2月県議会(2月14日〜3月7日)

 来年度予算案などを審議する2月県議会が14日からはじまりました。予算案には、障害者自立支援法で小規模作業所の運営が困難になっている問題で、国からの資金をもとにした緊急支援策、病院内保育所への補助拡充、などがもりこまれています。しかし、昨年県が改悪した重度心身障害者(児)医療費助成制度はそのままで、県単老人医療費の厳しい所得制限も改悪されたままです。

会議 備考
2月     14日     本会議 開会
15日 休会   
16日 本会議
常任委員会
補正予算案等提案               
委員会審査
19−20日 休会   
21日 本会議 補正予算採決  村岡議員討論
一般質問
22日 本会議 松坂県議質問   議会中継(録画)
23日 本会議 雑賀光夫県議   議会中継(録画)
26日 本会議 藤井県議質問   議会中継(録画)
27日 本会議 村岡県議質問   議会中継(録画)
28日 予算委員会 当初予算案審議
3月 1日 予算委員会 当初予算案審議
2日 常任委員会 付託議案審議
5日 常任委員会 付託議案審議
6日 本会議
予算委員会
委員長報告
7日 本会議 委員長報告 村岡議員討論 採決

村岡県議の平成18年度補正予算反対討論

日本共産党県議団を代表して、議案第二十号、二十三号、二十五号、七十八号に反対の立場から討論を行います。

 補正予算案の大きな特徴は、県税収入が当初の見込みより82億円増え、基金からの繰入金が86億円減少していることです。歳出では、17億円を財政融資資金に繰り上げ償還をおこなっています。基金にも70億円の積み立てをおこないました。この結果、各種基金の残高合計は、十七年度末の769億円から、814億円に、45億円の増加となりました。こうした財政状況は、連続しておこなわれている職員給与のカットや県単老人医療費のこの間の大幅な削減など、県民、職員の犠牲の上に成り立っていることを指摘したいと思います。
 議案第二十号は、平成十八年度一般会計補正予算で歳入歳出それぞれ112億2780万5千円を減額するものであります。
 民生費・社会福祉総務費において、重度心身障害児(者)医療費支給が2億1462万8千円減額されております。この事業の当初予算は、約18億2千万円でありましたが、減額補正額は、12%の削減にもなります。申し上げるまでもなく、県は昨年八月一日から、65歳以上で新たに重度障害者となった人を、この制度から除外する制度改悪をおこないました。その影響額は6千万円とされていましたが、それを遙かに超える減額補正は、制度改悪をおこなわなくても、財源的にはまったく問題がなかったことを示しています。また、老人医療費県単独支給においても、1195万円を減額補正していますが、当初予算額6190万円の一三%です。この制度では、かつては三万人以上いた受給対象者が、所得制限の強化によって千人強にまで減少し、多くの方が対象者からはずされてしまいました。障害者や高齢者に多大な負担を強いるこうした制度改悪の見直しを求めるものです。
 こうした点からも、補正予算を認めることはできません。
 なお、同じ社会福祉総務費において、障害者自立支援特別対策として、4550万円が計上されています。これは全額が国庫負担ですが、二十五ヵ所の障害者小規模作業所に、一カ所あたり110万円を緊急支援するものです。日本共産党県議団は、二月、六月、九月県議会で、自立支援法の問題点を指摘し、自立支援法の施行によって、「応益負担」という名で障害者には利用料の重い負担が課せられ、利用をやめたり、回数を減らす人が増えています。また、作業所には県の補助がなくなるというなかで運営が困難をきたしていることから、県の支援を求めてきました。県は、かたくなにこれを拒否してきたわけです。いま、国も自立支援法に重大な問題点があるということを認め、障害者の負担上限額を見直す事態になっているのですから、県として「応益負担」の廃止を国に求めること、同時に、「働いて受け取る賃金よりも、支払う利用料の方が高い」という根本的な問題点を解消するために、利用料負担の軽減策に踏み出すことを求めたいと思います。
 議案第二十三号は、中小企業振興資金特別会計で、1億1240万1千円を減額補正するものです。この特別会計は、92億円の同和高度化資金の滞納を抱え、将来の県民負担が心配されています。県が償還指導室を設置し、償還に努めていることは認められますが、なぜ、こうした事態を招いたのか、真摯な反省と原因解明なしには、県民の理解は得られないと考えます。
 議案案二十五号は県営競輪事業特別会計補正予算であり、公営ギャンブルに頼らない町づくりを求める立場から、議案七十八号は、建設事業施行に伴う市町村負担金であり、市町村負担金の廃止、負担率の軽減を求める立場から、反対をするものです。
 以上で、討論を終わります。

