2014年2月県議会 文教委員会 松坂英樹委員の質問概要記録
2月21日 補正予算等審査
3月11日 付託議案等審査


2月21日 補正予算等審査

《質問》松坂英樹 委員
 一般会計補正予算説明書の中で、小学校費の教職員費が約10億円と大きく減額補正をされているが、この要因について説明を求めたい。

《答弁》 給与課長
 減額補正の主な要因は、定数の減によるものである。

《質問》松坂英樹 委員
 定数の減だけではなく、定数改善を国が見送ったことによるものが大きいのではないのか。

《答弁》 給与課長
 御指摘のとおり、定数減の中には、例えば35人学級に伴う加配がつかなかったことも含まれている。

《要望》松坂英樹 委員
 今、話があったように、国の教職員の定数改善が見送られたことは、大変残念なことである。なかでも、学年進行で計画的に進めてきた少人数学級の推進事業を急にストップさせるということは、教育行政、学校現場に混乱をもたらしたことになり、国の責任を厳しく批判したいと思う。
 県としても予算化した定数改善を実施せずに減額するといったことには、同意できないことも申し上げたい。
 最後に、教育委員会として、こうした学年進行の定数改善については学校において困難とか混乱が生じないように必要な手だてに力を尽くすよう要望する。

議案に対する採決
議案第17号 平成25年度和歌山県一般会計補正予算
は、賛成多数で原案可決
日本共産党松坂英樹委員は反対 → 奥村規子県議の補正予算に対する反対討論 議会中継録画 (1200〜)
議案第21号 平成25年度和歌山県修学奨励金特別会計補正予算
議案第88号 損害賠償請求事件に係る和解について
は、全会一致により原案可決


3月11日 付託議案等審査

《質問》松坂英樹 委員
 まず第1点目は、少人数学級の推進についてである。
 本会議でも質問があったが、学年進行で計画的に拡大してきた少人数学級の拡充が、国の政策変更によりストップされたのは非常に残念な事態である。県議会でも意見書を採択しているとおり、2年生までは2学級に分かれて授業をしていた子供たちが、3年生になった途端に1学級になって大人数になる、3学級が2学級になるといったことは、子供たちの学習環境を保障する観点からも、何としても避けたいことである。本会議では、そうした状態になる学級が、今年度8学級に加えて来年度は11校生じる見込みであると答弁されたが、県内市町村の議会の様子を見ると、35人学級実現のために独自の措置を行うと表明されたところもあると聞いている。県教育委員会としても、定数条例に反映されていないことは残念である。市町村教委とともに適切な対応をしていかなければならないと思っているが、もう少し突っ込んだ答弁を聞きたい。

《答弁》 学校人事課長
 委員御指摘のとおり、今年度で8校、来年度で11校が、学級数が減る。ただ、今年度の8校についても、そのうち4校については既存の定数を工夫したり、残りの4校についても、ボランティアがついたり、あるいは科目により少人数編制をしたりというような工夫をしている。そのような形で現在も対応しているので、今後、当該学級が適切に運営されるよう、所管の教育委員会とより一層連携を深めて対応してまいりたい。

《要望》松坂英樹 委員
 現場や市町村教委の工夫や努力によって何とか頑張っている状況であるので、まさに適切な対応を今後とも要望しておきたい。
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《質問》松坂英樹 委員
 2つ目は、就職指導員の問題についてうかがう。
 新規事業として、就職指導員の配置が予算化された。これまで緊急雇用対策で行ってきた事業を引き継ぎ、その課題を克服する方向で、県費で制度化、事業化してきたことは高く評価したい。今度の事業は、昨年度までの事業と比較してどのように改善・充実されたのか。

《答弁》 学校指導課長
 これまで配置してきた就職支援相談員は、18校にそれぞれ1名を配置し、年間70日の勤務でお願いをしてきた。それに対して、このたびの就職指導員は県内全体で10名の配置を予定しており、年間で244日の勤務で、1名当たり2校程度受け持つことになっていることから、1校当たりの勤務日数は就職支援相談員の事業に比べて1.7倍ぐらい増えるということで、各校の支援が強化されることになる。また、就職指導員には採用や人事などの担当経験を持つ民間企業経験者等を予定しており、この点からも、生徒に対して専門的な知識や経験をもとにしたきめ細かい指導や相談活動がなされるものと考える。

《質問》松坂英樹 委員
 一点確認しておきたいが、教育委員会の資料の中に、これまで配置されていた工業高校には配置しないというただし書きがあったが、こうした学校にはどういう対応をしていくつもりか。

《答弁》 学校指導課長
 工業学科を持つ高等学校においては、平成24年度より「わかやま産業を支える人づくりプロジェクト」という県単独の事業を実施してきた。その事業の中では、企業と連携して製造現場で求められる技術や資格等の取得を促進したり、あるいは新たな雇用拡大のために地元企業への雇用を働きかけていくことに取り組んできている。今後も、これらの取り組みをさらに充実させることにより、生徒が進路希望を実現できるようにしっかり支援していけるものと捉えている。
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《質問》松坂英樹 委員
 3点目に、学力対策についてうかがいたい。
 新規授業で「きのくに学力定着フォローアップ事業」が計上されている。退職教員等をアドバイザーとして学校に派遣し、学力向上の取り組みを支援するとされているが、この事業の動機、並びに具体的にどのような事業内容を計画しているのか。

