2008年2月議会 松坂 英樹 一般質問と答弁

2008年3月7日

項目

1.産廃・土砂の管理適正化を求める条例制定について
(1)早期発見・未然防止のための手立て
(2)立入調査、違反行為に対する罰則や是正策
(3)既設の現場に対する対応
(4)市町村との連携・協力

2.震災津波対策
(1)津波から「逃げ切る」支援対策プログラムについて
(2)湯浅広湾の水門等遠隔操作について
(3)広川町西広地区での海岸堤防補強・かさ上げについて

3.「中小企業高度化資金」債権放棄について
(1)融資そのものに問題はなかったのか
(2)債権放棄の責任について
(3)県は説明責任を果たしたと言えるのか

4.再質問 (3.「中小企業高度化資金」債権放棄について)
(2)債権放棄の責任について
(3)県は説明責任を果たしたと言えるのか
   ・国の審査が通っているから全く疑問の余地は、無いと考えたのか
   ・これまでの高度化融資について問題なしとする県の説明を鵜呑みにして再績査の指示を



1、産廃・土砂の管理適正化を求める条例制定について

《質問》 松坂英樹 県議
 まずはじめに、産廃・土砂にかかわる県条例の制定についてお伺いします。先月19日、知事は記者会見で、「産業廃棄物の保管及び土砂等の埋立て等の不適正処理防止に関する条例(仮称)」の制定に向けた県の見通しを発表されました。
 土砂の処分場にかかわる問題では、私たち有田地方の山あいに、10トンダンプにして3万台分、約20万立方メートルもの大量の土砂がもちこまれるとともに、産業廃棄物が隠して埋め込まれ、業者が逮捕されるという事件がありました。私は、初当選した03年6月議会の最初の質問でこの問題をとりあげて、残土規制の条例制定の必要性を訴えました。そして05年9月議会でも、この土地に別の業者が、架空の老人ホーム建設計画持ち上げ、土砂の搬入を狙っている問題や、近年、関東方面からも船で土砂がわざわざ和歌山まで大量に運び込まれている問題を指摘し、早急な対応を求めてきたところです。今回、こうした県民の声と願いに応えて条例制定発表にこぎつけたという点では、関係者のご努力に心からお礼を申し上げるものです。
 この土砂処分場の問題では、県内各地で問題が進行中です。この間も、集落の真上にある急な斜面に土砂を積み上げていて災害が起こらないか心配だという住民からの相談がありました。また遠く県外から土砂が搬入されていて「あの土は大丈夫か」との声が出ても、ここは産業廃棄物処理場ではないからと言われて行政がなかなか入っていけないという所があったりと、早急な手立てが求められている現状があります。
   また県外からの土砂搬入も、トラックはつかみようがないのですが、記録に残る船による搬入だけを見ても、和歌山下津港が16年度の2,100トンが18年度には24,000トンと約10倍に、新宮港では16年度が28,000トン、17年度が55,000トン、18年度では一桁上がって106,000トンと倍々ゲームに増えています。
 前回の質問では、土砂処分場事件でたいへんなご苦労をされた地元区長さんのお話を紹介しました。「あんなに土砂をたくさん掘り込んで大丈夫か」と心配したがどうにもならなかったこと、何度も区の会をもったこと。業者にやめてくれと言っても、「いやなら山の上から土を入れる」といわれ、急な谷の上から土砂を入れられると災害の危険性がよけいに高くなると思い、それ以上のことが言えなかったこと。臭いがひどいと訴えに行くと「わしらは命はほしくないんや」と逆にすごまれて恐怖を感じたこと、区長さんは「もう前回のような二の舞いをふんではならない、前回つめきれなかったこと、たとえば不法投棄の証拠が出るまで手が出せなかったことや、土地所有者の責任とか、そういう教訓をもとにこんなことが今後おこらないようにしてほしい」とおっしゃいました。こういった県民の願いに応えた条例になることを切に望むものです。

 この立場から、県が制定をしようとしている条例の基本方向について何点かお伺いをします。第一点目に、不適正処理の早期発見・未然防止のための手立てはどうか、二点目に、立ち入り調査ならびに違反行為に対する罰則・是正策についてはどう考えているか。三点目に、今後の対応だけでなくて、今ある現状、既設の現場に対する対応はどうするのか、四点目として、すでに市町村が同様の条例を持っているところもありますが、こういった条例との関係や、役割分担、県内市町村との連携・協力についてはどう考えているのか。
   以上の点について、条例案をまとめてゆく基本的な考え方を環境生活部長より答弁をお願いします。


《答弁》 環境生活部長
   まず、早期発見・未然防止のための手立てについてでございます。廃棄物処理法では、産業廃棄物の排出にあたり、その処理を許可業者に委託した場合、産業廃棄物管理票いわゆるマニフェストを交付しなければならないこととされていますが、産業廃棄物の自己物を排出場所とは別の場所に一時保管する際は、届出や許可も必要なく、帳簿等の作成義務もございませんので、行政がその保管場所を把握しにくい状況となっています。したがいまして、一定規模以上の土地で産業廃棄物を一時保管する場合について、排出事業者に届出をさせることにより、その保管状況の把握とともに、適正な処分に向けた行政指導等が可能になるものと考えております。
   また、土砂の埋立てに関しては、過去にも廃棄物や汚染物質が混入された事件もあり、県民からもそういった埋立てに対する懸念の声もございます。これらのことから生活環境保全上の支障を未然に防止するためには、土砂の埋立てについて、水質や土壌の環境基準の遵守が必要であると考えております。さらに崩落や流出といった災害発生のおそれもございますので、その防止のための土砂堆積の構造基準を整備し、一定規模以上のものについては、その基準に適合するかどうかを審査する許可制度を導入してまいりたいと考えております。