平成19年度予算等の議案に対する反対討論(村岡県議)

日本共産党を代表して、反対討論を行います。
 反対する議案は、第4号、6号、10号、37号、42号、57号、70号、77号であります。
 いま、県民の暮らしは、住民税の大幅増税や国民健康保険税、介護保険料の引き上げ、毎年値上げされる国民年金などで大変きびしい状況がつづいています。そういう時に、県が新年度の予算で、厳しい財政のなかでも、県民のくらしと福祉をまもるために、どれだけ頑張るか、その姿勢が問われています。また、仁坂知事の初予算であり、県民からもたいへん注目されています。

地方税財政の三位一体の改革が二〇〇六年度で一応終わりました。その全体の影響は、国庫補助負担金が約250億円削減され、税源移譲された額は175億円、この間の地方交付税の削減は343億円でありました。トータルしますと、418億円のマイナスの影響がでています。「三位一体」といいながら、地方切りすてそのものであったことがはっきりします。今後も、地方交付税の計算方法が変えられようとしており、国に対して、地方の立場を強力に主張していくことを求めたいと思います。

さて、新年度予算では、障害者自立支援法にかかる国からのお金を元に、事業者への激変緩和助成や施設改修費、小規模作業所への緊急支援は、私も何度も県に求めてきたものであり、評価いたしたいと思います。また、地域生活支援事業の利用者負担の上限額を超える分についての助成を実施されることも歓迎します。しかし、授産施設などでの利用者負担軽減については、田辺市周辺自治体に続いて、御坊市周辺自治体や和歌山市でも、利用者の負担軽減を進めており、県も踏み込んだ助成を実施されることを求めたいと思います。

また、子育て支援対策として、不妊治療への助成や、第三子からという点では不満でありますが、妊婦健診の公費負担に踏み出したことは、第一歩として今後の拡充を期待したいと思います。

コスモパーク加太計画推進事業として、六億六千万円が計上されています。これは、関西空港の二期事業のための土取りが終わった土地を、県土地開発公社から新たに借り上げ費用を含め、土地開発公社への補助金の性格が濃厚なものです。その中には、加太菜園に原価を割り込んで貸している用地も含まれており、問題と考えます。

人権現況調査の予算もあげられています。この調査は、昨年6月にアンケートの方法で実施が計画され、旧同和地区と、その周辺、それ以外などとを、地域を区切って調査するとしたものでした。しかし、この調査に対して、県の人権施策推進審議会が、「今回行おうとする実態調査は、如何なる課題が予想され、これに対して如何なる行政施策を施す必要があるものとして行うのか、調査目的が明白でない」と指摘され、「実施する必要性がどこにあるか疑わしい」との意見が出されたものです。このように、必要性のないと厳しく指摘された調査をおこなうことには賛成できません。

