ペインクリニックについて

【ペインクリニックとは】
ペインクリニックはまだ新しい診療科目でご存じない方が多いと思います。「ペイン」 「痛み」の意味で、クリニックは「診療所」の意味です。痛みの他「マヒ」や「しびれ」も診察します。

【ペインクリニックの特徴】
一番の特徴は、ペインクリニックでは「神経ブロック」という方法を中心に治療を行うことです。当科ではほとんどの神経ブロックをレントゲンを見ながら行っているので、安全確実に薬を注入することが可能です。

【神経ブロックとは?】
「神経ブロック」とは、痛みの原因の神経に、局所麻酔剤(傷を縫うときや、歯を抜くときに使う麻酔薬)と、少量の抗炎症剤やホルモン剤(腫れをひかせる薬)を注射する方法です。神経ブロックというのは総称であり、実際には「星状神経節ブロック」や「硬膜外ブロック」などの多くの方法があり、全身の色々な痛みに対して行います。

【当ペインクリニックで扱う主な疾患】

1.頭部
・頭痛(片頭痛、緊張型頭痛)
・顔面痛
・顔面神経麻痺(目が閉じない、顔がゆがむ)

2.頚屠~上肢
・ムチウチ(交通事故後の長引く肩こり、頚の痛み、手のシビレ)
・肩こり
・頚椎症(変形した頚椎が時々神経に触れて頚や腕が痛む)
・四十肩、五十肩(肩が痛くて着替えが大変、夜中に痛みで目が覚める)
・寝違え(首が痛くて動かない)
・椎間板ヘルニア(首を動かすと腕や肩甲骨に向かって痛みが走る)

3.胸背部
・肋間神経痛(肋骨に沿って痛みが走る)
・圧迫骨折(重たい物を持ったら背中が痛くて動けなくなった)

4.腰部~下肢
・腰痛(ぎっくり腰、圧迫骨折、筋肉痛)
・椎間板ヘルニア(急に足や腰が痛くて動けなくなる)
・脊柱管狭窄症(長い距離が歩けなくなる、背中を伸ばすと足がしびれる)
・坐骨神経痛(臀部から足にかけて電気が走るような痛み)
・脊椎手術後疼痛(手術を受けたのに調子が悪い)
・変形性膝関節症(階段を降りるとき膝が痛い)

5.その他
・帯状疱疹
・帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹の発疹が治っても残存する痛み)
【当科で施行している神経ブロック】
* トリガーポイント注射、関節内注射
* 星状神経節ブロック
* 硬膜外ブロック
* 神経根ブロック
* 椎間板ブロック
* 椎間関節ブロック
* 腰部交感神経節ブロック
* 高周波熱発生装置を用いた神経ブロック
(神経ブロックを行っても効果が短い場合、専用の装置を用いることにより効果が長期間となります。必要に応じて使用します。)

*腰椎椎間板ヘルニアの新しい治療法

【神経ブロックはたんなる痛み止めなのですか?】
よく、神経ブロックを「痛み止めの注射」と表現する患者さんがいます。痛み止めは効果が切れてしまえば全く元通りになってしまいます。しかし、神経ブロックでは薬の効果が切れた後も、治療効果は継続していきます。これは、神経ブロックをすることで障害を受けている神経の血流が改善されたり、むくみや炎症がとれていくためです。

【神経ブロックは痛くないの?】
私は、可能な限り、痛みを伴わないブロックを心がけています。使う針にしても採血や点滴の針より細い物を用います。また、十分に皮膚に局所麻酔を使うため、患者さんによっては「もう、終わりなんですか?」という刺激しかありません。

【神経ブロックの副作用は?】
専門の医師が行う限り、多くありません。それどころか痛み止めの薬のように胃を荒らしたり、腎臓を痛めるようなことはありません。病気のおこっている神経だけに治療するわけなので余分な作用が少ないわけです。しかし、その分、治療には高度の技術を必要とします。

【最後に】
注射がどうしても嫌な患者さんには、無理には行いません。嫌々受けた神経ブロックは全身の緊張が強くなって、効果がうち消されるようです。その場合は薬物療法、リハビリテーション等を中心に治療します。

・担当医紹介


加納 節也

*ペインクリニック専門医
*整形外科専門医
*麻酔科標榜医

○ 外来診察
月・火・水・金  午前9時~12時