ冬じゃ!という声が聞こえてくる昨今。賢明な読者のみなさん、いかがお過ごしでしょうか?
この秋から僕は、ハラハラドキドキなコトを月1回、来年の3月までやることとなりました。それは、JR和歌山駅にほど近くある“近鉄カルチャーセンター”で講師をするってこと。「枝曾丸のおもしろ上方落語」というタイトルで、落語の基礎知識から実技指導まで、親切丁寧に手取り足取り教えるんですわ~。今まで、寄席の間に体験コーナーみたいな感じで、お客さんに扇子の使い方や小噺なんかをやってもらうことはあったんやけど、本格的に教えるってことは今まで未体験。
僕自体、講師っていう年令でもないし、「そんな、教える程でも~」という思いもあって、ナカナカお引き受けするには時間がかかったんやけど…。結局、半年だけちゅうことで、やることになったわけです。
待ちに待った?開校日は、去る10月22日。僕の都合で、毎月第4月曜日の昼ちゅうことにしてもらった。平日のお昼、それも落語というマニアックな講座に何人来てくれるんやろ? また、どんな人が来んのやろ?いう不安を抱きながら、自らの教室へと入る。即席の高座を作り、着物に着替えワクワクしながら約束の時刻。ボーっと高座にもたれてると、一人ふたりとおばちゃんが入ってくる。
「今日から枝曾丸さんの弟子やして~」とごあいさつ。少し緊張気味の僕に相対して、おばちゃんたちはお気軽な様子。すぐさま僕への身元調査が始まった。どこで生まれ、どこで育ったか、師匠は誰か?などなど…。一通り僕の素性を知ると、幾分か安心したご様子。気が付けば、4人のおばちゃん(僕の年令からして)が席に着いた。この4人の方々が、第1期の生徒ということだ。
講座時間は1時間半。まずホワイトボードに“桂枝曾丸”と自分の芸名を書き改めて、自己紹介から始めることにした。そしていよいよ授業開始。あらかじめ苦心して作った手製のプリントを元に、まずは一口小噺から。「鳩がなんか落として行ったで~」と僕が言うと、前のおばちゃんが思わず、「どこに?」。え…? こんな感じで5つの小噺を一つひとつ練習。「はい皆さん、声を合わして~。“向こうからお坊さんが一人歩いて来るで~。僧(そう)”」。真剣な眼差しの生徒たちは、机に向かって、実にまじめに声を上げるのだ。
「ほな、今度は高座に上がってしてもらいましょうか?」というと、皆が一斉に「そんなんフワ悪いよ~」っと照れる。しかし、根はちょっと高いところにある座布団の上に座ってみたいはずのおばちゃんたちは、「まっ先生がそこまで言うんやったら、座らしてもらおか?」としばらくして、はにかみながら一人が上がると皆はうらやましそう。
次から次へと高座に上がり、小噺を披露する皆は、すっかり巷の落語家気分。そうなると、こっちもやりがいが出てくる。扇子を使ってソバを食べる仕草や、ソロバンを弾く仕草など、積極的にやってもらった。4人というこじんまりした人数がイイのか、わずかな時間で何とも言えぬ一体感みたいなものが出てきた。僕が模範演技をしたら、見ず知らずだった隣の人と仕草をやりあったり、ほのぼのした時間がすぎていく。
「はい、今日はここまでにしましょか?」。終わりの時間になり、次回の再会を約束しながら教室を後にするおばちゃん4人衆は、小声で小噺を口ずさみながら、雨の降る街へと去っていったのであった。
Posted by sisomaru at 2004年12月01日 18:07