2015年12月県議会 建設委員会 松坂英樹委員の質問概要記録
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《質問》松坂英樹 委員
 まず、公共事業における偽装問題への対応について聞きたい。
 落橋防止装置への溶接不良、検査偽装が問題になった。手抜き溶接で強度の不足する製品をつくりながら、検査を不正に通して、納品・施工されていた。
 高速道路関係では、阪和自動車道の有田川にかかる橋梁に使用されていたことが報道され、県民や地元住民からも不安の声が出ている。
 その後の調査で、県内の高速道路、国、県の発注道路において、この強度偽装の落橋防止装置がどの程度確認されているのか。

《答弁》 道路保全課長
 落橋防止装置の溶接不良については、8月12日に京都市内の鴨川にかかる国土交通省管理の国道24号勧進橋で発見されたが、ここでは、落橋防止装置の溶接作業工程の一部を意図的に怠っていたものである。これにより、鋼材同士が完全に溶け込まず、引っ張り強度を確保できていない可能性がある。
 現在のいところ、県内で同様に久富産業の製品を使用している橋梁は、平成17年度以降の10年間において、高速道路では2橋あり、2橋とも不良が判明した。国管理では4橋あり、4橋とも不良が判明した。県管理では18橋あり、健全性を検査した5橋全てが不良と判明し、残りの13橋については今後検査していく予定である。市町村管理では2橋あり、検査した1橋が不良と判明し、残る1橋は今後検査を行うと聞いている。

《質問》松坂英樹 委員
 いつ発生するかわからないが、大震災の時に効果が出なかったら大変だという住民の声がある。早急な交換や補強などの対応について、また今後このようなことをなくするためにどう対応するのか聞きたい。

《答弁》 道路保全課長
 今後の対応については、請負業者の費用負担で補修させることを前提にしているが、補修方法やスケジュールについては、交換するのか、補強するのかなども含め現在検討中である。
 国土交通省が設立した「落橋防止装置等の溶接不良に関する有識者委員会」での検討や他府県の動向も勘案する必要があると考えている。

《要望》松坂英樹 委員
 交換するとなると大変費用のかかる話であり、しっかりと国と連絡を取り合いながら対応をしてほしい。

《質問》松坂英樹 委員
 次に、くい打ち工事のデータ偽装問題について聞きたい。
 最初に発覚した業者に加えて、他の業者でも同様の偽装が発覚し、業界全体に再点検が指示されているが、県内の状況はどうかという点と、県内でどれだけの建設工事や新築工事があって、くい打ち工事の件数があるのかということと、今後、県としてこのような偽装問題にどう対応していくのか、再発防止策をどうしていくのか、合わせて答弁願いたい。

《答弁》 建築住宅課長
 建築物に係る杭打ちデータ改ざん問題についての本県の状況であるが、今回の問題は、旭化成建材が施工した建物の傾きの原因調査を行ったところ、基礎杭の支持層未達と根入れ不足が判明し、また施工データの流用もあわせて判明したものである。これにより、旭化成建材が施工を行った物件について、データ流用の有無が調査されたが、本県では施工物件がないとのことである。
 また、くい打ち工事に関する不安の広がりから、国土交通省から建設業団体に対し、適正施工の徹底、国民不安の増幅防止のための対応要請が行われている。現在、旭化成建材を含め、一般社団法人コンクリートパイル建設技術協会から約400件のデータ流用が報告されているが、これについても本県に対象物件はなかった。
 それと、県内の建築物、くい打ちを施工している建築物の数については、現在のところ把握していない。
 今後の対応については、県内の建築物でデータ流用が判明した場合は、施工業者に対し施工管理の状況等の報告を求めるなど、速やかに対応していきたい。
 なお、防止策については、国土交通省に「基礎ぐい工事問題に対する対策委員会」が設置されているので、その動向を注視していきたい。

《質問》松坂英樹 委員
 2つの問題について聞いたが、公共事業における偽装問題は、公共事業に対する県民の信頼を損なうとともに対策費用の面でも大きな影響を与える。今回は、下請の施工業者の問題点ばかり指摘されているが、元請業者の責任もはっきりさせるべきであると思う。
 コスト重視や合理化重視により、元請業者の責任や姿勢が後退し、下請業者への責任転嫁、工期短縮等のプレッシャーが気になる。
 このような偽装等を防止し、品質や成果を担保するための元請業者の取り組みや、発注者側の取り組みについて、今後どのように考えているのか。

《答弁》 技術調査課長
 県発注工事においては、建設工事請負契約書第1条第3項に、「仮設、施工方法その他工事目的物を完成させるために必要な一切の手段については、この契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める」となっている。
 今回問題となった落橋防止装置の溶接は資材メーカーが行ったものであり、くい打ちデータ改ざんは下請業者が行ったものであるが、元請業者は、土木工事共通仕様書に基づき、材料確認や施工管理を適切に求めるべきである。今後も、発注者として、引き続き元請業者に対して適切な施工を求めていく。また、県として、国や他府県の動向等を注視していきたい。

《要望》松坂英樹 委員
 元請業者の検査体制をどうするか、発注者はどのように取り組むべきか、あるいは第三者検査機関を設けてはどうかなどの議論もあると聞いているので、県でも検討してほしい。
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《質問》松坂英樹 委員
 京奈和自動車道のことについて聞きたい。
 先ほどの部長説明でも、岩出根来インターチェンジから和歌山ジャンクションまでの間について、平成28年度中の早期供用を働きかけると説明があった。高速道路沿いに高架橋が数多く立ち並ぶ工事が進んでいるが、工事が進捗するにつれて、県民からは、早期の開通を望む期待の声がたくさん出されているとともに、一体どうしてこのような大規模な工事になるのか、一体幾らかかっているのか、などの疑問や問い合わせの声も多く出されている。
 建設委員会の視察時にも、現在工事中の岩出根来インターチェンジから和歌山ジャンクションまでの区間において、一体幾らかかっているのかと質問があったが、工事費用についてどのように説明を受けているのか。