   次に、立入調査、違反行為に対する罰則や是正策についてでございます。適正な処理や埋立てがなされていないような場合の対応については、事業者や土地所有者に必要な行政指導を行うとともに、生活環境保全上の支障をきたすおそれがある場合、措置命令等の行政処分を行うことも視野に入れてまいりたいと考えております。
   また、無届出や無許可での事業の執行や、措置命令等の行政処分に従わない場合については、懲役や罰金等の罰則での対応も必要ではないかと考えておりますので、今後、検察庁との協議も行ってまいります。

   次に、既設の現場に対する対応についてでございます。
   議員ご指摘の条例施行前に完了している埋立てについて、条例の適用を行うことは、法的に遡及して規制することになるため難しいと考えておりますが、条例施行の際、現に埋立てを行っているものについては、施行日から一定期間経過後には許可を必要とするものとして検討してまいります。
   なお、既に完了している現場において廃棄物による生活環境保全上の支障や災害発生のおそれ等の問題がある場合には既存の法令により積極的な行政指導等を行ってまいります。

   最後に、市町村との連携・協力についてでございます。土砂の埋立てに関しては、県内でも7市町で独自の条例が制定されていますが、条例による規制のない市町村は依然として多いため、県下全域で土砂の埋立てを適正に行わせるような条例が必要であると認識していますので、今後、県内の市町村との間で、規制の規模や役割分担などについて意見交換等を行いながら、お互いに連携を図ってまいりたいと考えております。


2、震災津波対策
《質問》 松坂英樹県議
 次に、震災津波対策について質問をいたします。今議会に提案された来年度予算案の中には、東南海・南海地震対策の充実として、津波避難困難地への対策、堤防や水門等の修繕・補強、水門遠隔操作化などによる浸水被害軽減対策に取組むとして、湯浅広湾の水門遠隔操作のための予算が盛り込まれています。
 湯浅広湾には、湯浅町に弁天堀水門、広川町には養源寺堀水門、江上川河口水門の3つの水門があります。私は5年前の一般質問で、この水門の修繕と遠隔操作の問題を取上げました。その時、水門の管理を任されている町職員の方の声を紹介しました。「地震が起きたとき、水門を操作するためには、海側から山側に避難する人の流れに逆行して水門まで自分で走ってきて、余震が続いているであろうその中で、あの高い水門の操作室までラセン階段を駆け上がる、そしてたぶん停電しているでしょうから発電機を始動させて、それから水門を降下させるという作業は、あまりにも危険で現実的ではありませんと。職員に、町民何千人の命を守るために自分は死ぬかもしれないが行って来いと言わなければならないのです。早く確実に水門を閉めるために、他県では遠隔操作や一定震度以上で自動的に閉まる施設もあると聞いている。なんとかそんな改善ができないでしょうか」というものでした。
 県はその後、県内の水門の点検・改修をすすめ、昨年遠隔操作化が完成した海南市の水門に続いて、今回湯浅広湾に事業着手するとのことであり、「稲むらの火」を前面に、津波防災に取組む現地湯浅広湾としても、また和歌山県としても、たいへん大事な事業でありお礼を申し上げるものです。
 また、県は先般「津波から逃げ切る!支援対策プログラム」を発表し、津波による避難困難地への対策を市町村とともに進めようとしています。この震災津波対策で何点かお伺いをいたします。
 まず第一に、この「津波から逃げ切る!支援対策プログラム」は、県のアクションプログラムのような震災対策の計画とどういう関係にあり、何をどう具体化しようとしているのか。湯浅町の避難困難地への対策と合わせて危機管理監に答弁を求めます。


《答弁》 危機管理監
  県では、国の中央防災会議が策定した地震防災戦略及び県が実施した被害想定調査結果を踏まえまして、平成19年3月に「和歌山県地震防災対策アクションプログラム」を改訂したところでございます。このアクションプログラムでは、減災目標とそれを達成するための具体的な対策の目標を定めるとともに、個別アクションの見直しや追加を行ったところであります。その中で、津波対策の推進の具体的アクションの一つとして、「津波から逃げ切る支援対策プログラム」の策定を位置づけております。
   支援対策プログラム(案)の主な内容でございますが、一つ目に、津波第1波の到達時間までに避難を完了させる対策として、新たな津波避難ビルや避難目標地点の設定、及び避難路・避難施設の整備、二つ目に、津波第1波の浸水抑制により避難時間を碓保する対策として、堤防・護岸の整備などを行うこととしております。これらの対策を関係8市町と協力し、取り組んでいくこととしており、現在、パブリックコメントを実施中でございまして、その意見を踏まえ、今年度末までに策定することとしております。
   次に、湯浅地区の避難困難地域の対策でございますが、湯浅町民体育館など、既に指定されている数箇所の避難場所等に加え、津波の浸水が想定されない安全な場所を避難目標地点として、新たに設定することによりまして、避難困難地域を解消するものでございます。


