2013年6月
和歌山県議会
意見書案に対する反対討論
奥村 規子
議会中継録画
(36:30〜)
013年6月28日
日本共産党県議団を代表して、意見書案に対する反対討論を行います。
和議第103号は「人権侵害の救済に関する法律」の早期制定を求める意見書案です。
基本的人権の尊重は、平和主義、主権在民とならんだ日本国憲法の重要な基本理念です。しかし「人権侵害の救済に関する法律」制定となりますと、過去にこの種の法案が提出されたときにもいくつかの問題が指摘されました。
たとえば、日本は公権力による人権救済機関の設置を国連からも勧告されていますが、法案にあった人権委員会は法務省の外局に設置するため政府から独立した救済機関とはなりえません。また、「何を差別とするか」はその人権委員会の判断まかせであり、いくらでも恣意的な解釈と運用がなされる恐れがありました。このような問題点があり前回は廃案となったものです。
今回の意見書案でも差別の具体的な内容は、国民相互の問題に矮小化され、もっとも気を付けなければならない国家権力や大企業による人権侵害が脇に置かれています。
また、これまでも「反差別」を名目にした「エセ同和行為」が重大な人権侵害を引き起こした事例がありましたがこの意見書案についてはその観点がありません。
以上のような問題点が明らかにされていないままに、意見書を提出することには賛成できません。
次に、和議第105号は「青少年健全育成基本法の制定」を求める意見書案です。
意見書案では、青少年による凶悪事件等を青少年の荒廃ととらえ、その要因として、家庭の崩壊や学校の役割の問題を指摘しています。
しかし、相次ぐ労働法制の規制緩和による雇用破壊や長時間過密労働が、家族間のコミュニケーションを困難にしているのであり、家庭崩壊の原因を家庭内に求めた上で、保護者に責務を押し付けても問題が解決できるはずがありません。
また、この間すすめられてきた競争と管理の教育が、子どもにストレスを与え教員の多忙化を生んでいることからも、「役割を果たしてこなかった」などと学校現場に責任転嫁できるものでもありません。
青少年の健全な育成ためには、基本法の制定で責務を課す手法ではなく、競争主義の社会と教育を改め、憲法に基づいて、青少年の人権を尊重し、とりまく環境を守る施策を充実させることこそ重要です。
以上のことから、本意見書案には反対します。
意見書案に対する反対討論を終わります。