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2004年12月01日 | 【 3.月刊『お前だえよ!』 】 |
2001年3月号 深夜に見つけた看板娘~男ふたりに光り射す~
正月気分もすっかり抜けたある日の深夜、僕は久しぶりに当コラムのスーパーアドバイザー・つっちいと、新たな出会いを求めながら、彼の車で二丁目から和歌山駅周辺をシャトルバスのように行ったり来たりしていた。
幾分かクシャクシャのティッシュが少なくなった彼の車内は、いつものように和歌山放送がついていた。
「最近どうよ~」と近況を探りながら、お互いがさした変化がないのにホット胸をなでおろしていたよう。ちょっと華やかなところで晩飯を食べたいと、アガサスをペラペラ…。あ~でもないこうでもないと決めることができず、刻々と時間だけが経っていく。遅くなると開いてる店も限られてくる。せっぱつまった状態で飛び込んだところは、鈴丸にある愛しあうカップルが絵になるおしゃれなお店。
10人も座ればいっぱいというイタリアンなお店は、マスター1人で切り盛りしていた。閉店間際でお客さんが少ないところのカウンターに、30過ぎの男2人が…。マスターの怪しむ視線に2人は、ホモと間違えられぬよう積極的に明るく振る舞った。
そんなぎこちない食事が済み、時刻は午前1時。これからが戦闘体制と意気込んだ僕とは対照的に、平日ということで一気にテンションダウンしているつっちいは、「ほなまぁ一軒だけいこか?」と大人ぶる。そこで扉を開けたのが、同じ鈴丸にあるご無沙汰に行くバーである。何年か前にこのページでも紹介したことのある、鈴丸のニューリーダー“さかしん”とこ。久しぶりに行く店というのはとっても気まずいもの。
店内に入り席につくや否や、予想通り我々2人を発見し、「おやおや!」と茶化される。手荒い招きもそこそこに、グラス片手に、さかしんスペシャルトークを和やかに聞いたその時、1人の美女が扉を開けた。「ひとり?」というさかしんの問いに彼女が小さくうなずくと、今までのけぞるように深々と座ってんのを座り直し、またお互い左右の空いてる席に上着を置いてたのをサッと自分の膝の上に置き換え、見えないしっぽを振ってすましてた。するとなんてない、迷うことなくつっちいの横にシィッダウン。
何も始まってないのに、あたかも勝ち取ったかのように噛みしめる笑顔とは対照的に、上着を元の位置に直す僕は楽しくない。しかしその気持ちというのは衝動的なもので、僕には、つっちいをはさんだ離れた距離からでも、何とかなるのではという確固たる確信があった。それは、彼と共に長い間いたずらにお金と酒を引き換えにしてきたわけではないということだ。早い話が、こういう場での彼の性格を熟知しているから、慌てることがないということ。
案の定、彼女の隣という何気ない会話ができるという主導権を得たはずなのにモジモジ…。取ってつけたような会話のネタをこっちに振ってはみたものの、気もそぞろである相方。もうアカンのやったらまかさんかえと、絶妙のタイミングを図りながら話しかけようとしたものの、僕も全然である。それを知ったのかつっちいが、「あかんつぅ~やなぁ」と似たもの同士に肩たたく。
それからしばらく、隣を意識しながらも1杯2杯と暗雲立ちこめる中、悶々と飲み続けてた。「あ~いつもと一緒か」…落ち込みながら僕がトイレへ行って帰って来たその時、恥じらいながら、「仕事終わりですか?」と彼女に話しかけてるつっちい。「あら…」と思わぬ伏兵の一発に少々取り乱しながらも、慌てて会話に参加。
気さくに話してくれた彼女は色白の美女で、ちょっぴり不思議ちゃん。話しているうちに、以前逢ったことがあることに気付き、ますます時の経つのも忘れ、たわいもない会話を繰り広げてしまった。
その彼女というのは、向ノ芝にある“おたふく”という居酒屋さんで、もう8年も働いてるという。まさしく看板娘の発見に嬉しくなり、おたふくでの再会を約束しあい店を出た時には、午前3時をとっくに過ぎていた。「こんな時間やいしょ!」と叫ぶ2人に悔いはなかった…。
Posted by sisomaru at 2004年12月01日 17:38