《質問》 松坂英樹県議
   次に二点目には、今回予算化された湯浅広湾の水門等の遠隔操作化はどのような内容ですすめようとしているのか、全県的な現状・見通しとともにご答弁を願います。そして三点目には、広川町が西広地区の海岸防波堤の補強とかさ上げ等に取組んでいるが、その事業見通しをお示し下さい。以上二点目と三点目は県土整備部長に答弁を求めます。


答弁》 県土整備部長
・湯浅広湾の水門等遠隔操作について
   海南市をはじめと致しまして、県下6箇所の水門等で平成19年度中に運用を開始しております。
   湯浅広湾につきましては、地元湯浅町・広川町と協議を進めまして平成20年度より2箇年をかけまして、3箇所の水門と4箇所の陸こうにつきまして遠隔操作化等を実施する予定でございます。
   今後とも、短時間で安全に閉鎖ができますよう、水門等の遠隔操作化を進めまして、津波被害の軽減を図って参りたいと考えます。

・広川町西広地区での海岸堤防補強・かさ上げについて
   広川町西広地区の海岸につきましては、広川町が管理いたします唐尾漁港の区域内であります海岸でございまして、平成19年度より国、県の補助を受け、広川町が海岸耐震対策緊急事業に着手いたしまして、防潮堤の耐震調査を終えたところでございます。
  今後は、この結果を踏まえまして、防潮堤の補強、嵩上げを平成23年度までに完成する計画で進めていくと聞いております。
 県といたしましては、町と連携を図りながら事業を促進してまいります。


3、「中小企業高度化資金」債権放棄について(配付責料・パネル掲示)
《質問》 松坂英樹県議
(1)融資そのものに問題はなかったか
 さて、3番目の柱である「中小企業高度化資金」債権放棄の問題に移らせていただきます。今回の債権放棄議案は、中小企業高度化資金の融資先破綻企業5組合の合計26億4千万円余を回収不能として債権放棄するものです。また同時に設備近代化資金における合計4400万円余を時効等により同じく債権放棄する内容となっています。この議案については26億円余という額の大きさから言っても慎重な審議が求められます。
 この「中小企業高度化資金」は中小業者の共同化による体質改善を目的とするものでしたが、日本共産党県議団は、ずさんな融資審査と債権回収をおこたった問題点を、これまでも県議会の場で指摘してきました。
   その中でも特に、今回債権放棄する中のプラスパフーズという豆腐製造業者に対する融資は、土地代金12億円に対して10億円の融資、建物ほか18億円に対して14億円の融資、あわせて24億円もの無利子の融資を受けながら、わずか1パーセントの返済で倒産したという最も問題点の大きいケースです。
   倒産後、担保として残った土地と建物を競売にかけても1億円にしかならず、差引き22億4千万円もの国民・県民の税金が泡と消えたことになります。
   県はこれまで、滞納額が多額に上っているのは重大な問題だと認識し、滞納者に違約金も請求せずに放置してきた問題点は改めて償還指導を強化してきましたが、融資のあり方そのものについては手続き上問題はなかったと責任を認めてきませんでした。今回の債権放棄に当たっての県の姿勢がこれまでの延長線上であるなら県民の理解は得られないと考えます。
   そこで私は、情報公開で明らかになった具体的な資料にもとづいて融資のずさんさを指摘するとともに、債権放棄の責任の所在、県は説明責任を果たしたのかという3つの角度で質問をさせていただきます。
   まず融資そのものに問題はなかったのかという点です。今回のプラスパフーズの債権放棄の結果内容を見ると、融資決定そのものへの疑問を持たざるを得ません。
   債権が回収できずにわずかな返済で終わったのは、担保にとっていた不動産が10分の1の値段でしか売れなかったことと、事業をおこなった組合員5名が連帯保証人となっていたが、倒産して自己破産するなど保障能力がないことが理由となっています。競売での回収額と保証人の保障能力を結果からみると、もともと担保価値も保障能力もなかった、返済能力に疑問があったということではないのでしょうか。担保価値も不足し、保証人からも債権回収できずに債権放棄しなければならないような融資は、融資決定そのものが不自然ではないかという点でまず見解を求めます。


《答弁》 商工観光労働部長
   申請当時、組合員5社は、直近の平成5年度決算におきまして、約16億円の売り上げ実績がございました。競争の激しい豆腐製造業界で今後生き残っていくためには、大型近代化製造設備の導入による経営の合理化・集約化を図り、併せて労働環境の整備を図ることで、大手取引先からの需要ニーズに対応していくことが重要であると判断し、高度化事業の活用を図ったものでございます。
 ªª融資の決定までの事務手続につきましては、平成6年5月に組合代表から、旧桃山町を経由して借入予備申請の提出があり、現地調査や組合員ヒヤリング等を実施いたしました。
   同年10月に提出されました事業実施計画書に基づき、県での予備診断実施後の同年12月には中小企業基盤整備機構(旧中小企業総合事業団)と県との合同で本診断を実施しております。
   その後、当該組合に対しての診断勧告、組合からの回答、変更計画書の提出等の指導手続きを中小企業基盤整備機構並びに中小企業庁等と密接な連携のもとに実施し、融資を実行したものでございます。
  なお、貸付け時には、土地建物等の担保を設定し、組合員の責任の所在を明確化するため、全員が連帯保証人となるなど、債権保全策を図ったところでございます。