《答弁》 学校指導課長
 児童生徒の学力の向上を図るため、各学校では、これまでも校内研修や授業公開等を実施して、わかる授業づくりに向けた授業改善を進めているところであるが、今年度実施した学習到達度調査の結果等から、学力向上に向けた支援を必要としている学校に対し、年間を通じて学校を直接支援する方策として考えた事業である。
 この事業では、指導力のある退職教員をアドバイザーとして派遣し、豊富な経験に基づく適切な指導・支援をしてもらうことにより、教員の指導力の向上を図り、児童生徒の学力を確実に身につけたい。
 具体的な内容であるが、本事業では、市町村教育委員会と協議して対象校を選定し、小中学校合わせて約40校に対して各学校に年間10回程度アドバイザーを派遣し、学校と協議しながら学力向上に向けた年間計画を作成し、継続的に実施する校内研修等で適切なアドバイスを行ってもらうことを考えている。
 具体的に説明すると、全教員に授業改善への直接指導を行ったり、若年教員等に対して見本になるような授業を行ったりする。また、児童生徒の実態に応じた課題解決のための教材作成へのアドバイス等も行ってもらう。
 各学校や市町村教育委員会と十分に協議しながら事業を進め、効果的な支援ができるように努めている。

《質問》松坂英樹 委員
 今年度からこういった事業に新たに取り組むという動機の中には、学習到達度調査の結果という話もあったが、この学習到達度調査の新年度以降の実施計画はどうか。

《答弁》 学校指導課長
 来年度においても実施していきたい。

《要望》松坂英樹 委員
 今の話にもあったが、全国学力・学習状況調査、学習到達度調査の問題は、子供一人ひとりの学力向上というよりも学校や担任の評価を気にすることになるということから批判をしてきたが、子供たちの課題を適切につかんで、そして確実に学力向上につながる取り組み、条件整備の一層の強化を要望しておく。
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《質問》松坂英樹 委員
 4点目は、外国語指導講師(FLT)の待遇改善についてである。
 先日の新聞報道によると、複数の県立校に英語指導講師として勤務していた男性が事件を起こした容疑で逮捕された。この男性はFLTとして東京の委託業者から派遣されていたが、ゆゆしき問題であると言わざるを得ない。
 12月県議会の委員会質問でこのFLTの待遇改善問題を質問したが、新年度はどのように改善をされているのか。

《答弁》 学校指導課長
 来年度の外国語指導講師の事業化については、全国の動向を含め、さまざまな状況をもとに検討したが、最終的には本年度までと同様の民間業務委託という形で実施したい。
 ただし、平成26年度については、委員御指摘のとおり、さまざまな課題が発生しているという現状を受け、課題を改善すべく、より業務遂行能力が高く、質の高い外国語指導講師を配置できるように、価格のみではなく、会社の経営理念あるいは業務委託等の実績、講師の採用条件や就労状況の管理、研修方法及び内容、危機管理体制、教育委員会及び学校との連携体制等、あらゆる観点からその業務遂行能力を審査できるようにプロポーザル方式による選定方法を採用し、委託業者の選定を進めている。
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《質問》松坂英樹 委員
 5点目に、高校の授業料についておうかがいする。
 高校授業料の無償化がストップされたことにより、実質無償化の支援金を受け取るためには、申請書を提出して認定される必要がある。
 いよいよ、新年度の新入生からこれへの対応が始まるが、この対応は生徒も保護者も学校も大変な手間となる。具体的に、どのようなスケジュールで書類を提出することになるのか。また、現場から声として出されていた事務の軽減や簡素化について、どういった努力をしているのか。

《答弁》 教育総務局総務課長
 初めに、事務の手続については、保護者の方からは自分のところが授業料を負担する必要があるのかないのかという認定のための申請が学校に対して2回なされる。具体的には、4月から6月分は4月、それから7月分以降については7月ということで2回なされるが、学校においてはその申請を受けて所得認定のための書類が整っているかどうかという形式的な審査をし、その後、その申請書を県の教育委員会のほうへ提出することになっている。
 それから、2点目の学校の事務軽減化については、確かに学校からも事務量が増えるということで事務軽減の要望があった。県の教育委員会としても学校の事務量を軽減する必要があると考えていたので、昨年の秋以降、学校と県との間で何回か協議の場を持って検討してきたところである。その結果、具体的には、例えば認定結果の通知を、学校を通さずに県から直接保護者の方に郵送するとかいったことで、学校の事務の軽減を図るなどして取り組んでいきたいと考えている。
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《質問》松坂英樹 委員
 最後に、道徳教育について伺いたい。
 先日、道徳教育の授業に使う資料集が発行され、われわれ議員のところにも配布された。私もざっと目を通したが、すばらしい中身のものがある反面、1時間の授業で扱うという制約がある資料であるので、どうしても内容的に薄っぺらい。もっと厚みが欲しいという感想を正直持った。
 道徳教育の資料は、教師の感動がないと子供たちに伝わらないと思っている。私は、市民的な道徳を身につけ、人の痛みを我が事のように感じられる、そういう人権感覚を養う道徳教育が重要であると思っている。徳目を説教するような授業では子供の人格は育たないし、学校や学級の運営でも、懲罰的な指導では育たないと思っている。ルールを押しつけるのではなく、ルールを合意し学級集団の中でつくり上げていくという営み、そういう経験を積んでいく中でこそ豊かな人格形成が行われ、道徳教育ができていくと思っている。
 そこで、まずこの道徳教育の資料集が発行されたねらいと、現場での活用方法についてうかがいたい。