《答弁》 高速道路推進室長
 岩出根来インターチェンジから和歌山ジャンクション間の事業費は算出していないが、全体事業費は約1160億円と聞いている。

《質問》松坂英樹 委員
 視察時もそのような説明であったと思うが、岩出からでも、トンネルを越えてからでもよいので、事業費は積算すれば計算は可能だと思うので、後日でもいいので、国へ資料を求めてほしい。
 続いて、ジャンクションの形状についてであるが、高速道路の上に何本も橋をかけるような、大がかりで複雑な形状になった理由は、京奈和自動車道の本線が阪和自動車道を越えて交差しながら阪和自動車道との接続を図っているためで、設計当時の紀淡連絡道路計画に向けての延長を想定した形状としているためではないのか、単純に阪和自動車道に接続させるだけの形状にしていたら、もっと工事費もかからずに早期に完成したのではないかという声もあるが、その点はどうか。

《答弁》 高速道路推進室長
 阪和自動車道の和歌山方面との接続として、上下各1車線の2車線で計画し、施工されている。
 和歌山ジャンクションの形状については、地形上急峻な山間部であるために今の高架橋梁構造となったこと、それから阪和自動車道の接続する箇所付近が、急な坂とカーブが多いため、安全に分合流させるには、大阪方面と和歌山方面を離した位置で接続しなければならないなど、総合的に検討して、基準に合った適したものとして、今の形状になったと聞いている。

《要望》松坂英樹 委員
 地形の条件もあれば、越えているのは本線ではなくランプであるという説明もあるが、都市計画決定された計画自体も、最後までが京奈和自動車道であり、実際の工事現場でも、この橋がランプ橋で、この橋が本線橋であると説明を受けている。また、サービスエリアにも、国土交通省からの工事内容についての説明パネルが掲示されているが、これを見ても、京奈和自動車道の本線が、阪和自動車道を越えて、クロスする形状になっていると感じる。このような高い技術を求める難工事の現場について、安全に完成されるよう求めるとともに、ジャンクション形状やコスト面についても、今後、県民に丁寧な説明をしていくように要望しておく。

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《質問》松坂英樹 委員
 県道美里龍神線有田川町三田地内の地すべりの対策について聞きたい。
 ここは国の重要文化的景観に指定された「あらぎ島」のビューポイントであり、全国から訪れる観光客やカメラマンはもちろん、キャンドルライト・LEDイルミネーションイベントでも多くの人が利用している道路である。

 この道路は、「あらぎ島」が歴史的に形成されるぐらい有田川が蛇行し水あたり面を削ってできた地形にあり、急峻で高い崖の上を通っている道路であるが、路面が徐々に傾いてきていたり、舗装面に亀裂が入ってきている。
 現状をどう分析し、どう対応しようとしているのか。

《答弁》 道路保全課長
 質問のあった箇所の区間延長約30メートルについては、平成23年9月の台風12号により、路面変状が発生したためボーリング調査等を行ったが、明確なすべり面は確認されなかった。その後、平成24年4月と平成26年8月にも地すべりの観測を行ったが、徴候は見られなかった。
 現在のところ大規模な地すべりといった徴候は顕著になっておらず、道路のひび割れ、沈下については、擁壁側が少しずつ下がってきていることが原因であると推測している。
 対策については、その都度補修を実施し、最近では平茂27年5月に舗装の補修を行った。
 今後、引き続き路面変状について観測を続けるとともに、日常及び降雨後の道路パトロールにおいて、路面の状態を注視していく。

《要望》松坂英樹 委員
 しっかりと監視しながら、地元ともよく協議をして対応してほしい。


議案に対する採決
議案第164号 平成27年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
は賛成多数により原案可決
日本共産党 松坂英樹委員は反対 → 雑賀光夫県議の議案に対する反対討論 議会中継録画(16:40~)

議案第152号 平成27年度和歌山県一般会計補正予算
議案第161号 和歌山県営住宅条例の一部を改正する条例
議案第162号 和歌山県港湾施設管理条例の一部を改正する条例
議案第168号 訴訟の提起について
議案第176号 和歌山県和歌川河川公園の指定管理者の指定について
議案第177号 河西緩衝緑地湊緑地、河西緩衝緑地松江緑地、河西緩衝緑地河西公園、河西緩衝
        緑地西松江緑地及び河西緩衝緑地東松江緑地の指定管理者の指定について
議案第178号 和歌公園の指定管理者の指定について
議案第179号 和歌山県立橋本体育館の指定管理者の指定について
議案第180号 紀三井寺公園及び和歌山県営相撲競技場の指定管理者の指定について
議案第181号 秋葉山公園県民水泳場の指定管理者の指定について
議案第182号 日高港緑地の指定管理者の指定について
議案第183号 加太みなとまちの指定管理者の指定について
議案第185号 工事請負契約の締結について
議案第186号 工事請負契約の締結について
については全会一致により原案可決

意見書(案)採決
建設委員会から「河川堤防の強化を進めるために必要な財源の確保を求める意見書(案)」
を提出することに全会一致で決定


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