《質問》 松坂英樹県議
   次に利害関係者との取引の結果、土地代金が2.5倍、建設費用が2倍についたというのは、過剰融資だったのではないかという点をお聞きします。
   この12億円もする土地への融資に対して、県は専門家の不動産鑑定すらとっていなかったことは、議会でも外部監査でも問題になりました。
   県は後に土地・建物を競売にかけるときに専門家の不動産鑑定をとっています。これによると近隣用地は1平方メートルあたり3万5千円と鑑定し、当該用地は有効面積割合も少なく、行き止まりなどのマイナス要因が多くて単価は約2万円の価値と判断。土地の価格は約3億5千万円という鑑定価格が出ています。これは重要な基準となる価格です。
   一方、平成14年度包括外部監査結果報告は、土地については先の不動産鑑定とともに隣接した県工業団地の価格とも比較しながら、当時推定5億円の土地を12億5千万円で買ったのは「非常に高額と判断できる」と指摘しています。同様に建物については4億5千万円の算定に対して購入価格8億5千万円となっていて「両者の間には大きな較差がみられる」と指摘しています。実に土地価格では2.5倍、建物は約2倍もの高い価格で購入しているのです。
   また土地の購入先である開発会社「阪和住建」も、工場の建設工事を受注した「阪和建設」も、両方ともプラスパフーズ代表理事の息子が経営する会社であり、外部監査は、利害関係者の間の取引の際には、問題が生じないように鑑定評価や相見積を指導すべきであると、審査に厳しい注文をつけています。
 このように専門家の鑑定意見から見ても、外部監査の意見から見ても、異常に高い価格の融資となっていて過剰融資だったのではないでしょうか。この異常な較差を認めますか、それともこれでも高くないとでもいうのでしょうか。

 次に三点目ですが、購入土地の面積変更は、審査を通すための単価操作ではなかったかという点で具体的に資料も示しながら質問をさせていただきます。
 県は土地価格について「不勧告通知以下の価格だから高いものではない」という立場をとり、「国の審査も経ているから融資に問題はない」という理屈を押し通してきました。しかし開示請求で明らかになった資料を精査すると、高い融資を無理やり通すためのカラクリが明らかになったのです。以下資料を示しながら質問をさせていただきます。
 ※資料1は融資決定2ヶ月前の1月24日付けの「国土利用計画法にもとづく売買届出書」です。数字の欄を良く見ていただくと、ここには融資計画で申請していた1平方メートルあたり9万1千円で13,700平方メートルの土地を12億5千万円で買うことが記載されていますが、後に数字が訂正されて申請されたあとがあります。私はこれは高すぎるという勧告が出ないように、不勧告通知となるよう単価を9万円から6万6千円に事前に修正した跡ではないかと思います。これをもとに※資料2の不勧告通知が出たのですが、この金額以下だから適正価格だったということを県はこれまで繰り返し弁明しているわけです。
   この前後、国からは最後の最後まで土地の購入価格が高いと指摘されました。この問題をクリアすべく、不勧告通知の6万6千円以下だから高くないと結論付けられるよう、予備申請、本申請も終わっていたのに、融資年度平成7年度末の最終段階、平成8年3月に異例の計画変更が行われました。
   ※資料3をご覧下さい。もともとの事業計画は@の青い部分の土地を買い取る予定でした。Aの黒い線で引いた土地は実際は企業用地と一体なのですが、公図混乱・分筆できない等の理由で簡単に登記できそうにない、融資までには間に合わないのでとりあえずは貸与という形で使うようになった土地です。ここまでは計画にあった土地です。
   ところが、この融資最終段階の変更で、赤く線で囲んだBの土地を買い足すことにしたのです。なぜか。それは「分母面積を大きくし、融資額を一切下げずに、土地単価を引き下げる」という強引な手法をとったからです。
   普通、土地単価が高いですよと指摘されて、土地利用計画にあったように6万6千円の単価がいいとなれば、9億円で買ったらいいんですよ。安く済んでよかった。これで事業もよりうまくいく。と喜ぶべきです。ところが安く買うのではなくて、無理やりにBの土地を買って、当初の融資12億円が出されるように仕組んだとしかとれません。
   このBの土地は、変更計画に添付された平面図ではわかりにくいので、横から見た現場写真を貼りつけてありますのでご参照ください。この土地を工場用地単価で買い足したことの異常さがはっきりすると思います。こんな池の法面を工場用地の単価で買い上げたとなれば大問題です。この変更が行われたのは3月25日、そして年度末ギリギリの3月28日に融資決定の知事決済が下りたのです。
   ※資料4は、融資決定後にこの計画変更を県が診断した報告書です。下から3行目途中からの文章には、国土利用計画法の用地単価と当初計画の用地単価との格差を是正するために買ったことを、正式に文書で認めているんですね。繰り返しますが、この土地が必要だったから買ったのではなくて、用地単価を下げ、融資審査が通るように買い足したわけです。
 後の不動産鑑定で3億5千万円と安く評価された最大の要因は、敷地面積全体の約4分の1をしめるこの法面等をマイナスして、有効土地面積をもとに算出しているからです。県が言ってるような経済情勢が主原因ではありません。
 つまり、土地単価を下げるために当初の計画にもなかったおとなりの法面等も抱き合わせで収得し、その結果、利用価値のない土地を高額で購入したことになる。法面等を工業用地と同額で取得したというのはずさん以外の何者でもない。そして融資の破綻により損害を県民に与えることとなったわけです。
 いくら県の審査が通った、国の審査も通った、といって問題がないとは言えません。審査を通すための「ごまかし」をやっているわけですね。そこで伺います。これは審査を通すための単価操作ではないのか。こういうごまかしまでやって審査を通したことは問題ではないのかお答え下さい。


