クローズアップ
和歌山県 同和融資
3億3000万円の債権放棄 乱脈行政、徹底解明を
2010年2月16日
和歌山県は2月16日、同和向けの中小企業高度化資金を融資した「熊野食肉事業協同組合(新宮市)」の未償還額約3億3,000万円を債権放棄すると発表しました。
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同組合は1983年4月、5人が保証人となり総事業費4億6,000万円で設立。事業費のうち約3億6,000万円を中小企業高度化資金から同和向けの無利子融資を受けましたが、1995年倒産。返済額はわずか1,200万円、償還率3.5%というありさまでした。同年県は繰り上げ償還命令を出しましたが、日本共産党の金田眞県議(当時)は2002年2月県議会で「実質的な責任者が所在不明として長期間返済対策がとられていない」と批判しました。→質問記録
返済がないまま県は2002年、土地・建物等の競売を申し立て、翌年配当金約1,300万円を得ました。その後返済なく経過、2010年2月16日に「組合及び連帯保証人等に返済能力がない」と債権放棄の議案を県議会に提出しました。
過剰に融資
組合施設が建設された土地の価格は1億2,200万円(1平方メートル当たり16万8,700円)。県は、土地鑑定評価しなかったことを認めつつも、金融機関に依頼した不動産評価意見書の価格が約1億3,000万円で、購入価格は巽当としました。
土地は1982年、組合員の1人が取得し翌年、組合が同組合員から購入しました。2002年12月県議会で金田県議(当時)は「2001年度の土地の固定資産評価額は1平方メートル当たり4万5,208円。組合が土地購入した1983年当時と比べても新宮では大差ない」と過剰融資を追及しました。→質問記録
ずさんな審査
「熊野食肉事業協同組合」の貸付事務手続きについて検討会と審査会が開催された公文書が存在しないことが明らかになっています。県は当時の職員から聴取し、職員らは開催を主張したといいます。
2008年に県は、今回と同じく中小企業高度化資金で5件、計約26億4,000万円の債権放棄をしています(うち2件、約23億8,000万円が同和向け融資)。これら融資のうち同和2件で今回同様、審査会開催の公文書がなく職員を聴取した結果、審査会が開かれなかったことが確認されています。2008年6月県議会で日本共産党の松坂英樹県議は「(土地買い足しでの)各種申請書類、当初計画、予備申請、本申請ともに、ついているはずの図面すら県には残っていない。よくこんな計画で審査を通した」とずさんな県の審査を追及しました。→質問記録
2007年度で中小企業高度化資金の延滞は33法人、未償還額は計約100億4,600万円(うち同和向けが23法人、夫償還額計約88億2,400万円)ありましたが、2008年に26億4,000万円を債権放棄し、そして今回(3件、約3億3,400万円)。2年連続の債権放棄、しかし今回で終わりそうにありません。不公正・乱脈な県同和行政の徹底解明が求められています。