いま、県民の半分近くが加入している国民健康保険料・税が高くなり、「払いたくても払えない」という人も増え、保険料・税の滞納者は昨年6月時点で3万4千人、全体の一四・四%にもなっています。新年度の予算で、国保関連は、97億円という多額なものになっています。これは、二〇〇三年から設けられた、保険者支援分の負担金が2億6千万円、高額医療費の交付金が4億5千万円。また、二〇〇五年度から、都道府県調整交付金制度がもうけられ、保険給付費の7%を県が負担するようになり、その負担額だけで新年度は50億円にも達します。また、二〇〇四年度までは、保険料の法定軽減分の半分を国が負担していましたが、二〇〇五年度からは、県が四分の三をもつようになり、その負担額は35億円です。こうした、国が本来責任をもつ社会保障制度である国民健康保険事業において、国の負担が減らされる一方で、県の負担が大幅に増加しています。国は、その財源として地方交付税でカウントしているとの説明であるようですが、和歌山県の地方交付税は、この三年間合計で343億円も減少しているのです。また、県独自の福祉医療制度である、県単老人医療費補助制度や重度心身障害者医療費助成制度などの実施を口実に、国は、4億6千万円もの負担金カットを、ペナルティとしておこなっています。国のこのような横暴を絶対に許してはならないと考えるわけですが、しかし、和歌山県がおこなっている市町村への支出金は、この国のペナルティを補填するものにはなっておらず、乳幼児医療費と、ひとり親家庭への医療費助成分に対する国のカットについては、全く補填をおこなっていません。いま、県内の国保加入者で、資格証明書と保険証の窓口留保によって7,000世帯近くが保険証をもっていません。県が厳しい財政事情のなかであっても、県民のいのちの綱である国民健康保険制度を守るために、更なる市町村国保への助成を求めるものです。

今年度から5年の期限つきではありますが、県民税の中に、「紀の国森づくり税」が施行されました。この新税については、この議場でも討論がかわされてきましたが、新たな税を課すには、税金を負担する人への周知の徹底と納得が必要なことがいうまでもありません。和歌山市議会、御坊市議会につづき、海南市議会などでも、廃止を求める決議があげられているなかで、施行されるこの税については、賛成することはできません。

また、けやき大通り第1種市街地再開発事業についてひとこと申し上げます。この事業は、14階建ての分譲住宅及び11階建てのホテル、6階建ての商業棟を建設するもののうち、ホテル以外の建設事業を補助対象として、一般用の分譲マンションや商業用ビルの建設に、県と国、和歌山市あわせて12億7,100万円を補助するものです。もちろん、中心市街地の活性化を望むものではありますが、厳しい財政事情が強調されるもとで、営利を目的とする分譲マンションなどの建設に、貴重な県民の税金、2億円以上も投入することがふさわしいのかどうか、疑問を持たざるを得ません。

生活保護の母子家庭への加算カットが高齢者加算のカットにつづいておこなわれています。16才から18才の子どもを持つ母子家庭への加算はすでにカットされ、新年度からは15才未満の子どもをもつ母子家庭でも加算が減額、三年後には廃止されます。一年間でわずか352万円程度の県負担であり、県が国負担分を肩代わりしてでも、母子家庭への支援をおこなってもらいたいと願うものです。

重度心身障害者医療費助成事業では、65才を超して障害者となった方が昨年八月に、助成対象からはずされています。今後、高齢者の増加がいっそう見込まれるなかで、この制度を早く元に戻すことを求めます。

県職員の定数削減が行われてきていますが、実質的な職員数は、条例定数をさらに下回っているのが実態です。アウトソーシングや業務委託ということで、正職員から、安価な労働力に置き換えることは、行政が低賃金労働者を生み出していることになります。

知事の退職金が減額されていることは一歩前進として評価できますが、一期四年間で約4〇〇〇万円という退職金は、依然として高すぎると考えます。

土地造成事業特別会計については、遊休地の積極的な活用・販売の促進を求めたいと思います。

中小企業振興資金特別会計については、100億円をこえる滞納をつくりながら、その要因が明らかにされず、責任も明確になっていないことは、とうてい県民の納得を得られるものではありません。

県立学校定数条例では、公立中学校に複線化をもちこみ、県立中学校をさらに増やしていくことには、賛成できません。

建設事業に伴う市町村負担金については、毎年少しでも軽減策が前進することを願うものです。

競輪事業については、ギャンブルに頼らない町づくりを多くの住民が望んでいるということを申し上げたいと思います。