《答弁》 商工観光労働部長
   土地・建物の取得についての二番目、三番目のご質問についてでございますが、平成14年度包括外部監査における土地価格の算出につきましては、取得面積に基準地価格の平方メートル単価50,000円を掛け合わせ、さらに不動産鑑定評価の一つの手法でございます減価率54%を掛け合わせて取得見込み金額を試算しておりますことから、議員ご指摘のように実際の取得価格と大きく乖離したものでございます。
  貸付に際しましては、土地売貢契約の前に国土利用計画法第23条に基づく土地売買等届出を行い、平成8年3月1日付けの不勧告通知により平方メートル単価については許容範囲であるとの手続きを踏んでおり、平方メートル単価62,500円は勧告上限の範囲内であると判断いたしました。

   土地の取得面積についてでございますが、事業の必要性から周辺の3筆を買い足したものとなってございます。
   この事業計画の変更につきましても、変更診断を実施し、中小企業基盤整備機構と協議のうえ処理したものでございます。
  また、建物につきましては、基本・実施設計段階から中小企業基盤整備機構の専門家の指導を仰ぎ、効率的な施設設計を進めるとともに、適切な投資額の指導をしてまいりました。当該施設は、最新の衛生管理システム通称「HACCP」導入のための管理システムを備え、さらに施設コンセプトとして、豆腐製品製造工程を理解して頂くため積極的に見学者を受け入れるための施設を充実させております。
   なお、組合は建築工事契約に際して、見積もりあわせを実施し価格の適正化を図ったところでございます。
   また貸付実行には、現場において設計書をもとに構造的な検査を県の技術担当課が実施しており、整合性を図ったものと考えてございます


《質問》 松坂英樹県議
   融資の問題4点目に、事業計画についてお伺いします。プラスパフーズの事業計画段階での国の診断は「本計画の成否は、生産能力に見合う販売力の確保如何にかかっている」と勧告しています。高額な工業製品を生産する事業などと比較すれば、もともと利幅の大きい事業ではないわけで、今回の巨大な設備投資と販売能力のバランスがとれないと計画はうまくいかないという忠告でした。ところが県はプラスパフーズの事業計画と対応策を妥当なものと丸呑みしてきました。しかしスタートしてみると惨憺たる結果です。初年度で計画達成率51%、次年度は53%、47%、44%とまったくふるいませんでした。事実上の初年度の損益計算書を見ても減価償却する以前にすでに1億円の赤字です。操業わずか半年で支払い方法に間違いがあったと県に始末書を書くほど資金繰りに困っていることも伺えます。そして操業開始2年後にはすでに1回目の不渡りを出し、わずか5年数ヵ月後に自己破産しています。
 操業前の組合員5社それぞれの売上げを合計した金額と比べても、共同して有利になるはずが逆に売上げを半減させているんですね。これがもし初めはうまくいっていたのに途中で次々と減っていったというのなら経済的要因や取引先の要因で説明できますが、はじめから計画の半分だというのは「当初の計画がずさんだった」という以外にありません。非常にずさんな事業計画だったのではないですか。ご答弁願います。


《答弁》 商工観光労働部長
   先ほどもお答えしましたが、組合から提出されました事業実施計画書によれば、当時既に組合員5社で相当売り上げ実績がありましたが、当高度化事業実施により、さらに毎年10%程度の売り上げ増が計画されておりました。
   中小企業基盤整備機構が中心となって実施いたしました本診断の結果、事業計画の内容は適格であり、目標の達成は可能であるとの報告を受けたところでございます。
   しかしながら、貸し付け後、大手取引先の破綻や競争激化からの値下げ要求等取引先を取り巻く、様々な環境の変化により、当初の事業計画を遂行できなくなったものでございます。


《質問》 松坂英樹県議
 この融資問題の最後に、※資料5をご覧下さい。情報公開によって開示されたプラスパフーズの平成8年4月の総勘定元帳です。融資された土地代金10億円が通帳や会計で適正に処理されたか報告するために提出した書類なんですね。平成8年4月3日の欄に、「開業費、県庁餞別3名、15万円」というのがありますね。私これを見てびっくりしました。この平成8年4月3日という時期は、先ほど解説しましたように、最後まで難航した融資決定がとうとう決済された3月28日の直後であり、土地代金10億円の現金が振り込まれた4月26日の直前なんですね。
 贈った方も、贈られた方も、堂々とこんなことをして平気なんですね。この資料を見れば、融資先企業と県に癒着があったのではないかと疑われても仕方がありません。県はこのことにどういう認識をもっているのか。また、この問題を知りえてから調査したのか答弁を求めます。