《答弁》 学校指導課長
 今回発行した「道徳読み物資料集」は、子供たちの規範意識が低下してきているのではないかと思われる、また、いじめ問題が大きな社会問題になっている中、いじめ問題や郷土の先人というものを題材にして、今の子供たちが特に身につけなければならない思いやりや規範意識、郷土愛等の道徳的価値を学ぶことができるようにという思いでつくった。
 委員御指摘の、内容的に薄っぺらいものではだめではないかということであるが、内容については道徳教育を専門に研究されている大学の関係者や小中学校の先生方の御意見もいただきながら、生徒が授業の中でしっかり考え、そして、みずからの思いを語っていけるような資料にすべきであろうと考え、熟慮を重ねながら教材としてつくり上げたものである。この資料をもとに、子供たちがしっかりとした道徳的価値を深められるよう、和歌山としての独自性ある教材として仕上げられたと考えている。
 活用については、小学校4、5、6年生、中学校1、2、3年生各3学年分をそれぞれ一冊にまとめている。そこに15話の教材を掲載している。学校で活用しやすいように、あわせて「指導の手引き」も作成している。これも参考にしながら、来年度から各学年で5つ程度の教材を、1年間35単位の道徳の時間のうちの5回で活用し、しっかりと道徳の授業をするよう市町村教育委員会にも指導している。

《質問》松坂英樹 委員
 35時間ある道徳の時間の中でこの資料を使っていくということであるが、最後に教育長にも所感を聞きたい。今回の資料にとらわれず、道徳教育で使う資料や題材についてである。
 教師みずからが感動した資料を一生懸命探し、それで子供たちにぶつかっていく準備が非常に大事であると思う。そしてまた、郷土の偉人を道徳の中で取り上げるにしても、歴史的背景とか、またフィールドワークをしたりとか、そういう子供たちの活動、教師の側の研究とか広がりを持った学習によって郷土の偉人の偉大さを知り、今日に生きる子供たちへの励まし、郷土愛につながっていくと思う。
 道徳教育で扱っていく教材、題材について教育長の所感があれば答えてほしい。

《答弁》 西下教育長
 御指摘のとおりである。道徳という言葉に対して抵抗感を持っている方もいると聞いている。そうではなくて、本当に大事なのは、教育というのは感動であると思う。
 一人の人間がいろいろなことに出会う、読み物でも、あるいは人に出会う。その中で、感動を覚えることで豊かな心が育ってくる。そういう意味で、郷土の中にもすばらしい方がたくさんいる。歴史的にも、文化、スポーツを含めても、あらゆる面で人材はいる。もちろん郷土にもいるし、全国にもいる。例えば徐福がそうであるように、それぞれ地域の中で活躍した人材もたくさんいる。
 そういうさまざまな観点から、御指摘いただいたようなことを踏まえて、自分の心が広がる、子供の心が広がる、先生の心が広がる、あるいは子供が家に帰って話し、内容を聞いた保護者の心も広がるような、本当の意味で人間の豊かな心を育むことができる資料とはどのようなものかを考えながら今後も作成していきたい。

議案に対する採決
議案第73号 和歌山県立武道館設置及び管理条例の一部を改正する条例
議案第74号 和歌山県立体育館設置及び管理条例の一部を改正する条例
議案第75号 県民交流プラザ和歌山ビッグ愛・和歌山ビッグホエール・武道・体育センター和歌山ビッグウエーブ設置
       及び管理条例の一部を改正する条例

議案第76号 和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正する条例
は、賛成多数で原案可決
日本共産党 松坂英樹委員は反対奥村規子県議の議案に対する反対討論 議会中継録画2740〜)

議案第70号 和歌山県職員定数条例の一部を改正する条例
議案第71号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
議案第72号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
は、全会一致で原案可決

《意見》松坂英樹 委員
 予算について、学年進行で進めてきた少人数学級の拡充については県としても適切に対処されたいという意見を付したい。
意見付記についての採決
賛成少数により意見を付さないことに決定
議案第1号 平成26年度和歌山県一般会計予算
議案第5号 平成26年度和歌山県修学奨励金特別会計予算
について適当である旨報告することに決定


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