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2004年12月01日 | 【 3.月刊『お前だえよ!』 】 |
2003年6月号 カメラマン河相裕之はすごい!
先日、和歌山を代表するプロカメラマン・河相裕之さんに、宣材用の写真を撮ってもらった。
皆さんには聞き慣れない『宣材用』とは、落語会開催のお知らせやイベントなどの出演の際マスコミ関係や主催者側に提出する、言ってみれば落語家としての看板である。だいたい5年に一度の割合で新しいものを撮り直すわけです。
昨年河相さんが、僕の高座を1年間にわたり撮り続けてくれ、その写真を僕の独演会で展示してくれた。いわば気心が知れた関係なのである。
今までこの手の写真といえば、近場の写真館に頼んで気軽に撮ってもらっていたが、密室でお互い向きあって長時間という空間に、どうも見ず知らずの他人だと遠慮が入り、出来上りを見ると偽りの笑顔ばかり。そんなわけで今回頼んだのである。
撮影当日、初夏の風が心地よい時刻は午後9時、幾つかの衣装を両手に、河相事務所の扉を開けた。するとそこは、立派なスタジオであった。よくTVなんかで観る、アイドルがパシィ!パシィ!と気持ちよさそうに撮ってもらってる所の感じである。
アシスタントの女性に導かれるまま、僕はソファーに腰を下ろす。すると河相さんが笑顔で、「どないすりゃ~」と本当に楽しそう。世間に出ることの多い宣材写真にやる気満々の様子が、僕は本当に嬉しかった。
しばらく悩んだ末、河相さんはアシスタントの女性に、「ちょっと枝曾丸ワールドに入るわ~」とCDを現在売行き好調な“和歌山弁落語集”に変えさせた。すると、「よっしゃ! 行こうか~」と突然の撮影開始。
真白いスクリーンの前に立つ僕。両端には大きな照明が眩しい。仕事柄なんども経験しているが、こればっかりはレントゲン写真と違い、「俺はスターだ!」と必死で思い込まないと中々照れくさいものである。
レンズの向こうには可愛い彼女が居てると信じ、とてつもない笑顔で向かう。すると「ええわ~最高!」と河相さんが盛り上げる。ポーズをとる度バチバチと眩しいフラッシュに、カシャカシャと軽快なシャッター音。益々と勘違いしていく。「よし、今度はそっから振り返って!」「それそれ、ええで~ええで~」「こっち真剣に見て~」「うわ~その感じええわ~」… 男ふたりの特別な空間である。
時間が経つにつれ、彼に操られているのが分かる。それがなんだか心地いい。「もっと撮って~」と叫びたくなるぐらい、その時僕は盛り上がっていた。これがプロ河相の匠の技なのかと、ほんろうさせられていた。衣装を替えながら撮られ続けること2時間半。…僕は完全にイってしまった。
「おつかれさ~ん!」の声にホッと一息。
和歌山にはいろんなプロと云われる人がいてる。それぞれ、自分の信じた道を一生懸命がんばっている。この河相さんもそのうちの一人だ。
現在彼は、本誌アガサスをはじめ地元誌でその実力を発揮している。なぜかしら彼の和歌山をテーマにした作品をみてると、そこに居てる感じになるし、人物だとその人に会ってる感じになる。写真というのは不思議なものです。たぶんそう感じるのは、彼が人一倍和歌山に興味を持ってる和歌山人だからだと思う。
今回の撮影は、そんな彼のワイルドな温ったか味に包まれながらリラックスして撮れました。まだ手元には届いていないが、きっとイイ作品に仕上がっていると思います。そのうち読者のみなさんにも、新聞やチラシなんかで観てもらえる事になるかと思います。
何気に「枝曾丸、ごっついエエ顔で笑てらいしょ!」って感じた写真に出会ったら、それがきっと河相さんの作品です。
…河相さんありがとね。
Posted by sisomaru at 2004年12月01日 18:41