《答弁》 商工観光労働部長
   融資の実行に当たりましては、先ほどから申してますように中小企業基盤整備機構と県とで、貸付事務手続きに基づいて実行しておりますが、議員お話の総勘定元帳の件につきましては、組合役員等関係者の聞き取りを行ってまいりたいと考えてございます。


《質問》 松坂英樹県議
(2)債権放棄の責任について
   今度は債権放棄の責任について、知事に質問をいたします。
 私、知事のこの問題での記者会見や、また先日の一般質問での答弁を聞いて愕然としました。知事は、「設備近代化資金」の時効問題については「たいへんな失態だ」「何十年間の県庁を代表してお詫びする」職員にも「厳正な処置を行った」と県としての落ち度を反省しながらずいぶん詳しく語られました。ところが方や「高度化資金」の26億円の問題になると途端に簡単なコメントになっています。「厳正な審査」をへていて県に落ち度はないとか、後の予期せぬ経済的要因だと、県は正しかったとばっかり言って、県民に申し訳ないという姿勢がないように見受けます。
 ご承知のように「設備近代化資金」の方は、3億円はこげついたものの、259億円融資して256億円まで正常に返済が進んできた融資事業です。ところが「高度化資金」の方はというと、全国一和歌山の滞納が多いという問題の融資事業なのです。国費ベースで171億円の滞納のうち和歌山は56億円と、全国の滞納額の3割を和歌山一県でしめています。
   県内の分をまとめると、総額470億円が融資されて109億円もこげついています。特に同和対策の融資218億円のうち92億円までもが滞納され、こげつきの約9割をしめています。一般分の融資250億円で17億円こげつきという割合と比較すると、突出した数字となっています。
   配付させていただいている※資料6をご覧下さい。18年度末の償還状況のまとめです。右下の欄をご覧下さい。未償還額の所を見ていただくと、約109億円の未償還額のうち約92億円までが同和対策・地改事業関係だということが数字で見て取れると思います。
   全国と和歌山を比べてもおかしいし、一般分と同和対策分を比べてもおかしい、こういう2重の問題点があるわけです。
   こういう状況の中、今回債権放棄する融資案件は、不動産担保も保証人の保障能力もはじめから不足し、高い土地の購入価格をむりやり審査を通させたという不自然な高額融資であった。その結果として、今回あわせて26億円もの債権放棄をすることになった。
   債権放棄とは、言い換えれば借金の肩代わりを県民にさせることになったわけです。このことに対する責任は無いというのでしょうか。知事としての責任、県の責任をどう考えているのか、知事のお考えを聞かせてください。
   合わせて知事の認識をお尋ねします。日本共産党県議団は、この高度化資金の焦げ付きが明らかになった当初から、この問題は同和行政を本来の姿からゆがめて、ずさんな融資をし、回収をおこたってきた結果ではないかと指摘してきました。
   滞納額109億円のうち92億円までが同和対策のものとなっている、この結果を知事はどう認識しているのかお尋ねします。


《答弁》 知事
・「近代化資金」の時効問題では債権管理を怠ってきた責任を問いながら、「高度化資金」の債権放棄の責任はどう考えているのか
   順番からいたしますと、松坂議員お尋ねのように、まず商工観光労働部長に対するご質問に対する答弁が先にきたほうがわかりやすいという感じがしますが、知事が先にお答えすることになっておりますので、先に私のところの話しをさせて頂きます。
   まず、「近代化資金」の時効問題では債権管理を怠ってきた責任を問いながら、「高度化資金」の債権放棄の責任はどう考えているのか、ということでございます。これにつきましては、これは両方共通でございますけれども、近代化も高度化も、ちょうど平成14年ぐらいでございましょうか、先ほどお話のあった外部監査の時から、債権管理をきちんとしようということになって、厳しく債権回収にあたってきたわけでございます。
   今回の議案につきまして、もちろん最終的には事業が破綻して貸付の回収ができないということになってるのは、大変残念でありまして、この結果責任は県庁が負うべきものであるし、その最高責任者として私は責任がないとかそんなことを言っている訳ではございません。ただ調べてみますと、貸付時に何かこう全くずさんなことをやっていたか、後でご説明しますが、近代化資金のように債権管理がほとんどできていなかったのかと言われると、そうとも言えないと思います。
   例えば、これは高すぎる、おかしいといって、それを認めないというような正当性があったかというと、どうもそうではなかったのではないか、必要な手続はやってその上で貸したのではないかと思います。
   ただ残念ながら貸付後の経済情勢の変化等により組合が破綻をしてしまって、連帯保証人に対しても処分できるものは処分をして、厳しく追及を行ってきたけれども、結果として回収が見込めなくなったものがかなりあるということは、ご指摘のとおりでありまして、これについては結果として、県庁は責任を負うべきものだと思います。
   近代化資金につきましては、これとは全く次元の違う話でありまして、本来ならばもちろんきちんと貸して、それの債権回収をやらなければいけない、ということであろうかと思いますが、平成14年度までのずっと長い間この債権管理をほとんどやってこなかった、これは県庁として仕事をさぼっていたということになりますので、県庁を預かる最高責任者として県民に陳謝をいたしまして、歴代のこの問題に責任のある者に対する責任を問うたという訳であります。
   今回の高度化貸付については、これについて同じようなものが数年前に発表しておりますけれども、2件ばかり同じようなケースで、これは完全に失態であるというようなことを県としても認めて発表したものがございます。それ以外のものについては、今申し上げましたような、そういう失態はなかったと考えておりまして、同じような責任は問えないというふうに思ったということでございます。そのようにご説明したつもりでございます。

・高度化資金の延滞額109億円のうち92億円が同和対策融資だという結果をどう考えるか
   高度化資金の地域改善対策の追加につきましては、国の同和対策の推進を背景に、昭和44年に施行された同和対策事業特別措置法にあります同和対策の基本理念に基づき、昭和47年度から新たに、対象地域の産業振興や産業育成のために設けられたものでございます。
   本県では、県経済活性化の一翼を担ってきた繊維、皮革等の地場産業のウエイトが高くて、その産業高度化、地域環境の改善を実施してきたため、必然的に貸付が多くなったものと私は理解していますが、その後の経済環境の悪化等で御承知のように延滞額が増えたものであると思います。
   これは大変残念なことであります。
   県として貸付者としての立場で、回収できなくなったという意味で残念であるだけじゃなくて、この貸付の目的であった産業発展などが十分達成できなかった事でもあると思いますので、その意味でも大変残念だったと思っております。


《質問》 松坂英樹県議
(3)県は説明責任を果たしたと言えるのか
   この問題の最後に、県は説明責任を果たしたと言えるのかという問題で、知事に三点お尋ねします。
   まず一点目、債権放棄にあたって、融資決定・償還指導の総括をし、教訓を引き出したのでしょうか。
   破綻企業は事業収入による回収は見込めないので、財産処分と保証人に弁済を求める以外にない。その上で、回収するものがなければ、債権放棄するしかありません。以前は破たん処理を先延ばししてきた面がありましたが、これはキチンとやろうというのが今の県の方向です。
 しかし、先ほども述べたように、債権放棄は借金の肩代わりを何の責任もない県民におしつけることになります。県民に肩代わりを求めるには、充分に説明をして、そうかと納得してもらう以外に方法はないんですね。このことは外部監査でも繰り返し強調されている点です。
 県はこの間、償還指導がされてこなかった問題を指摘されて体制も整えて努力をしてきました。ところが、いよいよ債権放棄以外に方法はなくて最終段階に入ろうというときに、競売手続きや、保証人のチェックはやったが、残念ながら県が自分のやったことを振り返った形跡がありません。他人には厳しく、自分に甘い、ツケは県民に、これでは県民は納得しません。
 債権放棄を県民にお願いするにあたり、1から10まで包み隠さず振り返って、融資決定・償還指導の総括をし、教訓を引き出し、それを県民に明らかにしたのでしょうか。説明責任を果たさずに債権放棄だけを押し付けているのではないか。この点をお答え願いたいと思います。


《答弁》 知事
   まず、高度化資金の貸付実行にあたっては、中小企業庁の通達に従い、企業診断を行い、予備申請の段階から中小企業基盤整備機構(当時の中小企業総合事業団)と協議を重ねながら、同機構による審査も受け、承認を得たうえで貸付決定をしており、貸付手続きにつきましては、デュープロセスに従って私はやってきたものと考えております。償還指導につきましても、先ほど申し上げましたが、昔の2件を除きまして、組合破綻後あらゆる法的手段を駆使し債権回収をきっちり図ってございます。
   しかし、貸付審査や債権管理について、その時々において正当な手続きに従って処理を行ってきたとはいえ、不測の結果もあるんでしょうが、結果として回収ができなくなったことについては残念であり、もちろん結果としての県の責任、ひいてはトップとしての私の責任もあるというふうに、昔のこととはいえ現在私は県庁を率いておりますので、そういうつもりで感じております。今後ともその時々に最善と思われる措置をとってまいりたいと考えておりますが、教訓としてはどうかということをおっしゃいました。それについて私は、貸付等よほど慎重に考えないと、後々こういうことが起こるということもあるなというふうには思います。
   但し、一方ではですね、これは政策金融であります。政策金融であるということは、民間の金融機関のように何も考えないで債権の管理だけしていればいいんだというわけでもないと思うわけです。従って、安全ばかりでは政集金融としての立場もなくなってしまう。だからといって債権について、貸付について甘ければ甘いほどいいんだというわけでも全くないわけでありますので、この辺は大変難しいところではないかと思います。
   従って、私はもし手続き的に何かおかしい、さぼった、或いは過失があった、そういう時には当然処分の対象にしなければならないと思いますけれども、そうでなければ、結果責任ばかり問うていると、はたして県の職員が普通の業務ができるでしょうか。色々この議場でもございましたように、萎縮が起こって何でも門前払いということになっても問題ではないかと思うわけでございます。
   ただもう一つ言えば、現在問題にしておられる一つの案件については、取引が身内で行われていたというところがございました。成功していればちゃんとお金が返ってきて問題なかったかもしれませんが、現に失敗した。そういうときには、特に身内のときには取引におかしなところがあったんじゃないかというような議論が当然出てくると思いますので、私の今の教訓としては、特にこういうときには慎重に、少し余計めに審査をすることが必要ではあったかなと考えております。


《質問》 松坂英樹県議
 二点目は、外部監査で指摘された点を再調査し公開すべきではないかということです。
   この説明責任ということで特に振り返って再点検すべき点としては、外部監査で具体的に指摘された点にどう取組んだのかが問われています。プラスパフーズだけでも販売計画と実績との乖離、土地の取得価額、建物の取得価額、取引先の問題等が指摘されています。外部監査が発表されてからこの4年間、指摘された点を、どう調査し、どう検討したのか、ここに問題があったからこうすることにした等の真摯な対策をとったのか。また今後とるべきではないか。お答え願いたいと思います。


《答弁》 知事
   そのことについてはもちろん当時から県は真摯に受け止めておりました。以来、実は担当課室の格上げをしたり、職員の増強をしたり、サービサーの活用など様々な手法を取り入れ、延滞債権の早期縮減に取組んでいた、まさにそのきっかけになるものであったと考えております。その結果、先ほど申し上げましたように高度化資金について2件失態があったということであるし、それからこれは私が就任してから聞きましたので、直ちに全部明らかにしようということで、近代化資金についてはまだ残っておりましたから、債権回収会社を入れて全部明らかにして、どんどん表に出していく、という作業をしているところであります。従ってこの包括外部監査の内容については、県庁として十分これからの業務に生かせると私は思っております。もちろん今後も頑張ってまいりたいと思います。


《質問》 松坂英樹県議
   最後に、知事の姿勢をお聞きします。このままの県の姿勢で債権放棄すれば、県は同和行政の一部に現れたゆがみをタブー視して、メスを入れられないと県民から見られるのではないでしょうか。乱脈な同和行政の実態にメスを入れないままでの債権放棄は県民の理解がえられないと思いますが、知事はどうお考えになりますか。


《答弁》 知事
   高度化資金の地域改善対策案件については、同和対策事業特別措置法による社会的な背景を受け、県としては、昭和47年度以降、対象地域内の地場産業の振興、環境の改善等のために、合計で45件、約218億円を貸付実行して一定の成果を得た、成果が不十分であった、両方かなあと思います。それで失敗したものについては、残念ながら産業の振興を図り損なったということだろうと思います。ただ、議員ご指摘のように、同和対策だからといってそれを一概に問題にするというのは、いかがなものかなと私は思います。個々の案件については、同和対策であろうとなかろうときちんと審査して、その対象が栄えるように配慮し、一方では債権管理をきちんとやって、県民の財産を無駄遣いしないようにするということが我々に課された義務ではないかというふうに考えております。


4.再質問 (3.「中小企業高度化資金」債権放棄について)
《質問》 松坂英樹県議
 知事に再質問させていただきます。責任ばっかり問うては職員が仕事にならないのではとおっしゃいましたが、わたしの言っているのはそうじゃない。この250名の処分名簿を出して、先ほどの不作為の問題をサボっていたといって処分したのはあなたですよ。
 私は職員を処分せよと言っているのではない。この問題の教訓を引き出して、どこに問題があったかということをきっちり調べるのが県庁の取るべき責任だといっているのです。
 経済的困難で県民はたいへんです。税金払えなかったり国保払えなかったりして苦しんでいます。その人たちは整理回収機構に送られて、通帳を取られ、家まで追い出されたりしてたいへんな目にあっているわけですよ。ところがこっちは金融債権だから通帳もさわりにいかないわけでしょう。こんな中では県民は納得できません。
 融資がおかしかったのではと問うても、その時は正しかったがその後の経済のせいだという、もっとつっこまれると今度は国の承認も得ているので適正だという。これはいかにも責任逃れだ。知事は結果責任をおっしゃいましたが、私が今日指摘した融資経過について、ずさんな融資を引き出した相手方にも、融資決定をした県にも責任はないとお考えかと問うているわけです。
 部長の方は、15万円のことについてはよく調べると答弁されました。これは今までとはちがう答弁でした。しかしそれ以外はこれまでの延長線上だったと思っています。
   そこで知事に再質問します。私の今回の質問の内容を聞いても、「国の審査を通っているのでまったく疑問の余地なし」と知事は思っているのですか。
   設備資金の方はあなた自身が自ら指示して先ほどの調べさせたといいましたが、高度化資金の方はこれまでの融資に問題なしといういままでの県の説明を鵜呑みにして再調査を指示しなかったということなのか。この二点をお聞きします。


《答弁》 知事
   問題の案件について、あるいは債権放棄について、県が責任がないとか、まったく問題がないとかいっているのではございません。ご質問の主旨は、近代化資金との対比関係において、言っていることが違うということなので、近代化資金についてはあくまでも組織的な怠業であって、大変に申し訳なく思っており、この際県民の皆様に陳謝申し上げますということでございます。
   今回の件も、県が本来なら回収していてしかるべきものを、債権放棄のやむなきに至ったということについて、厚かましく議案を提出している訳ではございません。
   結果として、県民の皆様の懐をいためているということについて、私は大変申し訳なく思っております。
   ただ、先ほど申しました対比からしますと、例えば手続的にこれを止めることができたかとか、あるいは何かの手続を全く怠っていたかとか、そういうことはなかったと私は理解していると申し上げているわけでございます。


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